刃の先に灯った真実と、決して消えることのなかった愛の炎。今回は、登場人物たちの覚悟が試される、息をのむような展開でした。

病院で交錯する女たちの静かな戦い

ジェヒョンが刺され、病院に緊急搬送されるという衝撃的な幕開け。手術室の前で固唾をのんで待つジスの元に、妻であるソギョンが駆けつけます。ソギョンは冷たい視線でジスを「家族以外は立ち入り禁止」と追い払い、ジスはただその場を去るしかありませんでした。手術の成功を物陰から聞き届け、ようやく安堵のため息をつくジス。しかし、彼女の心は一晩中、病院の下をさまよい続けます。

一方、意識のないジェヒョンに付き添うソギョン。彼女はかつて夫に「いなくなればいい」とまで言い放った自分を思い出します。目の前でか細い呼吸を続ける夫の酸素マスクに手を伸ばしかけるも、その手を下ろすことしかできませんでした。彼女の知らないところで、犯人の老人はすでに事件を唆した人物として、チャン会長の部下であるイ・セフンの名を警察に自供していました。

暴かれる陰謀と、残酷な一枚の写真

ジスは、この事件が単純なものではないと直感します。彼女はセフンのオフィスに乗り込み、「ニュースではまだ犯人の名前も出ていないのに、なぜあなたはそんなに必死に関係を否定するの?」と鋭く問い詰めます。セフンの歪んだ笑みを見て、ジスはすべてを悟りました。セフンがジェヒョンと自分のデート場所を突き止め、息子を失って絶望していた老人を唆して凶行に及ばせたのです。「必ず代償を払わせる」と言い残し、ジスは復讐を誓います。

なんとかジェヒョンの顔を一目見ようと病室を覗き見たジスは、そこで衝撃的な光景を目にします。ソギョンが息子を連れて、まるで幸せな家族のようにジェヒョンと写真を撮っているのです。その写真はすぐにジスの携帯に送られてきました。打ちひしがれるジスに、ソギョンは電話越しに「見た?これが彼の世界よ」と追い打ちをかけます。

覚悟の再会と、崩れ始めた憎しみの連鎖

ジスは初めてソギョンに頭を下げ、「申し訳ありません」と謝罪します。しかし、「先輩のそばを離れる」という要求だけは、断固として拒否しました。「二度と何も言わずに消えたりしないと、私たちは約束したんです」と。

その頃、意識を取り戻したジェヒョンは、妻のいる家ではなく、母親の家へ移ることを決意します。そして、自分を刺した老人と面会に向かいました。そこでジェヒョンは、驚くべき事実を告げます。「私の父も、あなたと同じように会社に追い詰められて自ら命を絶ったんです」と。衝撃の事実に老人は泣き崩れ、土下座して謝罪します。ジェヒョンは彼を静かに立たせ、「あなたに刺された瞬間、不思議と憎しみが消えたんです」と語りかけ、長かった憎しみの連鎖に終止符を打ちました。

逆転の一手と、バスで訪れた奇跡

ジェヒョンを失脚させるためにチャン会長が仕掛けた増資計画は、完全に裏目に出ていました。株価は異常な高騰を続け、逆にチャン会長の会社が莫大な資金を投じなければならない状況に陥り、経営破綻の危機に瀕します。

元夫のヨンウに背中を押され、ジスはジェヒョンの母親を訪ねます。20数年ぶりの再会は、驚くほど温かいものでした。そこでジェヒョンはジスに「君がくれた勇気のおかげで、自分の居場所を取り戻す覚悟ができた」と伝えます。その言葉に、ジスの瞳にも再び強い光が宿りました。

帰り道、バスに乗ったジスの隣に、息を切らしたジェヒョンが飛び乗ってきます。二人はただ隣に座り、まるで学生時代に戻ったかのように、穏やかに微笑みあうのでした。

最後の切り札―離婚届

父親が検察の調査を受ける姿を見て、ソギョンはついに最後の手段に出ます。彼女はジスを呼び出し、衝撃の事実を告げました。「ジェヒョンが権力を欲しがるのは、私の父に復讐するためよ」と。信じようとしないジスに対し、ソギョンは一枚の紙を突きつけます。それは、彼女がすでに署名した離婚届でした。「彼を止めてくれたら、私は永遠に彼の前から消える」と。

『花様年華~君といた季節~』第15話の感想

今回は、登場人物それぞれの「覚悟」が胸に迫る、非常に見応えのある回でした。特に印象的だったのは、ジェヒョンが自分を刺した相手に見せた「許し」の姿勢です。復讐が復讐を生む連鎖の中で、自らの父親も同じ苦しみを抱えていたと知ることで、憎しみを超えた共感と解放に至る姿は、このドラマが単なる恋愛物語ではない、深い人間ドラマであることを改めて示してくれました。

一方で、ソギョンが突きつけた離婚届は、ジスとジェヒョンの愛の純粋さを試す最後の切り札となるでしょう。財閥への復讐という大義と、個人の幸せ。二人がどちらを選び取るのか、そしてその選択がどのような未来を紡ぎだすのか。物語の核心に迫る重厚な展開に、ただただ引き込まれました。

つづく