親友シン・フンボクの突然の死、そしてその死に隠された巨大な陰謀の匂い…。世子イ・ソンが真実を求めるほどに、彼を阻む見えざる壁が厚くなっていく『秘密の扉』。第3話では、それぞれの正義と野望が交錯し、物語はさらに複雑な様相を呈していきます!

自殺という偽りの幕引き、しかし世子は諦めない!

宮廷に衝撃を与えた画員シン・フンボクの死。捜査責任者に任命された剛直なはずのホン・ゲヒでしたが、老論派の圧力にあえなく屈し、フンボクは自殺という結論で早々に幕引きを図ります。偽の目撃者まで用意し、フンボクが王室を中傷していたという濡れ衣まで着せる徹底ぶり。これに満足した王、英祖(ヨンジョ)は、追い打ちをかけるようにフンボクを逆賊と断定し、死後の斬首、財産没収、家族の奴婢化という非情な王命を下します。

親友を汚され、怒りと無力感に打ちひしがれる世子イ・ソン。しかし、彼は諦めませんでした。フンボクが死の直前に送ってきた会いに来るという約束の書状を握りしめ、父である王に再捜査を直訴します。身分が下の者と親しくするなど何事か!と激怒する英祖ですが、なぜかあっさりと再捜査を許可。一筋の希望を見出したソンは、早速フンボクが殺された橋へと向かいます。

それぞれの思惑、誰が味方で誰が敵か?

ソンの再捜査開始に、老論派の首長キム・テクは激怒。王の元へ乗り込み、我々が死ねば、あなたも死ぬ!と恫喝します。なんと、王とキム・テクは30年来の共犯関係にあったのです!王の座を揺るがす秘密の文書の存在が、彼らを結びつけていました。

一方、事件の目撃者である少女ソ・ジダムも、捜査が捻じ曲げられたことに憤りを感じ、独自に調査を開始。事件現場でフンボクが落とした貸本票を発見します。しかし、彼女が頼った役人のミン・ウソプは、父親(老論派の大臣)から捜査を降りるよう脅され、身動きが取れなくなってしまいます。

そして、この物語で最も謎めいた動きを見せるのが、ソンの師であるパク・ムンス。彼はなんと、事件の鍵を握るフンボクの本を密かに隠し持っていました!味方だと思われた人物の不可解な行動に、疑念が渦巻きます。

追い詰められる証人たちと、世子の次なる一手

ソンはフンボクの親友だった画員チョン・ウンに目星をつけますが、彼もまた秘密の文書の存在を知ってしまったがために、命の危険を感じて姿をくらましていました。キム・テクもまた、チョン・ウンを確保しようと画策します。

そんな中、チョン・ウンの前に現れたのは、なんとパク・ムンス!彼は私がフンボクを殺したと世子に伝えろと、衝撃的な指示を与えます。これは一体どういうことなのか?彼の真意は読めません。

パク・ムンスの指示通り、チョン・ウンは世子の元へ。時を同じくして、貸本屋の少女(ジダム)を見つけ出せないソンは、彼女の似顔絵を描き、行方を追い始めます。しかし、捜査を妨害したいホン・ゲヒもまた、ジダムを捕らえるために大規模な貸本屋狩りを開始。ジダムは剣契の頭ナ・チョルチュに助けられ、なんとか難を逃れますが、危険はすぐそこまで迫っていました。

ついに世子の前に引き出されたチョン・ウン。彼の口から語られる真実とは?そして、ソンは巨大な陰謀の核心に迫ることができるのでしょうか。物語は、尋問開始の緊迫した場面で幕を閉じます。

『秘密の扉』第3話の感想

このドラマの面白さは、単純な善悪の二項対立でキャラクターを語れない点にあると改めて感じました。特に王である英祖の二面性には引き込まれます。息子の正義感を試すかのように再捜査を許可しながら、裏では老論派と手を組み、その捜査を妨害する。彼の行動原理は、王座を守るという一点に集約されているのでしょうが、そのために実の息子さえも駒として使う冷徹さには、底知れぬ恐ろしさを感じます。また、世子の師であるパク・ムンスの謎の行動も、物語に深い奥行きを与えています。彼が証拠を隠したのは、世子を守るためなのか、それとも別の思惑があるのか。誰を信じ、誰を疑うべきか、視聴者もまた試されているような感覚です。正義を貫こうとする若者たちの純粋さと、権力にがんじがらめになった大人たちの老獪さの対比が鮮やかで、重厚な政治劇の中に確かな人間ドラマが息づいています。

つづく