あらすじ

宿敵・古雲年(こうんねん)を追い詰める証拠を着々と集める任安楽(じんあんらく)たち。その過程で、韓燁(かんよう)は任安楽の過去に繋がる重大な事実に気づき始め、彼女への想いを新たにします。一方、任安楽も自らの悲願を成し遂げるため、安寧(あんねい)公主(あんねいこうしゅ)に自身の覚悟を示すという大きな一歩を踏み出します。宮中では、追い詰められた者たちの最後の悪あがきや、嫉妬に駆られた者の危険な策略が動き出します。それぞれの思惑が複雑に絡み合い、物語は新たな局面へと突入していくのでした。

ネタバレ

やりましたね!ついに極悪非道な古雲年(こうんねん)を追い詰める、決定的な証拠が手に入りました。翎湘楼(れいしょうろう)では、任安楽(じんあんらく)、韓燁(かんよう)、そして洛銘西(らくめいせい)の3人が祝杯をあげます。長かった……本当にここまで長かった!

でも、韓燁(かんよう)はただ喜んでいるだけじゃありません。宮中の宴で起きた暗殺未遂事件で刺客が落とした剣が、どうも普通の代物ではないことに気づいていました。さすがは我らが太子様、鋭いですね。

そんな中、安寧(あんねい)公主(あんねいこうしゅ)から韓燁(かんよう)に緊急の呼び出しが。安寧(あんねい)は、あの鐘家の生き残りである鐘海(しょうかい)こそが、10年前に滅びたはずの帝家の生存者だと告げます。これには韓燁も衝撃!そういえば、任安楽(じんあんらく)が江南で必死に鐘海(しょうかい)を探していたこと、火事の中から彼を命がけで救い出したこと…すべてのピースが繋がり、韓燁の頭の中で「任安楽(じんあんらく)=帝梓元(ていしげん)」という答えの輪郭がはっきりと見え始めました。

一方、任安楽と洛銘西も次の一手を打ちます。帝家の冤罪を晴らすためには、安寧公主(あんねいこうしゅ)の証言が不可欠。そこで安楽は、わざと安寧が見ている前で、亡き弟・帝燼言(ていじんげん)の墓参りをしてみせます。その姿を見た安寧は、ついに目の前の女性が本物の帝梓元であると確信するのです。

韓燁は、任安楽の肖像画を描きながら彼女への想いを募らせます。そんな時、刺客の剣が西郊大営(せいこうたいえい)のものだと判明。急いで安楽に知らせに行くと、そこにはまたしても洛銘西が!韓燁の嫉妬心はメラメラと燃え上がり、二人の間では火花がバチバチ。恋のライバル対決も目が離せませんね。

3人は刺客の正体を突き止めるため西郊大営へ。追い詰められた古雲年(こうんねん)は左相(さしょう)の姜瑜(きょう ゆ)に助けを求めますが、この男もまた食わせ物。古雲年を見殺しにして、大靖(だいせい)の軍事力を削ごうと企んでいたのです。

西郊大営で名簿を調べる中、韓燁の目はすっかり任安楽に釘付け。彼女が書物をめくる姿に、かつての帝梓元の面影を重ねています。そんな時、ふとした拍子に二人はもつれて転んでしまうのですが、その拍子に韓燁が懐から落としたのは、なんと昔、帝梓元が彼に贈った紅玉石の碁石!ずっと大切に持っていたんですね…。

韓燁は「もし間違った一手を打ってしまったら、やり直す機会をくれるか?」と、自分の想いを込めて問いかけます。しかし、安楽と洛銘西は「彼女は後悔するような手は打たない」「過ぎたことは早く忘れるべきだ」と、その申し出を静かに、しかしきっぱりと拒絶するのでした。切ない…。

その頃、古雲年の息子・古斉善(こせいぜん)が刺客に襲われます。絶体絶命のピンチを救ったのは、なんと任安楽の配下である苑書(えんしょ)。彼女はわざと忠義侯府の腰牌を現場に残し、古斉善に「父に裏切られた」と誤解させます。まんまと罠にはまった古斉善は、父・古雲年の罪をすべて洗いざらい自白しました。

この自白が決定打となり、皇帝・韓仲遠(かんちゅうえん)もついに古雲年を見限り、事件の全権を韓燁に委ねます。

忠義侯府の破滅は目前。任安楽と洛銘西は、偽物の帝梓元である帝承恩(ていしょうおん)の冊封と結婚式の翌日に、帝家の冤罪事件の再審を求め、すべてを公にする計画を固めます。

韓燁もまた、帝承恩(ていしょうおん)が玳山(たいさん)で書いたという文字を見て、彼女が偽物であることを確信。そんな中、自分への関心が任安楽に向いていることに激しく嫉妬した帝承恩(ていしょうおん)が、とんでもない行動に出ます。なんと、任安楽を自分の屋敷に呼び出したのです!不吉な予感しかないこの展開に、韓燁は血相を変えて駆けつけていくのでした。

『安楽伝』第20話の感想

今回のエピソードは、物語の核心にぐっと迫る重要な回でした。これまで少しずつ積み重ねられてきた伏線が繋がり始め、特に韓燁が任安楽の正体に気づく過程は、見ていて胸が締め付けられるようでした。彼がずっと大切に持ち続けていた紅玉石の碁石のエピソードは、10年越しの想いの深さを物語っており、非常に印象的です。一方で、その想いを受け止められない任安楽の固い決意との対比が、二人の置かれた過酷な状況を浮き彫りにしています。また、古雲年を追い詰める策略も見事で、敵の内部崩壊を誘う手腕には思わず唸りました。偽物である帝承恩の嫉妬が新たな波乱を呼びそうで、物語が大きく動き出す予感に満ちた一話でした。

つづく