あらすじ
北秦との戦が現実味を帯びる中、皇太子の韓燁(かんよう)は自ら前線に立つことを決意します。時を同じくして、任安楽(じんあんらく)もまた、一族の誇りを胸に戦場へ向かう覚悟を固めていました。一方、西北の地で国境を守る安寧(あんねい)公主(あんねいこうしゅ)は、信頼していた側近の不審な行動に気づき、予期せぬ危機に直面します。それぞれの正義と覚悟が交錯し、物語は大きな転換点を迎えることになります。都と前線、二つの場所で、運命の歯車が大きく動き始めます。
ネタバレ
いやー、今回は物語が大きく動きましたね!それぞれの思惑と覚悟がぶつかり合って、一瞬たりとも目が離せない展開でした。
ついに剥がされる化けの皮!安寧(あんねい)公主(あんねいこうしゅ)、絶体絶命の危機
まずは、なんといっても安寧(あんねい)公主(あんねいこうしゅ)のパートでしょう。かねてから怪しい動きを見せていた側近の冷北(冷北 (れい ほく))、ついに本性を現しましたね。忘れ物をしたと戻ってきた部下を追い返し、安寧に薬を嗅がせて自由を奪うなんて、とんでもない男です。
安寧は薄々、冷北(冷北 (れい ほく))が北秦のスパイではないかと感づいていましたが、時すでに遅し。将軍の印を渡せば命は助けてやると甘い言葉を囁く冷北に、安寧は屈しません。最後の力を振り絞って抵抗しますが、力及ばず押さえつけられてしまいます。しかも、その屈辱的な場面を部下に見られてしまうなんて…。安寧の心中を思うと、胸が張り裂けそうになります。
しかし、安寧の部下もただ者ではありませんでした。冷北の不審な行動に気づき、ついに彼が北秦のスパイであることを突き止めます。追い詰められた冷北は逃亡しますが、安寧は「必ずこの手で始末する」と固く誓うのでした。強い女性ですね、本当に。
それぞれの戦場へ。韓燁(かんよう)と安楽の覚悟
一方、都では北秦との開戦が目前に迫っていました。大靖の未来を憂う皇太子の韓燁(かんよう)は、自ら前線に立つことを皇帝に願い出ます。皇帝・韓仲遠(かんちゅうえん)は、唯一の嫡子である韓燁を戦場に送り出すことに猛反対しますが、最終的には彼の固い決意に折れざるを得ませんでした。父として、そして皇帝として、韓燁に「必ず生きて帰ってこい」と告げるシーンは、グッとくるものがありましたね。
その頃、任安楽(じんあんらく)もまた、大きな決断を下していました。彼女は安楽寨の仲間たち、そして帝家の生き残りを率いて、この戦に加わることを決意します。これは国のためだけでなく、滅ぼされた一族の名誉を取り戻すための戦いでもあるのです。
出征前夜、韓燁は洛銘西のもとを訪れます。洛銘西が10年間、ただひたすらに安楽(帝梓元(ていしげん))を想い、彼女のために長思花を育ててきたことを知る韓燁。これまで安楽を守ってきた洛銘西から、これからはお前が守れと、その想いを託されるのでした。切ない…切なすぎます、洛銘西。
明かされる正体と、新たな戦いの幕開け
洛銘西の調査により、ついに冷北の正体が明らかになります。彼の名は莫北(ばくほく)、北秦の皇帝に疎まれている庶子だったのです。卑しい生まれの彼が皇位を継ぐためには、この戦で大きな手柄を立てるしか道はない。だからこそ、あんなに必死だったんですね。
そして、物語は一気に戦場へ。先に軍献城に到着した韓燁は、戦火に苦しむ民を前に自らの身分を明かし、兵と民の士気を高めます。そこへ駆けつける任安楽(じんあんらく)。しかし、その道中、流民に化けた北秦軍の奇襲に遭ってしまいます。
その知らせを受けた韓燁と洛銘西は、すぐさま救援に。一足先に安楽と合流した韓燁は、ついに彼女と背中を合わせて共に戦うことになります。
しかし、その頃、安寧公主は莫北(ばくほく)率いる大軍に城を包囲され、絶望的な状況に追い込まれていたのでした…。
『安楽伝』第32話の感想
今回は、これまで水面下で進んでいた各キャラクターの思惑が一気に表面化し、物語が大きく動き出した回でした。特に印象的だったのは、安寧公主の気高さと強さです。信頼していた側近に裏切られ、心身ともに追い詰められながらも、決して国の誇りを捨てない姿には胸を打たれました。彼女がこの後どうなってしまうのか、気が気ではありません。
一方で、韓燁と任安楽がそれぞれの覚悟を胸に戦場へと向かい、ついには共闘を果たす場面は、これからの展開への期待を大きく膨らませてくれました。しかし、その裏で一人、安楽への想いを韓燁に託す洛銘西の姿はあまりにも切なく、彼の幸せを願わずにはいられません。それぞれの正義と宿命が複雑に絡み合い、物語に一層の深みを与えています。
つづく