釜山での暗躍、そして新たな火種

物語は釜山から始まります。我らが食えない男、キム教授は仲介人を通じて中国の壺を手に入れると、それをネタにヤクザと繋がりのある男をまんまと騙し、見返りとして本物のヤクザの日本刀と金の銃を手に入れます。この男、ただの学者じゃありません。悪事にためらいがなさすぎます。

その頃、木浦ではグァンソク率いるチームが次の一手を協議中。ひとまず潜水士のソクベを雇うことで話はまとまりますが、グァンソクはキム教授への警戒を強めるよう釘を刺します。しかし、問題は山積み。宝探しに使うはずだったテサンの船が、沿岸警備隊に目をつけられる可能性があるため使えないというのです。結局、テサンの妻の甥の船を借りるため、グァンソクはしぶしぶ追加料金を支払う羽目に。計画は序盤から暗雲が立ち込めています。

美女の気まぐれと、非情なる指令

ソウルでは、さらに大きな問題が発生。陶磁器の買い手であるチョン会長の妻、ジョンスクが突然「買い取り価格は500万まで」と言い出したのです。夫である会長も彼女には頭が上がらない様子。これには計画の仲介役であるキテクも頭を抱えてしまいます。

友人のソンチョルに相談したキテクは、「偽物をチョン会長に売りつけ、本物は選挙シーズンの政治家に流す」という、さらに悪質な計画を思いつきます。金と違って、壺は賄賂として足がつきにくいというわけです。

この状況を電話で聞いたグァンソクは、とんでもない策を思いつきます。彼はチーム最年少のヒドンをソウルへ呼び寄せ、美しい壺を持たせてジョンスクの元へ送り込むのです。しかし、本当の“贈り物”は壺ではなく、ヒドン自身でした。そう、グァンソクはヒドンに「色仕掛けでジョンスクの心を変えろ」と非情な命令を下したのです。

キテクから口上を教わり、ジョンスクの屋敷を訪ねるヒドン。一度は壺を叩き割られ追い返されますが、彼女からブティックで会いたいという密なメモを受け取ります。そして二人はついに一線を超えてしまうのでした。ジョンスクはヒドンに新しい服を買い与え、会長を説得すると約束。しかしヒドンは、作戦後の仕事の世話をするという彼女の申し出を断るのでした。純粋な青年が、大人の汚いゲームに巻き込まれていく瞬間は、見ていて胸が痛みますね。

忍び寄る敵と、チームの亀裂

木浦では、不穏な動きが加速します。キム教授はなんと、刑務所長と取引して危険な男ボクグンを2週間だけ仮釈放させることに成功。市場でキム教授とボクグンが一緒にいるのを目撃したグァンソクは愕然とします。

一方、グァンソクのチーム内にも亀裂が。潜水士不足から自ら潜ると言い出したテサンでしたが、プロのソクベから「あんたの腕じゃ死ぬ」と一蹴され激怒。市場でやさぐれていたところを敵であるボルグに声をかけられ、チームの不満を漏らしてしまいます。この軽率な行動が、後にとんでもない事態を引き起こしそうな予感がします。

様々な思惑が渦巻く中、グァンソクたちはついに夜の海へ偵察に出ます。しかし、彼らが必死に沈没船の場所を探していると、後方から一隻の船が…。そう、キム教授のチームが彼らを追ってきたのです!絶体絶命の状況で、第3話は幕を閉じました。

『パイン ならず者たち』第3話の感想

今回のエピソードは、各キャラクターの欲望と策略がより深く、そして生々しく描かれた回でした。特に印象的だったのは、グァンソクがヒドンに下した非情な命令です。目的のためなら仲間を“駒”として利用することも厭わない彼の冷徹さが際立ち、物語に一層の緊張感を与えています。一方で、その命令に戸惑いながらも従い、大人の女性との禁断の関係に足を踏み入れてしまうヒドンの姿は、危うさと哀愁を感じさせました。彼の純粋さが、この汚れた世界でどう変わっていくのか、あるいは変わらないでいられるのか、目が離せません。また、キム教授側の狡猾な動きや、グァンソクチーム内に生じ始めた不協和音など、複数のプロットが巧みに絡み合い、物語に奥行きを生み出しています。単純な宝探しのアドベンチャーではなく、人間の業を描く重厚な人間ドラマとしての側面が強まった、非常に見ごたえのある内容でした。

つづく