第10話、見ましたか?いやぁ、今回は弁護士としての正義とは何か、そして本当の「勝利」とは何かを、これでもかというほど突きつけられるエピソードでしたね。胸にズシンとくる展開の連続で、見終わった後もしばらく考え込んじゃいました。
さっそく、胸が締め付けられるような第10話の世界に飛び込んでみましょう!
相容れない依頼、チャンウォンの葛藤
物語は、我らがチョ・チャンウォン弁護士が頭を抱えるシーンから始まります。いじめ被害者ムン・チャニョンの正当防衛を立証しようと奮闘している真っ最中に、なんと今度は「いじめ加害者」の弁護というとんでもない案件が舞い込んできたんです。
「さすがにそれは無理ですよ!」と上司に食い下がりますが、「弁護士が仕事を選ぶな」と一蹴されてしまいます。結局、同じ警察官の前で、ある時は被害者のために、またある時は加害者のために弁護するという、自己矛盾に満ちた状況に立たされるチャンウォン。彼の苦悩が痛いほど伝わってきました。
しかし、彼の努力は無駄にはなりませんでした。チャニョンの裁判では、彼の主張する正当防衛が認められ、検事までもが執行猶予を求めるという驚きの展開に!結果、チャニョンは刑務所に行かずに済み、チャンウォンは大きな安堵と達成感に包まれます。この一件で、彼は検事という新たな道に光を見出し、募集要項を調べるのでした。彼の正義感が、新たなキャリアへと彼を導くのかもしれませんね。
不本意な勝利、ジュヒョンの心の傷
一方で、アン・ジュヒョン弁護士は、キャリアの中でも最も後味の悪い勝利を経験することになります。
彼の元に訪れたのは、保険会社の過酷なノルマによって夫テヒョンを自殺で亡くしたシン・ジヘ。チームの誰か一人がノルマを達成できないと全員帰れないという、異常な社内文化。達成できない社員は自腹で保険に加入させられていたというのです。これは許せないと、ジュヒョンはジヘのために会社を訴えようと決意します。
しかし、ここで事務所のパートナー、ナ・ギョンミンが横やりを入れてきます。「もっと高額な報酬を提示してきた」という理由で、なんと相手方の保険会社「デウスGA」の弁護を引き受けてしまったのです。ジュヒョンは納得できませんでしたが、結局は事務所の方針に従い、不本意ながらデウスGA側の弁護士として法廷に立つことに。
彼は会社側の人間として、自殺したテヒョンが元々うつ病だったかのように見せかける嘘の証言を並べる社員たちを前に、反論の余地がないという主張を展開します。もちろん、裁判はジュヒョン側の勝利。しかし、彼の心には大きな傷が残りました。終業後、彼に泣きつくように保険加入を頼んできたデウスGAの別の社員の姿が、この勝利がいかに空虚なものだったかを物語っていました。
ヒジの優しさが生んだ最善の策
そんな中、カン・ヒジ弁護士は、彼女らしい優しさで依頼者を救います。彼女の元に来たのは、20年前に離婚して以来音信不通だった父親が亡くなり、莫大な借金を残されたという姉妹。問題は、父親が再婚相手との間にもうけた幼い息子がいること。姉妹が相続放棄をすれば、その借金がすべて幼い異母弟にのしかかってしまうのです。
上司のカン・ジョンユンは「感情的になるな」と突き放しますが、ヒジは諦めません。彼女は「限定承認」という、時間も手間もかかるけれど、相続財産の範囲内で借金を清算し、誰も借金を背負わずに済む方法を提案します。姉妹もこれに同意し、会ったこともない異母弟を救う道を選びました。効率や利益だけではない、人としての温かさが光る解決策でしたね。
そして、妊娠中のペ・ムンジョンは体調の不安を抱えながらも、職場復帰。しかし、同僚が自分の後任を探す求人広告を準備しているのを見てしまい、キャリアと出産の両立という現実に直面します。
それぞれが困難な案件と向き合い、苦悩し、それでも前を向こうとする弁護士たち。物語の最後、5人がいつものように集まって食事をし、互いの存在に慰めを見出すシーンは、唯一の救いでした。
『瑞草洞<ソチョドン>』第10話の感想
今回のエピソードは、弁護士という職業の持つ光と影を強烈に描き出していました。特に印象的だったのは、アン・ジュヒョンとカン・ヒジの対照的な結末です。ジュヒョンは、事務所の利益のために自らの信念を曲げ、望まない「勝利」を手にしました。その空虚感は、見ているこちらまで苦しくなるほどでした。一方でヒジは、効率的ではないかもしれないけれど、依頼者と関係者全員が救われる道を選び取りました。何が本当の正義で、何が本当の勝利なのか。このドラマは、単純な善悪二元論では語れない、職業倫理の深淵を巧みに見せてくれます。チャンウォンが検事という新たな道を考え始めたのも、組織の中で揺らぐ正義に疑問を抱いたからかもしれません。単なる法廷ドラマに留まらない、登場人物たちの人間的な葛藤に深く引き込まれた回でした。
つづく