父と息子の埋まらない溝、そして明かされる過去の恋

物語は、チスングループの会長チ・スンドンが、クリーニング店で働くチャ・テウンにDNA鑑定結果を突きつける衝撃的なシーンから始まります。「お前が俺の息子らしいな」と、まるで他人事のように告げるスンドン。親子である確率は99.99%と出ているのに、「何も変わらない」と冷たく言い放ち、テウンの母親の連絡先だけを渡して去ってしまいます。 このあまりに無慈悲な態度に、テウンがショックと怒りを覚えるのも無理はありません。

その後、スンドンの回想によって、彼がなぜこれほどまでに心を閉ざしているのか、その一端が明らかになります。若き日のスンドンは、大学のキャンパスで出会った、モーツァルトを愛する音大生と燃えるような恋に落ちていました。 しかし、彼女が実は音大生ではなく、家が没落してしまったホステスだったという噂を耳にします。 嘘を知ったスンドンは激しく怒り、「二度と俺の前に現れるな。殺してやる」と彼女を突き放したのです。 この過去の裏切りが、彼の心に深い傷を残しているようですね。そして、この女性こそが、なんと若き日のコ・ボンヒだったのです!

怒りが収まらないテウンは、スンドンの会社に乗り込み、「一方的に話して終わりなんて、あんまりじゃないか!」と怒りをぶつけます。 「あんたみたいな父親はいらない」と、親子関係を完全に拒絶。二人の間の溝は、想像以上に深く、険しいものになりそうです。

ダリムの恩返し大作戦が、まさかの就職活動に!?

一方、視力を取り戻したイ・ダリムは、手術費用8億ウォンを貸してくれた恩人であるスンドン会長に直接お礼を言おうと、会社を訪れます。「会長を実の父親だと思って、一生かけてご恩をお返しします!」と熱く語るダリムですが、スンドンは迷惑そうな顔で彼女を追い返してしまいます。

しかし、ダリムは諦めません! 毎日早朝に会長室を訪れ、「健康でいてくださいね」という思いを込めて、手作りの健康ジュースを届け続けるのです。 そのひたむきな姿を見ていたのが、スンドンの継息子であるソ・ガンジュ。彼は、職歴も資格もないダリムを「信頼できる働き者だ」と秘書に推薦しようとしますが、会長の「美人の秘書はダメだ」という謎のポリシーのせいで、一度は断られてしまいます。

そんな中、ダリムは仕事探しに悪戦苦闘。疲れ果ててバス停のベンチで横になっていると、そこにガンジュが現れます。 「世の中の厳しさが見えてきただろう。強く立ち向かえ」と、ぶっきらぼうながらも彼女を励ますガンジュ。彼の言葉に後押しされたダリムは、偶然見つけたチスングループの会長秘書の求人に応募します。

そして、ついに奇跡が! 毎日欠かさずジュースを届け続ける勤勉さと、いつも明るい人柄、そして何より会長の「美人すぎない」という条件をクリアしたダリムが、なんと会長秘書に採用されることになったのです! これからのダリムの活躍が楽しみですね!

100億ウォン事件の新たな手がかり

ラブコメだけでなく、サスペンス要素も見逃せません。ダリムの叔母ミヨンは、キム刑事と密会し、盗まれた100億ウォンの金庫について話しています。そのお金は、2009年に初めて発行された、紙幣番号が「AA」で始まる5万ウォン札だったことが判明。 この特別な紙幣が市場に出回り始めた時が、犯人を捕まえるチャンス。物語のもう一つの軸が、いよいよ本格的に動き出しそうです。

『タリミファミリー~恋もお金もクリーンに!』第11話の感想

今回は、これまで謎に包まれていたスンドン会長の過去が明らかになり、彼の人間性にぐっと深みが出たように感じました。ただの冷徹な金持ちではなく、過去の恋愛で深く傷ついた一人の男としての側面が見えたことで、今後の彼の変化に期待が持てます。一方で、実の父親に存在を否定されたテウンの怒りと悲しみには胸が痛みました。この複雑な親子関係が、物語にどんな影響を与えていくのか目が離せません。

そんなシリアスな展開の中、ダリムの前向きなエネルギーが清涼剤のようでした。彼女のひたむきな行動が、頑なな会長の心を動かし、まさかの秘書就任というシンデレラストーリーに繋がったのは痛快でした。ラブコメ、ヒューマンドラマ、そしてサスペンスの要素が絶妙に絡み合い、それぞれのキャラクターの物語が加速し始めた、非常に見ごたえのある回だったと思います。

つづく