まず、ソンアがギョヌ(の中のボンス)と対峙するシーン。ソンアはついに、目の前にいるのが愛するギョヌではないと気づいてしまいます。ボンスも観念したのか、自分がどうしてギョヌの体を乗っ取ることになったのか、そしてあのイェン・ホアが裏で糸を引いていたことを、ソンアの霊媒師の母親に洗いざらいぶちまけました。

ショックで打ちひしがれるソンアですが、母親は「ボンスを憎むのではなく、その魂を慰め、愛されたいという渇望を満たしてあげなさい」と諭します。なんて懐の深いお母さん…。その頃、元凶のイェン・ホアは姿をくらまし、次なる悪だくみを始めている様子。不穏すぎます。

母親の言葉を受け、ソンアはボンスに優しく接することに。するとボンスは、まるで水を得た魚のように学校生活をエンジョイし始めます!友達をたくさん作り、クラスの人気者になっていくボンス。でも、その姿を見れば見るほど、ソンアの心にはギョヌへの想いが募り、悲しみは深まるばかり…。切ないですよね。

そんなある夜、ソンアは「丑の刻」の存在を思い出します。そう、幽霊たちの時間です!今は幽霊となってしまったギョヌに会えるかもしれない。その望み通り、ソンアはギョヌの意識を呼び覚ますことに成功します。

ギョヌは夢の中で、二人の少年兵を見たと語ります。ソンアは、それがボンスの過去を知る手がかりであり、彼を成仏させるヒントになるかもしれないと考え、ギョヌにその兵士たちと接触するよう頼みます。しかし、ギョヌが近づこうとすると、なんと兵士たちに発砲されてしまう始末。前途多難です。

一方、ギョヌの体で青春を謳歌するボンスの噂は、イェン・ホアの耳にも届いていました。彼女はボンスに接触し、「ソンアはギョヌを取り戻したいだけ。信じられないなら試してみなさい」と揺さぶりをかけます。

イェン・ホアの口車に乗せられたボンスは、彼女が盗み出したお守りを使い、丑の刻にギョヌが目覚めるのを妨害。そうとは知らずギョヌを呼び出したソンアは、彼(ボンス)に向かって「ボンスを成仏させる方法を探している」と語りかけてしまいます。自分の本心を聞かれてしまったソンアと、裏切られたと感じて深く傷つくボンス。二人の心がすれ違っていくのが、見ていて本当につらかったです。

翌日、ボンスはソンアとジホをある場所に連れて行きます。そこは、彼の友人の慰霊碑がある場所でした。ボンスは、死にゆく友人から母親に渡してほしいと指輪を託されたものの、その役目を果たす前に殺されてしまったという過去を告白。これが彼の未練の正体だったのです。彼はその指輪を慰霊碑のそばに埋めました。

この一件から、ボンスは完全に心を閉ざしてしまいます。そんな中、友人を想うジホが動きました。ギョヌを取り戻すため、イェン・ホアに助けを求めてしまいます。イェン・ホアはジホを利用して、ボンスが埋めたあの指輪を手に入れることに成功。

実はイェン・ホア、以前に死神を呼び出そうとしてソンアの母親に霊力を奪われていました。しかし、その指輪を使い、再び死神を召喚する儀式を始めてしまいます。目的は、ボンスを、そして彼と体を共有するギョヌごと冥界へ送ることでした。

家族の危機に、ソンアたちは緊急作戦を決行!ボンスを部屋に閉じ込め、ソンアは死神を欺くために指輪が埋められていた場所で偽の儀式を行います。

計画は順調に進むかと思われました。しかし、部屋に一人残されたボンスが、怒りと絶望の中で、かつて読んだソンアの呪文の本を使い、イェン・ホアに逆呪いをかけてしまったのです!イェン・ホアは呪いと死神の接近を感じますが、なぜか何も起こりません。

その時、衝撃の事実が明らかになります。ソンアの母親がイェン・ホアに渡していたハンカチが、実は彼女自身を守るための「人間お守り」だったのです。その結果、死神が連れて行ったのは…イェン・ホアではなく、ソンアの母親でした。皆が泣き崩れる中、イェン・ホアもまた、自分のために命を落とした恩人の死を嘆き悲しむのでした。

『巫女と彦星』第10話の感想

今回のエピソードは、物語の根幹を揺るがすような、非常に重く、そして悲しい展開でした。特に、これまで絶対的な守り手であったソンアの母親の退場は、あまりにも衝撃的です。彼女の深い愛情は、過ちを犯したイェン・ホアにさえ向けられていました。その自己犠牲的な行動が、最終的に自身の命を奪う結果になってしまったことに、言葉を失います。この悲劇が、改心するきっかけになるのか、イェン・ホアの今後の動向から目が離せません。

また、ギョヌの体で束の間の青春を楽しむボンスの姿と、その裏にある「愛されたい」という純粋な願いが痛いほど伝わってきて、彼を単純な悪役として見ることができなくなりました。ソンアの本心を知り傷つく場面は、彼の孤独を際立たせていました。この物語は、誰か一人が悪なのではなく、それぞれのキャラクターが持つ痛みや未練が複雑に絡み合っているのだと改めて感じさせられます。大きな支えを失ったソンアたちが、この絶望的な状況をどう乗り越えていくのか。物語は新たな局面を迎え、より一層深みを増したように思います。

つづく