ネタバレ感想

悪魔が生まれた瞬間

物語はアジンが母親のお墓参りをしているところから始まる。彼女はそこで、ある嘘を告白する。美術の授業で提出物の締め切りを間違えた。だから、子供の頃の虐待で手首が痛むフリをした。その嘘がきっかけで、美術教師は彼女にカウンセリングを勧めたんだ。

この告白が、今回のエピソードの全てを物語っている。アジンがどうやって生き抜いてきたのか。その壮絶な過去が、一気に明かされる回だった。

地獄のような子供時代

話は2007年に飛ぶ。まだ幼いアジンは、母親のソニェにコンビニで焼酎を盗むよう命令される。そして、その夜に母親は死んでしまう。本当に最悪の始まりだ。

その後、父のソンギュはジソンという女と一緒になる。このジソンの夫も、なぜか謎の死を遂げている。彼女の息子が、あのジュンソだった。アジンとジュンソは、こんな形で出会ったんだ。

ただ、ジュンソの祖父が遺産をがっちり管理している。ジソンは簡単には金に手を出せない。ある夜、アジンは聞いてしまう。父さんとジソンが、自分の動画を売って金を手に入れようと話しているのを。金を手に入れたら、自分は孤児院に捨てられるってことも。

アジンの反撃

時は流れて2016年。第1話の直後だ。アジンをいじめていたソンヒが、父ソンギュを学校に連れてくる。アジンに恥をかかせるためだ。でも、そこへジュンソが現れる。彼はソンギュに金を渡すと約束して、その場から連れ去った。

アジンはこれで終わらせない。彼女はソンヒのノートをわざと落とす。そのノートには、生徒たちを侮辱的なカテゴリに分けた情報が書かれていた。ノートを見つけた他の女子生徒たちは、ソンヒに殴りかかる。アジンは、ただやられるだけの人間じゃない。

そんな中、芸能事務所の社長ソ・ミリがアジンに声をかける。スターにしないか、と。アジンは興味ない、と一言で断る。彼女の頭の中は、もっと別のことでいっぱいだった。

友人の悲劇と冷徹な助言

同じ頃、友人のジェオに悲劇が起きる。錯乱した父親が、ナイフで幼い弟を襲っていた。ジェオは止めに入る。もみ合いの末、彼は自分の父親を刺してしまった。ジェオは弟を叔母に預け、アジンに電話する。これから自首する、と。アジンは彼に助言する。泣いて反省しているフリをしなさい、と。そうすれば刑が軽くなるから。この時のアジンの冷徹さには、少しゾッとしたよ。

Xの正体

話は、アジンとジュンソがまだ小さかった頃に戻る。病気になったジュンソを、アジンが看病していた。ジュンソは彼女に一枚の写真を見せる。両親と、父親の運転手が一緒に写っている写真だ。次の日、アジンはジソンを脅迫する。ジュンソの本当の父親は、あの運転手のカンさんでしょう、と。この秘密を武器に、アジンは孤児院送りを回避した。それどころか、新しい服まで手に入れた。

アジンはジュンソに言う。あなたのお母さんは、あなたのことなんて愛してない。それを聞いたジソンは逆上する。彼女はアジンを風呂場に連れて行き、浴槽で溺れさせようとした。その光景を、ジュンソが目撃してしまう。ジソンは手を止めた。アジンはジュンソに救急車を呼んでと叫び、窓から飛び降りた。

彼女の計算通り、アジンは死ななかった。そして大人たちは、彼女を孤児院に送れなくなった。病院で、ジュンソはアジンの日記を読んだと告げる。そこにはXという悪い人物のことが書かれていた。ジュンソは、そのXが自分の母親ジソンだと気づいた。彼はアジンの手を握り、こう誓う。君の手を絶対に離さない。二人の歪んだ共犯関係は、この時に始まったんだ。

全てを失った日

時間は2017年に戻る。父ソンギュに殴られ、金を奪われたアジンは病院にいた。ジュンソが彼女の手を握っている。彼女は3日間も意識がなかった。そして、大学の学費納入期限は2日前に過ぎていた。アジンは、やっと掴んだ未来への切符を失った。

次の日は高校の卒業式。アジンの機嫌はもちろん最悪だ。式が終わると、彼女は一人で歩き出す。ジュンソが後を追う。その時、アジンの目に一人の男が映る。泥棒を追いかけている男。彼女のナレーションが聞こえる。もし彼に出会わなければ、彼の人生は今とは全く違っていたはず。この出会いが、また新たな地獄の始まりを予感させる。物語の最後は、刑務所でジェオがアジンの絵を描いているシーンで終わる。

このエピソードの感想

いやあ、今回は本当にヘビーだった。アジンの過去が想像以上だったからね。彼女がただの被害者じゃないことは分かってたけど、生き抜くためにここまで計算高く、冷徹に行動できるのかと驚いた。母親に万引きを強要され、父親には金儲けの道具として売られそうになる。そんな環境で育てば、悪魔にでもならなきゃ生きていけないよな。

ジュンソの存在がまた切ない。彼は純粋にアジンを救おうとしてる。でもアジンは、彼の純粋さすら利用しているように見える。彼がアジンの日記を読んでXの正体を知り、君の手を離さないと誓うシーンは、感動的であると同時に、彼がアジンの共犯者になってしまった瞬間でもあって、見ていて複雑な気持ちになった。

ジェオの悲劇も辛い。彼が父親を刺してしまった後、アジンが泣いて反省するフリをしろと助言する場面は、彼女の非情さが際立っていた。でもそれも、彼女なりの生きる知恵なんだろう。このドラマは、誰が本当の悪で、誰が善かなんて簡単に言えない。その曖昧さが、すごくリアルで引き込まれる。

つづく