ようやく就職先を探し始めたミジですが、現実はそう甘くありません。次々と不採用通知を受け取る日々。そんな彼女をホスは優しく励まし、二人のためのペアリングまで用意して、ロサのレストランで幸せな時間を過ごします。しかし、その幸せな時間の直後、ホスを悪夢が襲いました。
突然、両耳が聞こえなくなってしまったのです。
ホスはこの事実を誰にも打ち明けられず、心配して訪ねてきたミジにさえ「疲れている」と嘘をつき、ドアを閉ざしてしまいます。聴力を失ったことで、タクシーを拾って病院へ行くだけでも一苦労。ようやくたどり着いた病院で、彼に下された診断は「突発性難聴」。ステロイド治療を開始するも、回復の可能性は極めて低いと告げられ、ホスは最悪の事態を覚悟しなければなりませんでした。
一方で、ミレがいた会社KFMCには公正取引委員会が調査に入り、社内は大混乱。これまでの経営陣の悪行が明るみに出るのを見て、インターンのテイは喜びますが、ミレ自身の心は晴れません。会社への復讐のためだけに時間を費やすのは自分のスタイルではないと、退職を決意します。
ホスは自分の体のことだけでも精一杯なはずなのに、ミレのセクハラ問題を解決するため、かつて自分をいじめていた凄腕弁護士のチョングに助けを求めます。チョングもホスの必死な姿に心を動かされ、協力を約束するのでした。
ホスは自分の聴力のことをミジに隠し通そうとします。ようやく自分の夢に向かって羽ばたき始めたミジの重荷になりたくない、というあまりにも優しい理由からでした。しかし、ディナーの席でミジの話が聞き取れないなど、隠し通すことにも限界が訪れます。
そしてホスは、最終回間際の韓国ドラマでよくある、あの辛い選択をします。ミジに別れを告げるのです。最初は理由がわからず食い下がるミジでしたが、ホスはついに聴力を完全に失うかもしれないと告白。「君に同情されるのは耐えられない」と。皮肉にも、その言葉はかつて走れなくなったミジが感じていた絶望と重なるものでした。
姉の突然の破局にミレは心を痛めます。そんな中、ミレはついに会社に辞表を提出。同僚たちの中傷をものともせず、凛とした態度で会社を去ります。彼女の勇気ある行動は、これまで声を上げられなかった同僚の一人にも勇気を与え、ミレは感謝の言葉を伝えられるのでした。そして、セジンからの農園のオファーも断り、自分の心に従って、自分の足で人生を歩むことを決意します。
ホスの異変に気付いた養母のブンホンは、彼のアパートに駆けつけ、真実を知ります。彼女は涙ながらに「あなたは私の息子」と訴え、ホスの父が遺した「愛とは、負けるチームにいるとわかっていても、最後まで味方でいることだ」という言葉を伝えます。その言葉に心を動かされたホスは、ロサからのアドバイスで同じく彼のもとへ向かおうとしていたミジの家へ走ります。
「僕のそばにいてほしい」と涙ながらに謝罪し、ミジを強く抱きしめるホス。二人は再びお互いの気持ちを確かめ合い、物語は感動的なクライマックスへと向かっていきます。
『未知のソウル』第11話の感想
今回は、登場人物それぞれの愛の形が深く描かれた、非常に心を揺さぶられる回でした。ホスを襲った突然の悲劇は、あまりにも過酷で胸が痛みます。愛する人の重荷になりたくない一心で、突き放すことを選んだ彼の優しさと苦悩が痛いほど伝わってきました。一方で、自分の力で未来を切り開こうと決意したミレの姿には、静かな感動を覚えます。彼女の強さは、多くの視聴者に勇気を与えたのではないでしょうか。そして、ホスの養母ブンホンが語った「愛とは、負けても最後まで味方でいること」という言葉。このドラマの根幹をなすテーマが、この一言に凝縮されているように感じました。派手な展開はなくとも、登場人物たちの心の機微が丁寧に描かれ、深く静かな余韻が残る名エピソードだったと思います。
つづく