人生で最も美しく輝く瞬間を意味する「花様年華」。もし、その時代を共に過ごした初恋の人と、全く違う境遇で再会してしまったら…?そんな切ない大人のラブストーリー『花様年華~君といた季節~』が、いよいよ幕を開けました。

20数年の時を経て…運命の再会は最悪の形で

物語は、現在の二人の姿から始まります。

かつては信念を胸に学生運動を率いたハン・ジェヒョン(ユ・ジテ)は、今や財閥の会長の娘婿となり、富と名誉を手に入れた冷徹な実業家。彼は会長の罪を被り、4年間の服役を終えて出所したばかりです。しかし、その忠誠心とは裏腹に、会長からは「猟犬」と揶揄され、子会社のスーパーへの左遷を命じられてしまいます。

一方、ピアノを専攻する裕福な家庭のお嬢様だったユン・ジス(イ・ボヨン)は、今は見る影もありません。夫とは離婚し、女手ひとつで息子のヨンミンを育てるシングルマザー。スーパーのレジ打ちやホテルのピアノ演奏など、いくつもの仕事を掛け持ちして、必死に生計を立てています。

そんな二人の運命が、皮肉な形で再び交差します。

それぞれの息子が、学校で暴力沙汰を起こしたのです。加害者の父として学校に呼び出されたジェヒョンと、被害者の母として呼び出されたジス。校長室で顔を合わせた二人ですが、うつむき謝罪するジスは、相手がジェヒョンであることに気づきません。しかし、ジェヒョンは声ですぐに彼女だと気づくのでした。

大雪の降る夜、終電を逃して途方に暮れるジス。そこへ、一台の車が停まります。車から降りてきたのはジェヒョンでした。

「見つけた、ユン・ジス(学生時代)」

その声に顔を上げたジスは、目の前の男が誰なのかを悟り、瞳に涙をあふれさせます。20数年ぶりの再会は、あまりにも突然で、そして切ないものでした。

すべての始まり…1993年の春

物語は、二人が出会った20数年前に遡ります。

1993年、催涙弾が飛び交うデモの現場。偶然巻き込まれてしまった新入生のジス(チョン・ソニ)は、学生運動の中心メンバーである法学部のジェヒョン(ジニョン/GOT7)に助けられます。転んで怪我をした彼女の手を、ジェヒョンは自分のハンカチで優しく手当てしてくれました。その凛々しい横顔に、ジスは一瞬で心を奪われてしまいます。

運命の出会いを信じたジスは、大学でジェヒョンを探し出し、猛アタックを開始。「付き合おう」とストレートに想いを伝えますが、学生運動に身を捧げるジェヒョンは冷たくあしらいます。それでもジスは諦めません。彼の行く先々に現れ、その真っ直ぐで純粋な想いを伝え続けます。

最初は迷惑そうにしていたジェヒョンも、太陽のように明るいジスの存在に、次第に凍っていた心が溶かされていくのでした。

『花様年華~君といた季節~』第1話の感想

過去のきらめくような恋愛模様と、現在の過酷で切ない現実。この二つの時間軸が巧みに交差することで、物語に深い奥行きが生まれています。学生時代のジニョンさんとチョン・ソニさんが演じる初々しい恋は、観ているこちらの胸が高鳴るほどに眩しく、それゆえにユ・ジテさんとイ・ボヨンさんが体現する現在の二人の境遇が一層やるせなく感じられました。特に、息子たちの問題がきっかけで再会するという展開は、運命の皮肉を感じずにはいられません。雪の降る中でジェヒョンがジスを見つけ出すラストシーンは、映像の美しさも相まって、これから始まる二人の物語が、決して平坦ではないけれど、それでも希望を探していく旅になることを予感させました。静かに、そして深く、心に染み入るような初回でした。

つづく