呪いを引き受けた巫女、ソンアの覚悟

物語は、ギョヌがアーチェリーの大会に臨むところから始まります。イェン・ホアがギョヌに呪いをかけようとしている中、ソンアは自らが盾となり、その呪いを一身に引き受けてしまいます。そのおかげでギョヌは大会で見事優勝を飾りますが、ソンアの霊的なオーラはどんどん黒く、不吉なものに…。見ていてハラハラしましたね。

ソンアの異変に気づいたギョヌは、彼女を救うため、ソンアの母の姉である霊的な存在に助けを求めます。彼女はギョヌからソンアの「人間お守り」を受け取り、二人を守るために神々に祈ることを約束。しかし、ギョヌに「神々が君の霊感を閉じるまで、絶対に悪霊に近づいてはならない。特に、血を見たり流したりしてはならない。さもないと、二度と戻ってこられなくなる」と厳しい警告を与えます。これが、後の悲劇の引き金になるなんて…。

明かされるイェン・ホアの悲しき過去

一方、呪いの影響で体調が優れないソンアは、家でイェン・ホアが目に見えない木の箱を背負っている姿を目撃します。ソンアがそのことを伝えると、イェン・ホアは錯乱。実はその箱は、彼女がかつて亡くした我が子の棺であり、儀式によって子供を幽霊にしてしまったことで、その棺を永遠に背負うという罰を受けていたのです。

イェン・ホアの霊的な母は、それが彼女の罪に対する神々の罰だと説明しますが、絶望したイェン・ホアは、自らの師でもあった霊的な母を呪うことを誓うのでした。悪役だと思っていたイェン・ホアの背景にある深い悲しみが明らかになり、なんとも言えない気持ちになりましたね。

禁忌を破ったギョヌと、衝撃の結末

ギョヌは自分の霊能力のことを隠したまま、ソンアのそばにいます。ある夜、二人が寄り添って眠っているところをソンアの母に見つかってしまい、大目玉を食らうなんていう微笑ましい(?)シーンも。

しかし、平穏は長くは続きません。学校でソンアは高熱を出し、いじめられている同級生のボムスに自殺霊が取り憑いているのを見つけます。ボムスは台所からナイフを盗み出しており、危険な状況。ソンアは彼を助けようとしますが、ギョヌは悪霊を避けろという警告を思い出し、ためらいます。

ですが、愛するソンアを守るため、ギョヌは結局助けに入ります。もみ合いの中、ギョヌはナイフで手を切ってしまい、床に血が滴り落ちた瞬間、気を失ってしまいました。

保健室で目覚めたギョヌは、霊的な嗅覚と味覚まで覚醒してしまったことに気づきます。彼はソンアを家に連れ帰り、3日間つきっきりで看病。ソンアが回復した後、彼女はギョヌを弓道の練習に連れて行きますが、彼が練習前に行ういつもの手の運動をしなかったことから、目の前にいるのがギョヌではないと見抜きます。

ソンアが「あなたは誰?ギョヌはどこ?」と問い詰めると、彼はニヤリと笑い、こう言いました。

「俺が“食べた”」

彼に憑依していたのは、以前から登場していたボンスだったのです!衝撃のラストに、思わず声が出てしまいました。

『巫女と彦星』第9話の感想

今回のエピソードは、登場人物それぞれの愛情の形が深く描かれていたように感じます。ギョヌを守るためなら自らの身を犠牲にすることも厭わないソンアの愛、そしてソンアを守るために禁忌を破ってしまうギョヌの愛。二人の純粋な想いが、逆に事態を複雑で深刻な方向へ導いてしまうのが、この物語の皮肉な点であり、魅力でもあります。また、これまでただの悪役に見えていたイェン・ホアが抱える、母としての深い悲しみと苦しみが明かされたことで、キャラクターに一層の奥行きが生まれました。彼女の行動原理が少し理解できたことで、物語全体の切なさが増したように思います。最後の憑依という衝撃的な展開も含め、各キャラクターの感情が丁寧に描かれた、見ごたえのある回でした。

つづく