あらすじ
太子妃選びが本格化する中、帝承恩(ていしょうおん)は太后によって宮中に呼び出され、屈辱的な扱いを受ける。その知らせを受けた任安楽(じんあんらく)は、危険を顧みず帝承恩の救出に向かう。一方、太子・韓燁(かんよう)は、10年ぶりに再会した帝承恩のかわりように戸惑い、心を痛めていた。それぞれの思惑が渦巻く中、太子妃選びの宴への招待状が安楽にだけ届かないという事態に。この状況を打破するため、安楽は大胆な作戦で韓燁に直接交渉を試みる。
ネタバレ
仮面の少女・帝承恩(ていしょうおん)、そのしたたかなる策略
物語は、帝承恩(ていしょうおん)のもとに謎の刺客が現れるところから始まります。刺客が残したのは、たった一文が書かれた手紙。「十年前の傘の恩返しに、都であなたを守りましょう」と。か弱いふりをして周囲を油断させる帝承恩(ていしょうおん)ですが、その瞳の奥には確かな野心が宿っていました。彼女は、この申し出を利用することを心に誓います。
一方、その刺客の正体は冷北(冷北 (れい ほく))。彼は左相の姜瑜(きょう ゆ)を問い詰めますが、なんと姜瑜(きょう ゆ)もまた北秦から潜入した仲間だったことが判明!二人は、帝承恩を「帝家の後継者」として利用し、帝家の旧臣たちを味方につけるという恐ろしい計画で手を組むのでした。帝承恩の過去の小さな善意が、今や巨大な陰謀の駒として利用されようとしているとは、皮肉なものですね。
太后の屈辱と、安楽の怒り
宮中では、忠義侯の娘が突然、太子妃争いから辞退。これを不審に思った太后は、帝承恩を宮殿に呼びつけます。これは、帝承恩の価値を確かめようとする洛銘西(らくめいせい)の策略でもありました。
案の定、太后は帝承恩に試練を与えます。仏間で経文を写させ、わざと格下の女官の服を着せて辱め、偏殿に軟禁するという徹底ぶり。帝家の生き残りである彼女への憎しみがひしひしと伝わってきます。
この知らせを聞いた任安楽(じんあんらく)が、黙っているはずがありません!剣を手に太后の宮殿へ怒鳴り込み、「なぜ帝家の最後の血筋まで苦しめるのですか!」と一喝。緊迫した空気の中、太子・韓燁(かんよう)の機転で、安楽は無事に帝承恩を救出することに成功します。安楽の行動力と正義感には、いつも胸がすく思いがしますね!
すれ違う心、韓燁(かんよう)の苦悩と安楽の言葉
救出された帝承恩は、帰り道で慕青(ぼせい)に「そばで守ってほしい」と涙ながらに訴え、彼の心を掴みます。しかし、一人になるとその表情は一変。計算高い笑みを浮かべる彼女の姿は、もはや昔の帝梓元(ていしげん)の面影はありません。
そんな帝承恩の変わりように、最も心を痛めているのが韓燁(かんよう)です。彼は偶然会った安楽に、胸の内を吐露します。「10年間待ち続けた彼女は、まるで別人のようだ。かつての快活で誇り高かった姿はどこにもない…」と。
そんな韓燁に、安楽は力強く言います。「世の中に任安楽(じんあんらく)は一人しかいない。失ったら二度と手に入らない。過去はもう過ぎ去ったことよ」と。これは、韓燁への忠告であり、自分自身の存在を強くアピールする言葉でもありました。二人の間の、もどかしくも切ない空気がたまりません。
安寧(あんねい)公主(あんねいこうしゅ)の悪夢と、太子妃選びの火蓋
その頃、安寧(あんねい)公主(あんねいこうしゅ)は冷北に薬を盛られ、悪夢にうなされていました。夢の中の彼女は、幼い頃に目撃してしまった帝家滅亡の真実…太后の残酷な仕打ちに、良心の呵責で苦しみます。冷酷な任務の最中、苦しむ安寧の姿に、冷北の心に一瞬、同情の色が浮かんだのは見逃せないポイントです。
物語はクライマックスへ。太子妃を選ぶ宴の招待状が、安楽にだけ届かないという事態が発生!都では「任安楽(じんあんらく)は太子に見捨てられた」という噂で持ちきりになります。しかし、我らが安楽はただでは転びません。この噂を逆手に取り、なんと韓燁とのゴシップを面白おかしく書いた物語を本人に突きつけ、「招待状をよこさないと、これを世にばらまくわよ!」と脅すという大胆な行動に!さあ、韓燁はどうするのでしょうか!?
『安楽伝』第15話の感想
今回のエピソードは、各キャラクターが抱える「正義」と「本心」が複雑に交差し、物語に深い奥行きを与えていました。特に印象的だったのは、韓燁の苦悩です。彼が愛し、待ち続けたのは「帝梓元」という一人の快活な女性であり、今の計算高い「帝承恩」ではない。その理想と現実のギャップに苦しむ姿は、見ていて非常に切なくなりました。一方で、任安楽の行動は痛快そのもの。彼女のやり方は破天荒ですが、その根底には仲間を守りたいという強い情と、自分自身の道を切り開くという確固たる意志があります。安寧公主(あんねいこうしゅ)が見た悪夢も、今後の物語の重要な鍵を握っていることは間違いありません。誰が正義で誰が悪なのか、単純には割り切れない人間ドラマの深さに、改めて引き込まれた回でした。
つづく