ミン家の身代わりとして、全てを犠牲にしてきたミン・チェリン。彼女の運命が、非情な刃となって突きつけられる第16話が幕を開けます。

娘ハ・ヨンジュの受けた仕打ちに心を痛める母ト・ヒョンスク。その姿を見たヨンジュは、自分たちを不幸に陥れたチェリンへの復讐を静かに、しかし固く誓うのでした。彼女が次なる一手として選んだのは、なんと敵の懐に飛び込むこと。チェリンの養母であるパク・ヘランに巧みに近づき、同情を引くことで彼女の秘書の座を狙います。

その頃、ミン家を牛耳る祖母ナ・ヘグムは、占い師から不吉な予言を聞かされていました。「ミン・チェリンが会社を乗っ取る」――。最初は笑い飛ばしていたヘグムですが、悪夢にうなされ、次第に不安を募らせていきます。そして、彼女は血も涙もない決断を下すのです。

ヘグムは弁護士を呼び出し、驚くべき計画を打ち明けます。本物の孫娘ミン・スアが見つかり次第、チェリンを即刻養子離縁し、ミン家から追い出すというのです。血の繋がりのないチェリンに会社を渡す気など毛頭ない、と。この恐ろしい会話を、チェリンは扉の向こうで聞いてしまいました。

会社のため、家族のため、愛のない結婚まで受け入れた自分の人生は何だったのか。20年育てた犬でさえ、こんな風には捨てないだろう。激しい怒りと絶望に打ち震えるチェリン。しかし、彼女はただ泣き寝入りする女ではありません。「やられる前に、やるしかない」。チェリンは、スアが本当に生きているのか、自らの手で真実を突き止めることを決意します。

一方、チェリンの元夫ムン・ジェサンは、秘密資金を任せていた愛人が姿を消し、焦っていました。その裏に父ムン・テサンの指示で動いた秘書チャ・ウニョクがいると知り、激しく問い詰めます。ジェサンの悪事も、すべて会長にはお見通しだったのです。

チェリンは、かつて誘拐犯チョ・ピルドゥから受け取った「証拠品」(スアの髪の毛)をゴミ箱から必死に探し出します。そして、キム室長の協力のもと、パク・ヘランの歯ブラシを手に入れることに成功。ついに、スア生存の真偽を確かめるための親子鑑定に乗り出すのです。

その頃、当のチョ・ピルドゥは、新たな金づるを見つけていました。それは、偶然耳にした衝撃の事実――チャ・ウニョクが自分の実の息子であるということ。不敵な笑みを浮かべるピルドゥの胸に、新たな策略が渦巻きます。

様々な思惑が交錯する中、ジェサンの放ったデマによって、チェリンの会社は製品への信頼を失い、経営危機に陥ります。

そんなこととは露知らず、チェリンはついに親子鑑定の結果を手にします。震える手で開いた報告書には、「親子関係は成立する」の文字が。ミン・スアは、本当に生きていたのです。

呆然とするチェリン。これから自分はどうなるのか?その時、背後から「何を見ているの?」と声をかけたのは、パク・ヘランその人でした。驚きのあまり、チェリンの手から鑑定書がハラリと地面に落ちる。ヘランがそれを拾おうと手を伸ばした瞬間、チェリンは必死にそれを隠そうとします。涙を浮かべ、ただヘランを見つめることしかできないチェリン。物語は、最大のピンチを迎えたところで幕を閉じます。

『かくれんぼ』第16話の感想

今回のエピソードは、これまでチェリンを応援してきた視聴者にとって、あまりにも辛い展開でした。会社と家族のために身を粉にしてきた彼女の努力が、祖母ヘグムの「血の繋がりが全て」という冷酷な一言で踏みにじられる場面は、見ていて胸が痛みました。しかし、絶望の淵から立ち上がり、自らの手で運命を切り開こうとするチェリンの強さには、改めて心を打たれます。一方で、復讐のために悪女へと変貌していくヨンジュの姿も印象的でした。さらに、チョ・ピルドゥがウニョクの父親であったという衝撃の事実も明かされ、各キャラクターの秘密と嘘が複雑に絡み合い、物語の根幹が大きく揺らぎ始めました。張り巡らされた伏線が一気に動き出し、物語の深みが一層増した回だったと感じます。

つづく