ついに、パンドラの箱が開かれてしまいましたね…。ドラマ『かくれんぼ』第12話は、これまで謎に包まれていたハ・ヨンジュの衝撃的な過去と、彼女が「ミン・スア」でなくなった理由が明かされる、まさに核心に迫る回となりました。

ヨンジュとチェリン、決裂の果てに

前回、母のように慕うパク・ヘランを巡って、ミン・チェリンと激しく対立したハ・ヨンジュ。その勢いは止まりません。

チェリンはヨンジュを呼び出し、なぜヘランに近づくのか、約束が違うと問い詰めます。しかし、ヨンジュの態度は氷のように冷たいものでした。彼女はチェリンに向かって、まるで心の内を見透かすかのように言い放ちます。「あなたは愛されて育った人間じゃない。人の顔色をうかがい、愛を乞うて生きてきたから、母親を奪われるという危機感を持つんでしょ」と。

図星を突かれたチェリンは激昂し、思わず手を上げようとしますが、ヨンジュはその手を掴み、二度と友人にはなれないと決別を宣言します。「もし、私たち2人の立場が逆だったら…」というヨンジュの言葉が、チェリンの胸に深く突き刺さるのでした。

忍び寄る過去の影、チョ・ピルドゥの執念

一方、ミン・スアの行方を執拗に追う男、チョ・ピルドゥの捜査網は、着実にヨンジュへと近づいていました。一度は手がかりを失いかけたピルドゥでしたが、偶然にも病院でヨンジュの母、ト・ヒョンスクの娘と出会います。彼女が20年前に心臓手術を受けたと聞いたピルドゥは、過去の記憶と結びつけ、ついにヒョンスクが営む店を突き止めるのです。

店でヒョンスクと対峙したピルドゥ。ヒョンスクは必死に他人を装いますが、ピルドゥは彼女の顔にある大きな火傷の痕を見逃しませんでした。その傷は、20年前、火事の中から幼いスアを救い出した時にできたものだったのです。

ピルドゥがスアの居場所を問い詰めているまさにその時、仕事から帰ってきたヨンジュが店に入ってきます。母親が男に詰め寄られているのを見て「お母さん!」と声をかけるヨンジュ。その胸元には「ハ・ヨンジュ」と書かれた名札が。ピルドゥは、獲物を見つけたかのようにほくそ笑むのでした。

明かされる20年前の真実

ヒョンスクはなんとかピルドゥを店の外に連れ出し、「スアはうるさかったから捨てた」と嘘をついて追い返します。しかし、ピルドゥはヨンジュこそがスアだと確信しており、彼女を利用して大金をせしめようと企むのでした。

一人になったヒョンスクは、その場に崩れ落ちます。彼女の脳裏には、20年前の忌まわしい記憶が蘇っていました。

当時、長女が重い心臓病を患い、手術費が払えず途方に暮れていたヒョンスク。彼女は、ピルドゥがスアを誘拐するのを黙認してしまったのです。その身代金で娘の手術費を払おうとした、あまりにも悲しい罪でした。しかし、結局、匿名の支援者のおかげで娘の手術は成功。一方、スアは誘拐後の火災で記憶を失ってしまいました。

罪悪感に苛まれたヒョンスクは、記憶を失ったスアを警察に届けようとします。しかし、幼いスアはヒョンスクを「お母さん」と呼び、決して離れようとしませんでした。その姿に心を揺さぶられたヒョンスクは、スアを自分の娘「ハ・ヨンジュ」として育てることを決意したのです。これが、ヨンジュの過去のすべてでした。

新たな火種、チェリンを襲う脅迫状

物語の終わりは、さらなる波乱を予感させます。会社で、パク・ヘランが「ミン・スアの居場所を知っている」と書かれた一通の脅迫状を発見。あまりの衝撃に、その場で意識を失ってしまいます。

そこへ偶然通りかかったのが、ミン・チェリンでした。倒れているヘランと、彼女が握りしめていた脅迫状を見つけたチェリン。もし、本物のミン・スアが戻ってきたら、自分の今の立場はどうなってしまうのか? チェリンの顔から血の気が引いていくところで、12話は幕を閉じます。

『かくれんぼ』第12話の感想

今回は、これまで断片的にしか描かれなかった20年前の事件の真相、そしてハ・ヨンジュという人間の成り立ちが明らかになり、物語が大きく動きました。ト・ヒョンスクが犯した罪は決して許されるものではありませんが、瀕死の娘を前にした母親の絶望を思うと、一方的に彼女を責めることができない複雑な気持ちになります。記憶を失い、自分を「お母さん」と慕う幼いスアを、どうしても見捨てることができなかった。その人間的な弱さと愛情が、この長い悲劇を生んでしまったのでしょう。

また、ヨンジュがチェリンに抱く嫉妬や対抗心の根源も、今回のエピソードでより深く理解できました。彼女の攻撃的な態度の裏には、常に「もし自分が本当のミン・スアだったら」という、奪われた人生への渇望があったのかもしれません。各キャラクターの感情が緻密に描かれ、物語の奥行きが一層増したように感じます。

つづく