愛する人を守るため、彼女は再び心を偽る決断を下す…。『花様年華~君といた季節~』第7話は、ジスが下した悲しい決断と、その裏に隠された衝撃の真実にジェヒョンが気づく、息もつかせぬ展開となりました。

ジェヒョンを守るための「復縁」という名の嘘

元夫セフンから、ジェヒョンとのキス写真を盾に脅迫されたジス。ジェヒョンを守るため、彼女はセフンと復縁するという苦渋の決断をします。息子ヨンミンと新居を探し、幸せな未来を夢見るセフンの姿は、ジスの心をさらに重く締め付けます。やり場のない想いを抱え、一人カラオケで歌う彼女。その歌詞はまるで自分とジェヒョンの物語のようで、涙が止まりません。

そんな中、長年ジスを思い続けてきた友人ヨンウが、ついに想いを告白します。「これからは君の隣で、君を守りたい」と。しかし、ジスの心にあるのはジェヒョンただ一人。ヨンウの純粋な気持ちを、彼女は友情としてしか受け取れませんでした。きっぱりと断るジスに、ヨンウは深く傷つきながらも、その結末を予感していたかのように静かに受け入れます。

暴かれる脅迫の真相と、25年前の逃避行

一方、ジスの不可解な態度に疑問を抱いていたジェヒョン。彼は、自分の妻ソギョンがセフンと密会していたこと、そして自分の車のドライブレコーダーのデータが抜き取られていたことを知ります。そのデータには、あの海辺でのジスとのキスシーンがはっきりと映っていました。

「ジスが守りたかったのは、息子だけじゃなかった。脅迫されていた俺自身だったのか…」

全ての点が線で繋がり、ジェヒョンは愕然とします。25年前も今も、ジスはか細い肩で自分を守ろうとしてくれていたのです。

【25年前の回想】

学生運動で逮捕されたジェヒョンが釈放された後、ジスの父親は彼女にドイツ行きの航空券を渡します。それは表向きは音楽留学、しかしその実態はジスの意に沿わない政略結婚のためでした。絶望するジスでしたが、出国当日、空港にジェヒョンが駆けつけます。彼はジスの手を取り、父親の追手から逃れるため、思い出の地「江村(カンチョン)」へと向かうのでした。そこで二人は、橋の柱に「ジェヒョンを1万年愛す」と刻み、束の間の幸せな時間を過ごします。

思い出の地での再会、そして決別の言葉

全ての真実を知ったジェヒョン。その頃ジスは、ジェヒョンとの思い出が詰まったギターを寄付し、一人、あの江村を訪れていました。過去に思いを馳せる彼女の耳に、懐かしい声が響きます。「ジス」。そこに立っていたのは、息を切らして駆けつけたジェヒョンでした。

しかし、彼の熱い想いとは裏腹に、ジスは「さようなら」と冷静に別れを告げます。それは、彼を守るための悲しすぎる決意でした。ジェヒョンは、かつてジスが愛を刻んだ橋の柱に、自分が「花様年華 100万年」と書き足したことを思い出します。彼女の愛に応える、それが彼の偽らざる本心でした。

そしてジェヒョンは、元凶であるセフンの元へ向かいます。

「お前がジスを脅していることは分かっている」

検察の調査を受けている自身の状況を指摘されても、彼は臆しません。そして、こう言い放つのです。

「息子はお前が連れていけ。母親(ジス)は、俺が連れていく」

その言葉に、セフンは呆然と立ち尽くすのでした。

『花様年華~君といた季節~』第7話の感想

愛する人を守るという行為が、これほどまでに切なく、そして力強いものかと胸を打たれる回でした。ジェヒョンを脅迫から守るため、自らの心を殺して元夫との復縁を選ぶジスの自己犠牲的な愛。長年の想いを告げるも、静かに身を引くヨンウの報われない愛。そして、全ての真相を知り、社会的な地位や名誉を捨ててでもジスを取り戻そうと決意するジェヒョンの絶対的な愛。それぞれのキャラクターが抱える愛の形が、深く丁寧に描かれていました。過去の江村での純粋で輝かしい逃避行の思い出が、現代の二人が置かれた過酷な状況と対比されることで、物語の切なさが一層際立ちます。登場人物たちの感情の機微が痛いほど伝わってくる、非常に見ごたえのある内容でした。

つづく