ついに自分が本物の「ミン・スア」であると知ったハ・ヨンジュ。その瞬間から、彼女の中で何かが決定的に変わりました。これまで自分を苦しめてきたミン・チェリンは偽物で、自分が正真正銘の持ち主だったのだと、歪んだ喜びに満たされます。彼女はもう「ハ・ヨンジュ」ではなく、「ミン・スア」として生きていくことを決意するのでした。

新しく「娘」となったスア(ヨンジュ)を、母のパク・ヘランはこれ以上ないほどに可愛がります。二人はチェリンをわざと連れ出し、目の前で親密な母娘の時間を楽しむのです。楽しそうに買い物や美容室へ行く二人を、チェリンはまるで部外者のように、ただ黙って見つめるしかありませんでした。その寂しげな横顔を盗み見て、スアは心の底から快感を覚えるのでした。

そんなチェリンを心配したチャ・ウニョクは彼女を呼び出し、メークパシフィックとの契約は、ムン・テサン会長が会社を監視するための第一歩に過ぎないと警告します。しかし、傷ついたチェリンは「同情なんてしないで」と彼を突き放してしまいます。20年間、スアとして生きてきた自分の人生がすべて偽りだった今、ウニョクの優しささえも彼女には辛く感じられたのです。

その頃、テサングループではとんでもない事態が起こっていました。チャ・ウニョクの父、チョ・ピルドゥが大声で騒ぎを起こし、駆け付けたウニョクとのただならぬ関係をムン・ジェサンに目撃されてしまいます。ジェサンはこのチャンスを逃しません。彼はピルドゥを金で誘い、ウニョクがピルドゥの息子であるという衝撃の事実、そしてハ・ヨンジュが本物のミン・スアであるという秘密まで聞き出すことに成功します。

一方、ナ・ヘグム会長もDNA鑑定の結果を手にし、ヨンジュが本物の孫娘スアだと確信。これまでの自分の仕打ちを悔い、罪悪感からスアを抱きしめて泣き崩れます。「あなたこそ高貴な財閥の娘だ」と、手のひらを返したように彼女を溺愛し始めるのでした。父ミン・ジュンシクも鑑定報告書を手にし、20年ぶりに再会した娘を愛おしそうに抱きしめます。家族団らんの温かい光景を目の当たりにしたチェリンは、静かにその場を去り、自室で孤独を噛みしめるしかありませんでした。

幸せの絶頂にいるスアは、実母ヘランから育ての親であるト・ヒョンスクを「誘拐犯」として切り捨てるよう諭されます。そして、その言葉を裏付けるかのように、ナ・ヘグム会長が部下を引き連れてヒョンスクの家に乗り込みます。ヘグムはヒョンスクを罵倒し、家財をめちゃくちゃに破壊。「自分の舌を噛んで死ね」とまで言い放ち、ヒョンスクはただ泣きながら許しを請うことしかできませんでした。

ジェサンはチェリンを会社に呼び出します。彼を待つ間、チェリンはジェサンの机の上に置かれた未発表の新聞記事を見つけてしまいます。そこには、自分とウニョクのスキャンダルが。その瞬間、チェリンはすべてを悟ります。ウニョクがジェサンの元にいたのは、このスキャンダルを抑え、自分を守るためだったのだと。

駆けつけたウニョクから記事を奪い返されたチェリンは、「なんて馬鹿な人なの!」と涙ながらに叫びます。誤解が解けた二人は、お互いへの想いを再確認します。ウニョクはどんなことがあってもチェリンを守り抜くと誓い、彼女を優しく抱きしめました。

しかし、その感動的な再会の場面を、冷たい視線で見つめる人物がいました。ミン・スアです。彼女はチェリンの涙を拭うウニョクの姿を憎しみを込めて見つめながら、祖母ヘグムからの電話に出ます。「プレゼントは何が欲しい?」と尋ねる祖母に、スアは凍えるような声でこう答えました。

「とても、とても欲しいものがあるの」と。その視線の先には、チャ・ウニョクがいました。

『かくれんぼ』第30話の感想

今回のエピソードは、登場人物たちの立場と感情が劇的に反転する、物語の大きな転換点でした。これまで虐げられてきたハ・ヨンジュが「ミン・スア」という最強のカードを手に入れ、復讐心と嫉妬に満ちた表情を見せた時には、思わず背筋が凍る思いがしました。一方で、家族からも愛する人からも誤解され、完全に孤立してしまったチェリンの姿は見ていて非常に胸が痛みます。彼女がようやくウニョクの真意を知り、二人の心が通じ合った場面は唯一の救いでしたが、それを脅かす新たな火種がすぐに生まれる展開には息をのみました。それぞれの正義と欲望がぶつかり合い、誰一人として単純な善悪では語れない深みが出てきたように感じます。この複雑に絡み合った人間関係が、今後どのような悲劇と真実を紡ぎ出すのか、静かに見守りたいと思います。

つづく