ソギョンの底なしの悪意と、ジェヒョンの決意

引っ越したばかりのジスの家に、いきなり「立ち退き」の告知。まさかと思いきや、その家の新しいオーナーは、なんとジェヒョンの妻ソギョンだったのです。彼女は海外出張と嘘をつき、ジスからの連絡を一切無視。ジェヒョンとジスを引き離すためなら、どんな手でも使うという強い意志が恐ろしいほど伝わってきます。

この事態を知ったジェヒョンは、秘書に命じて立ち退き業者に倍額を支払い、一旦はその場を収めます。しかし、話を聞きつけたソギョンが乗り込んできて、「夫と別れるまで、どこへ行こうと追いかけ続ける」とジスに直接言い放つ始末。もうホラーの域ですよね。

一方、ジェヒョンの息子ジュンソは、祖父であるチャン会長に「両親を離婚させないで」と頼みますが、「恥ずかしい」という孫の言葉に会長は激怒。彼自身も娘婿ジェヒョンの行動を快く思っておらず、怒りを露わにします。

そんな中、ジェヒョンは友人ドンジンに離婚訴訟を正式に依頼。ジスが自分を気遣って立ち退きの件を隠していたと知り、彼女への申し訳なさと愛情をさらに深めていくのでした。

過去と現在が交錯する、二人の絆

今回も、学生時代の切ない回想シーンが胸を打ちました。

貧しい子供たちのために、二人で「鉄道小学校」を運営していた若き日のジェヒョンとジス。終電を逃し、タクシー代もなく二人で歩いて帰る道すがら、自分の貧しさを詫びるジェヒョンに、ジスは「あなたと一緒だから疲れない」と微笑みます。この純粋な時間が、今の過酷な現実と対比されて、より一層輝いて見えました。

現在のジスは、ストレスから高熱を出して倒れてしまいます。息子のヨンミンからの連絡で駆けつけたジェヒョンは、つきっきりで彼女を看病します。目を覚ましたジスが、眠るジェヒョンの頬にそっと触れようとした瞬間、彼が目を覚ます…そして、二人の手が固く握り合わされるシーンは、言葉はいらない名場面でした。

社会からの孤立、そして屈辱

しかし、幸せな時間も束の間。二人が一緒にいるところを盗撮され、ネットに写真や動画が流出してしまいます。このスキャンダルは瞬く間に広がり、ジスはピアノの生徒を失い、世間から好奇と非難の目に晒されます。さらに、元夫からは息子ヨンミンがネットの書き込みを見てショックを受け、母親と暮らすことを拒んでいると告げられ、ジスは心身ともに追い詰められていきます。

それでもジスが屈しないと見たソギョンは、さらに非情な手段に出ます。ジスの元同僚を不当に解雇させ、あろうことか、息子の同級生の親を唆して「学校の名誉を傷つけた」とジスにコーヒーを浴びせかけるのです。降りかかる屈辱に、ジスは静かに涙を流すしかありませんでした。

「もう黙っていない」ジスの反撃開始!

コーヒーまみれで帰ってきたジスの姿を見た友人ヨンウは、いてもたってもいられずジェヒョンの元へ。ジスが耐えている全ての苦しみを伝えます。全てを聞いたジェヒョンは、重い表情でただ黙っているのでした。

しかし、もうジスはか弱いだけの女性ではありません。

ソギョンの卑劣なやり方が、大切な人々にまで及んだ時、彼女の中で何かが変わりました。

「これからは、あなたが一番嫌がる方法でやり返す」

ソギョンにそう宣戦布告のメッセージを送ったジス。

そして、美しくドレスアップし、毅然とした表情でジェヒョンが滞在するホテルへと向かうのでした。その知らせを聞き、デスクの上のものを全てなぎ払って激昂するソギョン。ジスの静かな、しかし最も恐ろしい反撃が、今まさに始まろうとしていました。

『花様年華~君といた季節~』第13話の感想

今回のエピソードは、見ているこちらの胸が締め付けられるような場面の連続でした。ソギョンの行動はもはや嫉妬の域を超え、狂気じみています。しかし、彼女がジスを追い詰めれば追い詰めるほど、皮肉にもジェヒョンとジスの絆、そしてお互いを守りたいという気持ちが強固になっていくのが印象的でした。特に、学生時代の貧しくとも希望に満ちた日々と、現在の四面楚歌の状況との対比が巧みで、二人が失った時間の重さを感じさせます。そして何より、数々の屈辱に耐え続けたジスが、ついに反撃を決意したラストシーンには鳥肌が立ちました。ただ守られるだけのヒロインではない、彼女の内に秘めた強さと覚悟が表れたあの眼差しは、物語が新たなステージへ進むことを予感させ、今後の展開から目が離せません。

つづく