宣戦布告とすれ違う心

ジスを愛するヨンウは、彼女が幸せになるまで自分も前に進めないと、ついにジェヒョンに「ジスのそばにいさせてほしい」と頼み込みます。一方で、ジスも覚悟を決めていました。ジェヒョンのいるホテルの部屋の前まで行くものの、どうしてもドアベルを押すことができません。

そこへ乗り込んできたのが、妻のソギョン!すごい形相で部屋になだれ込み、ジスがいないか血眼で探しますが、もちろん誰もいません。ジェヒョンは何が何だか分からず、ただ呆然とするばかり。部屋を出たソギョンは、ロビーのソファに座るジスの姿を見つけます。

「あなたを傷つけるために来たの」と冷静に告げるジス。自分だけでなく、周りの人まで傷つけたソギョンへの反撃でした。しかし、ソギョンも負けてはいません。「倍にして返す」とすごみますが、ジスは「私が犯した過ちの罰は受ける。でも、周りの人を巻き込むのは許さない」と毅然とした態度を崩しません。その冷静さに逆上したソギョンは、そばにあったランプを叩き割り、「いらないものを壊すのが私のやり方よ!」と叫ぶのでした。女同士の戦い、火花がバチバチです…!

過去の思い出と現在の亀裂

ある日、ジスは友人たちとの集まりで、学生時代の農村活動の思い出話に花を咲かせます。お嬢様育ちにもかかわらず、文句も言わず懸命に働くジスの姿が、当時のジェヒョンの心をさらに惹きつけたのでした。

この楽しそうなジスの姿は、なんとソギョンの元にも届いていました。自分にはない、ジェヒョンとの共通の思い出を目の当たりにしたソギョンは、自分たちの間には埋められない溝があることを痛感し、ジスの監視をやめることを決意します。少しだけ、ソギョンの孤独が垣間見えた瞬間でした。

そんな中、ジスは不当解雇された上に病気で手術までした元同僚を助けようと奔走します。ジェヒョンに助けを求めますが、彼の反応は驚くほど冷たいものでした。利益のためなら弱者を切り捨てることも厭わない現在のジェヒョンは、ジスの知っている、正義感の強かった彼ではありません。「私たちの間を阻んでいるのは、ソギョンや他の誰かじゃない。あなた自身が変わってしまったことなのね…」ジスは深い失望を覚えます。

悲劇の再会

しかし、ジスは諦めませんでした。元同僚のために署名を集め、会社に提出します。その姿、そして入院中の同僚をかいがいしく世話する姿を目の当たりにしたジェヒョンは、ついに心を動かされます。ジスの言う通り、かつての純粋で善良だった自分を取り戻そう、と。

ジェヒョンは、学生時代にジスと喧嘩した後に仲直りのために贈った、赤と白のバラの花束を手に、彼女との待ち合わせ場所へ向かいます。その花束は「和解」を意味するもの。街角で花束を持って待つジェヒョンの姿を見つけたジスは、かつての美しい記憶が蘇り、はにかむように微笑みました。

二人の心が、再び通い合おうとした、まさにその時でした。

突然現れた男が、ジェヒョンの体に刃物を突き立てたのです。男は、ソギョンの元夫セフンに唆された、会社を恨む元従業員の父親でした。

真っ赤な血が飛び散り、バラの花びらが舞う中、ジェヒョンは苦痛の表情でその場に崩れ落ちます。ジスの絶叫が響き渡るのでした…。

『花様年華~君といた季節~』第14話の感想

今回は、登場人物それぞれの心の動きが非常に丁寧に描かれた回でした。特に印象的だったのは、ジェヒョンとジスの価値観の決定的なすれ違いです。富と名誉のために冷徹になってしまったジェヒョンと、どんな状況でも正義と弱者のために戦おうとするジス。二人の会話は、かつて深く愛し合った男女の悲しい現実を浮き彫りにし、胸が締め付けられました。しかし、ジスの変わらない信念が、ついにジェヒョンの心を溶かし、彼が本来の自分を取り戻そうと決意する展開には、一筋の光が見えたように感じます。ソギョンがジスへの嫉妬心からではなく、二人の共有する過去への敗北感から監視をやめるという心境の変化も、彼女の人間的な弱さを示していて深みがありました。ようやく二人が過去を乗り越え、再び歩み出そうとした矢先の衝撃的なラストは、あまりにも残酷で言葉を失います。

つづく