「ギターを届ける」という口実で会いに来たハン・ジェヒョン(学生時代)。その不器用な優しさに隠された本当の気持ちに気づきながらも、ユン・ジス(学生時代)は平静を装うしかありませんでした。再会を重ね、車の中で過ぎ去った日々の思い出を語り合う二人。そこには、かつての穏やかで幸せだった時間が流れているかのようでした。

しかし、現実はあまりにも残酷です。ジェヒョンが学生運動に身を捧げた過去を懐かしみ、家族への罪悪感を口にする一方で、ジスは冷たい現実を突きつけます。「私たちはもう、昔のように笑い合える関係じゃない」。今のジェヒョンは、ジスたちが生活をかけて闘う相手、ヒョンソングループの副社長なのですから。

二人の知らないところで、運命の歯車はさらに複雑に絡み合い始めます。ジスの元夫イ・セフンは、ジェヒョンを執拗に尾行。ジェヒョンが尾行をまくために車を乗り換える瞬間まで目撃していました。彼の目的はただ一つ、ジスを取り戻すこと。その執念が、やがて最も卑劣な形で牙を剥くことになります。

一方、ジェヒョンは認知症を患う母を見舞います。母は、息子が口ずさむ歌がジスのためのものであること、そして二人が再会したことすべてをお見通しでした。ジスの苦労を知り心を痛めながらも、「家庭を壊してはいけない」と息子を諭す母の言葉に、ジェヒョンは力なく頷くしかありません。ジスの親友もまた、財閥一家を敵に回すことの恐ろしさを説き、ジスの身を案じます。

そして、ついに20数年前の、あの悲しい別れの真相が明かされます。

学生運動で指名手配されたジェヒョンは、寺に身を隠していました。その裏で糸を引いていたのが、なんとジスの父である検事長だったのです。事実を知ったジスは父を問い詰めますが、突きつけられたのはあまりにも過酷な二者択一でした。

「ジェヒョンと別れろ。そうすれば彼の指名手配は取り下げる」
「もし交際を続けるなら、彼は逮捕され、刑務所に入ることになる」

愛する人を守るため、ジスは自ら身を引くことを選びました。ジェヒョンに理由を告げることなく、一人ですべての痛みを抱え込んだのです。しかし、そんなジスの苦しむ姿に耐えられなかったのが、彼女に想いを寄せるチュ・ヨンウでした。彼はジスを苦しみから解放したい一心で、ジェヒョンの隠れ家を密告してしまうのです。

過去の悲劇が明らかになる一方で、現在では新たな悪意が動き出していました。セフンはジェヒョンとジスの密会写真を手に入れ、ジェヒョンの妻チャン・ソギョンに接触します。ジスを取り戻したいセフンと、夫の心を取り戻したいソギョン。歪んだ利害が一致した二人は、協力関係を結ぶことに。ソギョンは、ジェヒョンの車にあった、かつて二人が海辺でキスを交わす映像データをセフンに渡してしまいます。

「あの二人を、地獄に送ってやる」。動画を手にしたセフンは、邪悪な笑みを浮かべるのでした。かつて愛する人を守るため全てを犠牲にしたジスに、今また非情な嵐が吹き荒れようとしています。

『花様年華~君といた季節~』第6話の感想

今回のエピソードは、登場人物たちの想いが複雑に絡み合い、物語が大きく動いた回でした。特に、ジスがジェヒョンと別れた本当の理由が明かされた場面は、胸が締め付けられる思いでした。彼を捨てたのではなく、彼の未来を守るために、たった一人で苦渋の決断を下したジスの愛の深さに心を打たれます。ジェヒョンがその事実を知らないまま、彼女を誤解し続けているという現実が、二人の関係をより一層切ないものにしています。

一方で、ジスの元夫セフンとジェヒョンの妻ソギョンの共謀は、物語に不穏な緊張感をもたらしました。純粋だったはずの初恋が、時を経て周囲の人々の嫉妬や執着を呼び覚まし、泥沼化していく様は見ていて辛いものがあります。純粋な想いと、それを踏みにじろうとする悪意の対比が鮮明に描かれ、物語の深みを増していると感じました。

つづく