ついに、この時が来てしまいましたね…。20年間、行方不明だったミン家の本当の娘、ミン・スアが帰ってきました。いや、正確にはハ・ヨンジュが「私がミン・スアよ」と名乗り出て、母パク・ヘランがそれを信じ、狂喜乱舞で家に迎え入れた、というのが第29話の幕開けです。
ヘランはヨンジュを固く抱きしめ、これまでチェリンに向けていた愛情をすべてシャットアウト。チェリンが心配して手を差し伸べても、その手を振り払い、ヨンジュだけを連れて家の中へ…。その時のチェリンの姿は、まるで雨の日に捨てられた子犬のようでした。切なすぎますよね。
さらにヘランは、ヨンジュを育てたト・ヒョンスクを見つけるやいなや、憎しみを込めて平手打ち!「あなたさえいなければ、私のスアはこんなに苦しまなかった!」と叫びます。まあ、その気持ちも分からなくはないですが、あまりの変わり身に唖然とします。
自分の居場所がなくなったと感じたチェリンは、絶望の中で車を飛ばします。そこへ現れたのは、恋人のチャ・ウニョク。でも、今のチェリンが聞きたい言葉を彼はかけてくれません。「君ならできる」という励ましよりも、「そばにいるよ」の一言が欲しかったのに…。二人の心は、悲しいくらいにすれ違ってしまいます。
一方、ミン家では新たな火種が。祖母のナ・ヘグムは、突然現れたヨンジュを全く信用していません。ヘランと口論の末、突き飛ばされてしまいます。そして、キム室長にヘランとヨンジュのDNA鑑定を密かに命じるのでした。さすがはナ会長、冷静です。
そして忘れてはいけないのが、泰山グループのムン親子。会長のムン・テサンは、息子ジェサンに「本物のスアを見つけ出せば、チェリンは用済みになる」と悪魔の囁きをします。ジェサンもその気になっている様子で、チェリンの背後にはさらなる危機が迫っています。
そんな四面楚歌のチェリンに、意外な人物が手を差し伸べます。それは、これまで敵対していたキム室長でした。「あなたが会社の株主である限り、誰もあなたを追い出せません。これからの道を考えなさい」と。この一言が、チェリンの心に再び火を灯します。涙を拭い、彼女は前を向く決意を固めるのでした。
物語のラスト、庭で一人ブランコに乗るヨンジュの前に、決意を秘めたチェリンが歩み寄ります。本物の娘と、これまで娘として生きてきた偽りの娘。二人の視線が交錯する時、一体どんな火花が散るのでしょうか。
『かくれんぼ』第29話の感想
今回のエピソードは、登場人物それぞれの感情が激しくぶつかり合う、非常に見ごたえのある回でした。特に、母親ヘランからの愛情を一夜にして失ったチェリンの絶望と孤独には、胸が締め付けられる思いです。これまで築き上げてきたものが、いかに脆い砂上の楼閣であったかを突きつけられました。一方で、本物の娘として現れたヨンジュのしたたかさも見え隠れし、彼女が本当に純粋な被害者なのか、今後の動向から目が離せません。そんな中、父ジュンシクの変わらぬ愛情や、敵であったはずのキム室長の助言が、チェリンにとって唯一の光となっています。人間の愛憎や欲望が複雑に絡み合い、物語に一層の深みを与えていました。
つづく