森の中で何者かに追われる少年ホンランの緊迫したシーンから物語は始まります。彼は白髪の巨人に遭遇し、必死に姉を呼びます。このホンラン君、実は美術界を牛耳るミン商団を運営するシム家の御曹司。街中を挙げての大捜索が行われるほどの影響力を持つ家柄なんですね。母であるミン・ヨニは巫女に頼り、異母姉のシム・ジェイはたった一人で森を捜索します。傷つきながらも弟を想い泣き叫ぶジェイ。回想シーンでは、屋根の上からジェイが弟を見つける遊びをする微笑ましい姿が描かれ、二人の絆の深さが伺えます。
『呑金/タングム』第1話 あらすじネタバレ
そして、あっという間に12年の歳月が流れます。シム家は未だホンランを探し続けていますが、状況は一変。ジェイは「弟を探すために男の子を食い殺す悪魔の姉」なんていう、とんでもない噂を立てられています。母ヨニは薬物依存に陥り、父シム・ヨルグクはホンランを騙る詐欺師たちを拷問にかける日々。そんな中、ジェイは男装し、日雇い仕事で稼いだお金で、たった一人弟の捜索を続けているんです。健気すぎる…!
ある日、大君がヨルグクの部下たちを殺害するという事件が発生。ヨルグクは震え上がりますが、大君は気まぐれな性格のようで、病気の叔父のために描く虎の絵のキャンバスを無償で提供させることで彼を威嚇します。この大君、何やら大きな波乱を呼びそうな予感…。
その夜、ごろつきのチョ・バンソクが泥棒を追跡中、男装したジェイを発見!追われるジェイですが、そこに現れたのは養子の兄ムジン。彼は見事にジェイを救い出します。ムジンは仕事もでき、ヨルグクは彼を後継者として養子に迎えたのですが、これがヨニの気に障っている様子。複雑な家庭環境ですね。
一方、ヨニの側近ユクソンは、ホンランを探し続け、薬に溺れる彼女の世話に手を焼いています。巫女のマダム・クィゴクジャは、ヨニに厳しくも愛のある言葉をかけ、「待ち望んだ客がもうすぐ到着するから強くあれ」と告げます。この「客」とは一体誰のことなのでしょうか?
薬物依存から立ち直った(ように見える)ヨニは、ミン商団のリーダーとしての正当な地位を主張し、ムジンとヨルグクが他のギルドと結ぼうとしていた同盟を妨害します。ジェイは恐怖に震えます。過去の回想では、ヨニが虐待的な継母であったことが明らかに。ジェイはシム家の側室の娘で、男児を産めなかったために捨てられた過去が。不運がつきまとうジェイを、ヨニは邪悪な存在だと信じ込んでいるのです。ひどい話だ…。そんなヨニの怒りからジェイを守るため、ムジンはなんとヨニが駕籠に乗る際の踏み台にされる屈辱を受け入れます。ムジン、どこまでジェイ想いなの…!
ヨルグクは激怒。彼はヨニが薬物依存で自滅する間に、ムジンと共にミン商団を率いることを望んでいたのです。しかし、ムジンはヨニに取り入り、彼女が薬物で破滅するのを待ってから商団を乗っ取る計画を立てているようです。なかなかの策士ですね。
その後、ムジンはジェイを心配し、彼女のホンラン捜索について話し合います。ジェイは逃げ出したいと願っており、ムジンも同行したいと考えていますが、血の繋がらない自分たちが一緒にいることで評判が傷つくことを恐れ、ジェイは彼を止めます。切ない…。
そんなある日、賞金稼ぎのドッケが「ホンランを見つけた」と主張します。この男は子供時代の記憶がなく、売春宿で育ち、兵士として従軍した後、現在は暗殺者として生きているとのこと。うさん臭さ満点ですが、ヨニは巫女が言っていた「客」が彼のことだと信じ込みます。
ジェイは、ホンランが森を走る悪夢を見てうなされます。そして、彼が帰ってきたという知らせで起こされます。使用人たちはムジンの立場が危うくなったと噂しますが、ムジンはジェイのことだけを心配しています。
そして、ついにホンランとされる男の真偽を確かめるテストが始まります。男は全てのテストをクリア。傷跡も一致し、血液までもヨルグクと一致するという驚きの結果!しかし、ジェイが彼を一目見た瞬間、「この人はホンランじゃない」と確信します。他の詐欺師たちもテストを通過したことがあると指摘し、男に質問攻めをします。男は「姉がいたことだけは覚えている」と答えますが、それだけでは…。
驚くべきことに、男は「何も馴染みがないし、失われた記憶を取り戻せるかもしれないと思ってここに来ただけだ。もしホンランでないなら、去っても構わない」とあっさり告白。え、正直者なの?それとも計算…?
しかし、この態度が逆にヨニの確信を深めてしまいます。彼女はジェイに対し、「あなたが彼に脅威を感じて嘘をついている」と激しく非難。一人になったジェイは、弟との間にあったはずの特別な繋がりが、この男からは感じられないことを改めて認識します。そして、「成長したホンランの顔は知っているけど、この男とは似ても似つかない」と強く主張します。
その夜、ジェイが屋根の上で一人、かつて弟としたかくれんぼを再現していると、偶然にもその男の姿が。彼女は憤慨しますが、男は彼女に向かって弓を射る真似をするなど、からかうような態度。この男、何を考えているんだか!
翌朝の朝食の席。男は忠実だが耳の聞こえない側近イネを紹介します。ヨニは息子が帰ってきたと大喜びで、男の要求を何でも聞き入れます。ムジンが現れると緊張が走りますが、ヨルグクが「ホンランは彼から商団を継ぐための指導を受ける」と明らかにし、ヨニは得意満面。ムジンのことを思うジェイは心を痛め、二人の兄弟を守ると誓います。一人になった男は、風鈴の音を聞き、何かを思い出したような表情を見せます。これが記憶の断片…?
男は幼いホンランの愛犬だったゴルディと遭遇。ジェイは再び彼を問い詰めますが、男は動じません。それどころか、ヨニが現れると怯むジェイを見て嘲笑う始末。ジェイをからかうためか、ヨニに合わせてゴルディを覚えているフリまでするのです。性格悪いぞ、この男!
屋敷を歩き回っていた男は、おそらく幼いホンランのものだったであろう廃墟のような中庭にたどり着きます。そこへ再びジェイが現れますが、今度は彼女は衝撃を受けます。男の首に、幼いホンランと同じようなアザを見つけたのです!男は「それは傷だ」と言い張り、ジェイを弄びます。そこにムジンが割って入り、男を脅しますが、男は「お前のものは全て俺のものになった」とムジンをも挑発。こいつ、本当に何者なんだ…。
その夜、ある使用人が貴族の子供を寝かしつけ、外に出ます。すると、あの冒頭の恐ろしい白髪の巨人が近づいてきて、使用人は悲鳴を上げる…!というところで、第1話は幕を閉じます。
『呑金/タングム』第1話 感想
『呑金/タングム』第1話、初回から濃密な人間ドラマと謎が絡み合い、ぐっと引き込まれました。12年もの間、弟を捜し続けるジェイの孤独と執念、そして彼女を取り巻く過酷な運命には胸が締め付けられます。ホンランを名乗る男の登場は、一筋の光か、それとも更なる混乱の始まりなのか。彼の飄々とした態度と、時折見せる鋭い眼差しが不気味で、目が離せません。複雑に絡み合う家族の愛憎や、ミン商団を巡る権力争いの行方も気になるところです。ラストに現れた白髪の巨人の存在も不穏で、物語の深層に何が隠されているのか、今後の展開から目が離せそうにありません。
つづく