11話は、ソンアの霊的な母親である将軍が命を落とすという、あまりにも悲しいシーンから幕を開けます。彼女を手にかけたのは、悪霊ボンス。生き延びたいという本能に突き動かされたとはいえ、その罪は重く、ついに100人目の犠牲者を出したボンスは、恐ろしい「悪神」へと変貌してしまいました。

母を失ったイェン・ホアは怒りと絶望に駆られ、逃げたボンスを追い、自らの命を絶とうとします。しかし、それを必死に引き留めたのはソンアでした。「母様はあなたを救うために死んだのよ」と、これからは自分がイェン・ホアを守ると誓うソンアの姿は、痛々しくも力強かったですね。

場面は変わり、ギョヌの姿をしたボンスがソンアとデートする幻想的なシーンへ。彼は「もうボンスを感じない」と囁きます。二人きりの時間を楽しむ中、ソンアは彼にキスをし、そして静かに涙を流しながらそっと塩をまくのです。この行動の意味、切なすぎませんか…。その後、本物のギョヌが目を覚ますと、そこにソンアの姿はもうありませんでした。

数ヶ月が過ぎても、ソンアは戻らない。ギョヌはアーチェリーに没頭し、メダルを次々と獲得しますが、心は満たされません。

そんな中、ギョヌはかつて自分を苦しめた古い友人が退院したと聞き、彼女を訪ねます。彼女こそが火事を引き起こした張本人であり、同時にギョヌの最初の友人でもあったのです。だからこそ、彼は彼女を見捨てることができなかった。二人は過去を乗り越え、穏やかに別れます。このエピソードでギョヌの懐の深さがまた浮き彫りになりましたね。

卒業式の日、パーティーには戻るというソンアの約束も虚しく、彼女は現れませんでした。ギョヌと親友ジホは、寂しさを胸に二人で祝います。

ソンアの行方を追い求めるギョヌは、彼女の家でイェン・ホアと再会します。イェン・ホアは「ソンアは死んでいない」と告げます。もし死んでいたら、和合術で結ばれた二人の夢に、白い服を着てお別れを言いに来るはずだから、と。そして、彼女を見つけるための方法をギョヌに授けるのです。

しかし、これにはイェン・ホアの恐ろしい企みが隠されていました。彼女はギョヌを利用してソンアを見つけ出し、ソンアの中にいる悪神を祓う唯一の方法として、彼女を殺害するつもりだったのです。

何も知らないギョヌは、お守り職人からお札を受け取り、顔のない幽霊たちを捕らえ始めます。ソンアを探すためのしもべにするために。そしてついに、一人の幽霊がギョヌをソンアの元へと導きます。

そこは山の中の広場。ソンアは100の魂を慰めていました。ギョヌがソンアを見つけたその時、彼を尾行していたイェン・ホアも現れます。ギョヌは間一髪でソンアをイェン・ホアの手から逃がすことに成功します。

そして、さらに数年の時が流れます。

ギョヌはスターアーチェリー選手となり、ジホはギョヌの祖母の家で一緒に暮らすように。それでも二人の心からは、ソンアへの想いが消えることはありませんでした。

ある日、ギョヌはイェン・ホアに、奇妙な夢について打ち明けます。高校の同級生が出てくる夢を頻繁に見るが、まるでソンアの夢に入り込んでいるような感覚だ、と。しかし、夢の中でソンア本人を見つけることはできないのです。

その夢の真実…それは、ギョヌがソンアの夢にアクセスしていた、ということ。ソンアはギョヌを傷つけることを恐れ、夢の中の戸棚にボンスと共に隠れていたのでした。

ギョヌは夢で見た古い教室の絵が、ソンアの家族の友人であるお守り職人の家に似ていることに気づきます。

そして、物語は衝撃のラストへ。お守り職人の家を訪れたギョヌは、ついに「ソンア」と再会します。彼女はギョヌにキスをするのですが…その瞬間にギョヌは悟るのです。目の前にいるのはソンアの体を使ったボンスだということを。

『巫女と彦星』第11話の感想

今回のエピソードは、物語の歯車が大きく、そして残酷にきしむ音を聞いたような回でした。ソンアとギョヌの純粋な想いが、悪神となったボンスと、歪んだ正義を抱くイェン・ホアによって無残にも引き裂かれていく様に、ただただ胸が締め付けられます。特に、数年という長い時間が経過しても色褪せないギョヌの想いと、彼を傷つけまいと夢の中に隠れるソンアの決意が交差するシーンは、涙なしには見られませんでした。希望が見えたかと思えば、さらに深い絶望が待ち受けている。この巧みなストーリーテリングには感服するばかりです。最後のキスシーンで、愛しい人の姿をした悪神と対峙することになったギョヌの表情が忘れられません。物語は最終章に向けて、より重厚でダークな領域へと足を踏み入れたようです。

つづく