あらすじ

皇太子の妃を選ぶための盛大な宴が開かれます。水軍を率いる女傑・任安楽(じんあんらく)、帝家の生き残りである帝承恩(ていしょうおん)、そして北秦の公主・莫霜(ばくそう)らが候補者として集結。しかし、その華やかな宴の裏では、それぞれの野心や過去の因縁が渦巻き、激しい駆け引きが繰り広げられていました。一人の女性の悲壮な覚悟と、ある重要人物の突然の行動が、宴を誰もが予想しなかった方向へと導いていきます。果たして、皇太子の隣に立つのは誰なのでしょうか。

ネタバレ

今回の『安楽伝』は、皇太子・韓燁(かんよう)のお妃選びの宴が舞台です。華やかな宴の裏では、女たちの静かで激しい火花がバッチバチ! それぞれの思惑が渦巻く、見どころ満載のエピソードでしたよ。

宴の前の静かなる戦い

まずは宴が始まる前の各陣営の動きから見ていきましょう。

洛銘西(らくめいせい)は、安寧(あんねい)公主(あんねいこうしゅ)が10年前に池に落ちて数日昏睡し、その後すぐに都を離れて国境に赴いたという過去を突き止めます。どうにも不自然なこの動きから、洛銘西と琳琅(りんろう)は、安寧(あんねい)こそが帝家滅亡事件の真相を知る重要人物ではないかと睨むんです。

一方、偽物の帝家の娘・帝承恩(ていしょうおん)は、皇帝が任安楽(じんあんらく)を特別扱いし、直々に宴への参加を許したことに嫉妬心むき出し!なんとしても太子妃の座を射止めたい彼女は、宴で韓燁(かんよう)の同情を引くために、なんと自ら冷水を浴びるという無茶な作戦を決行します。「二度と玳山には戻らない、二度と屈辱は受けない!」という彼女の執念は、痛々しいほどでしたね…。

そんな帝承恩(ていしょうおん)の動きを、我らが安楽は見越しているかのよう。彼女は、帝承恩(ていしょうおん)が太子妃になるのも悪くないと考えていました。帝家の名を継ぐ者が太子妃になれば、世間の注目が集まり、いずれ一族の汚名をそそぐための世論を形成しやすくなる。そして何より、太子妃という立場が「帝承恩」の身の安全を保障してくれる、と。どこまでもクレバーですよね!

策略渦巻く太子妃選びの宴

そしていよいよ宴の幕が開きます。

韓燁(かんよう)と安楽は、示し合わせたかのように素朴な装いで登場。二人の間には穏やかで良い雰囲気が流れます。安楽が「良いご縁が見つかりますように」と少し寂しそうに言えば、韓燁もまた「君にも良い縁があるように」と返す…もう、お互い気になって仕方ないくせに!

そんな中、主役の一人である帝承恩が、案の定、弱々しい様子で遅れて登場します。倒れ込むフリをして韓燁に支えられるという狙い通りの展開に持ち込みますが、韓燁は彼女に上着をかける役目を宦官に言いつけ、距離を置きます。この冷静な対応で、帝承恩のもくろみはあっけなく失敗。周りの令嬢たちからは、そのあからさまな手口を嘲笑われてしまうのでした。

宴が進む中、様々な令嬢が芸を披露します。ここで安楽が動きました。なんと、帝承恩に琴の演奏をリクエストしたのです。韓燁は、武術好きだったはずの彼女が琴を弾けるわけがないと庇おうとしますが、帝承恩は意外にもあっさりと承諾。そして披露されたその腕前は、誰もが息をのむほど見事なものでした。韓燁は、自分の知る幼馴染とはあまりに違う姿に、ますます困惑を深めます。

安寧の絶叫、そして驚きの宣言

帝承恩の見事な演奏に皆が聞き惚れていた、その時です!

「なぜだ! なぜこれほど自分を辱めるのだ!」

突然、安寧公主(あんねいこうしゅ)が立ち上がり、帝承恩の演奏を止めさせました。彼女は涙ながらに帝承恩を叱責します。なんとその日は、帝承恩の父である靖安侯の命日だったのです。そんな日に、華やかな衣装で楽しげな曲を弾くとは何事か、と。

安寧の悲痛な叫びに、宴は一瞬にして凍りつきます。冷静さを取り戻した安寧は帝承恩に謝罪し、太子妃の座を争うのをやめてほしいと懇願しますが、帝承恩はこれを拒否。

すると安寧は、その場で衝撃的な宣言をします。

「私は、任安楽(じんあんらく)が太子妃になることを支持します!」

この爆弾発言に、会場は騒然!

この混乱の中、今度は北秦の莫霜(ばくそう)が剣舞を披露しようとしますが、兄である莫北(ばくほく)の鋭い視線を受けて体調不良を装い、席に戻ってしまいます。

さあ、どうなるこの展開!と思ったその時、すっと立ち上がったのは任安楽(じんあんらく)でした。

「では私が代わりに舞を披露しましょう。伴奏は、帝承恩にお願いします」

…かっこよすぎませんか!? 全ての視線と場の主導権を、一瞬にして自分のものにしてしまいました。一体、安楽の舞と帝承恩の伴奏はどんな化学反応を起こすのか。続きが気になります!

『安楽伝』第16話の感想

今回のエピソードは、太子妃選びという華やかな舞台の裏で繰り広げられる、女性たちの静かで熾烈な心理戦が見事でした。特に印象的だったのは、帝承恩の痛々しいまでの執念です。二度と虐げられたくないという強い思いが彼女を突き動かしているのは分かるのですが、その手段の拙さがかえって彼女を孤立させていく様は、見ていて胸が痛みました。

対照的に、全てを見通しているかのような任安楽の立ち回りは圧巻の一言。彼女の一挙手一投足が、物語を大きく動かしていく様に引き込まれます。そして、今回のキーパーソンとなった安寧公主(あんねいこうしゅ)。彼女の突然の行動は、単なる感情の爆発ではなく、帝家の事件に深く関わる彼女の苦悩の表れなのでしょう。

それぞれのキャラクターが抱える過去の傷や思惑が複雑に絡み合い、物語に一層の深みを与えていました。一見、華やかに見える宮廷の宴が、これほどまでに緊張感に満ちた策略の舞台になるとは、脚本の巧みさを感じずにはいられません。

つづく