あらすじ
物語はいきなりカーチェイスから始まる。バイクに乗った男が、黄色い車を必死で追いかけている。彼の名はパク・テジュン。殺してでも復讐してやる。彼の目には強い怒りが宿っていた。一体、彼に何があったのか。
時間は少し前に戻る。テジュンはバイクで配達の仕事をする好青年だ。将来は自分のカフェを開くという夢がある。弟のテジンのことも気にかける、優しい兄貴だ。恋人のスジもいて、仲間たちとカフェの屋上に庭を作ったり、順風満帆な毎日を送っていた。
彼はとにかくお人好し。配達の途中で重いスーツケースを運ぶおばあさんを手伝う。よその家の植木が弱っているのを見て、手入れの方法をメモで残したりもする。誰にでも親切な、どこにでもいる普通の若者だ。
ある日、コンビニの前でスマホが鳴っているのを見つける。彼はそれに出た。電話の主は女性だった。スマホを届けてくれたら謝礼を払うと言う。指定された場所は、薄暗いトンネルだった。テジュンは言われた通り、トンネル内の電話ボックスにスマホを置く。そこには約束通り、報酬が置いてあった。彼はそれを受け取り、バイクで走り去った。
この小さな親切が、彼の人生をめちゃくちゃにする。
ネタバレ:すべてが罠だった
母の命日。テジュンが弟と家で過ごしていると、突然ドアが蹴破られた。刑事たちがなだれ込み、彼に手錠をかける。容疑は、強姦と殺人。テジュンは何が何だか分からないまま連行された。
漢江近くのトンネルで、女性のバラバラ死体が見つかったらしい。テジュンが第一容疑者とされた。
ここから、悪夢が現実になる。テジュンの親切な行動が、一つ残らず犯罪の証拠へと姿を変えていく。
検察は言う。テジュンは配達先である被害者の家に、必要以上に長居した、と。彼は植木の手入れ方法をメモに書いていただけだ。
検察は映像を見せる。テジュンがスーツケースを運んでいる姿が映っていた。彼がおばあさんを手伝った時の映像だ。でも、そこにおばあさんの姿はない。検察は言う。そのスーツケースは死体遺棄に使われたものだ、と。
彼がスマホを届けたトンネル。そこが、まさに死体発見現場だった。スマホの持ち主は、殺された被害者本人だった。
そして、決定的な証拠が突きつけられる。被害者の体内から、テジュンのDNAが検出された。もう、言い逃れはできない。完全に仕組まれた罠だった。
恋人のスジは、最後まで彼を信じようとした。弁護士を雇い、仲間たちとアリバイ集めに奔走する。でも、状況は悪くなる一方だ。スジは事件現場の証拠写真の中に、テジュンがつけていたブレスレットが落ちているのを見つけてしまう。
あまりにも多すぎる、動かぬ証拠。弁護士はさじを投げた。スジでさえ、彼を信じきれなくなった。彼女は自分もつけていたお揃いのブレスレットを外し、彼の前から去っていく。
パク・テジュンは、有罪判決を受けた。彼は刑務所に送られる。たった一人、絶望の底に突き落とされた。
感想
いや、これはキツい。第1話から主人公をここまで叩き落とすドラマはそうそうないよ。テジュンという青年の人の良さが、全部裏目に出ていく。その過程が本当に巧妙で、見ていて胸が締め付けられた。
もし自分がテジュンの立場だったら、どうするだろう。親切にしただけなのに、それが全部お前が犯人だという証拠だと突きつけられる。アリバイを証明しようとすればするほど、どんどん不利になる。こんなの、逃げ場がないじゃないか。
誰かが意図的に彼を陥れているのは間違いない。そのやり方が、あまりにも周到でえげつない。DNAまで仕込むなんて、個人でできることじゃない。背後に巨大な組織がいることを感じさせる。
一番心に来たのは、恋人のスジにまで見捨てられるシーンだ。あれは見ていて本当に辛かった。信じてくれる人が一人もいなくなる恐怖。このドラマは、ただのサスペンスじゃない。人間の信頼関係がいかに脆いか、真実がいかに簡単に捻じ曲げられるかを見せつけてくる。完全に引き込まれたよ。
つづく

