ついに迎えた『安楽伝』最終回。帝家の冤罪を晴らし、愛する人との未来を掴むため、任安楽(じんあんらく)が仕掛けた最後の賭け。そして、彼女をめぐる二人の男性、韓燁(かんよう)と洛銘西が下す決断とは。すべての物語が収束する、涙と感動の最終話の全貌を、ネタバレありでお届けします。

韓燁(かんよう)の葛藤と、安楽の最後の賭け

韓燁(かんよう)の視力を治す唯一の希望、長思花が届けられました。それが洛銘西(らくめいせい)の想いの結晶であることに気づいた任安楽(じんあんらく)は、彼のもとを訪れます。洛銘西は、帝梓元が生まれた日に彼女の父から授かった玉佩を見せ、「君の兄として、生涯守り抜く」とだけ告げ、自分の深い想いは胸の内にしまいました。

帝盛天(ていせいてん)の治療により、韓燁の視力は無事に回復します。しかし、彼は帝梓元を皇太子妃にすれば不幸にしてしまうと頑なに下山を拒否。婚礼の日が近づいても韓燁からの返事がないことに、安楽は彼の意固地さを感じつつも、最後の賭けに出ることを決意します。

白髪の衝撃と、愛のための決断

事態を動かしたのは、帝盛天(ていせいてん)でした。彼女は韓燁に、かつて愛しながらも結ばれなかった韓子安(かんしあん)との過去を語り、同じ道を歩んでほしくないと諭します。そこへ駆けつけた溫朔(おんさく)が、姉である安楽が一夜にして白髪になったことを告げ、その一房の髪を見せました。愛する人が自分を想うあまりに流した涙と、その苦しみの深さを目の当たりにした韓燁は、衝撃を受け、ついに心を決めます。

偽りの婚礼と、真実の愛の在り処

その夜、安楽と洛銘西の婚礼の儀が執り行われようとしていました。まさに二人が拝礼を交わすその瞬間、韓燁が駆けつけます。彼は太祖の遺旨を掲げ、「三万の水師を聘礼とする。任安楽(じんあんらく)であろうと帝梓元であろうと、彼女こそが私の太子妃だ!」と高らかに宣言しました。

安楽が待ち望んだ答えでした。しかし、洛銘西が「吉時だ、拝礼を」と促したことで、一瞬緊張が走ります。韓燁は洛銘西が自分と張り合うつもりだと思いましたが、すぐに本当の新郎新婦が溫朔と苑琴(えん きん)であることに気づきました。この婚礼は、頑固な韓燁を誘き出すために洛銘西が仕組んだ策だったのです。安楽が自分を信じ、ここまでしてくれたことに深く感動する韓燁。安楽もまた、「あなたを知る帝梓元だから、必ず来てくれると信じていた」と微笑むのでした。

一人、がらんとした翎湘楼に戻った洛銘西は、かつての安楽との賭けを思い出し、彼女が願いを叶えたことを心から喜び、自らの負けを認めます。

平和な未来へ、そして永遠の想い

半月後、韓燁は安楽を連れて太祖の墓前に立ち、これまでの自分を省みながらも、安楽と出会えたこと、そして愛した任安楽(じんあんらく)こそが守るべき帝梓元であったことの喜びを語ります。二人は正式に結ばれ、安楽は名実ともに太子妃となりました。

その頃、洛銘西は一人、翎湘楼で静かに息を引き取ります。彼は、帝家の復興という託された役目を果たし、愛する人が幸せに暮らす未来を見届けられたことに満足しながら、穏やかな最期を迎えました。

そして7年の歳月が流れました。韓燁は皇帝に、安楽は皇后となり、大靖は平和で豊かな時代を迎えます。二人は満開の長思花を見ながら、この平和の礎となったかけがえのない友、洛銘西に想いを馳せるのでした。その後も二人は手を取り合い、50年にわたって国を治め、盛世を築き上げました。

登場人物たちの結末

本作の主人公である任安楽(じんあんらく)、その正体は無実の罪で一族を滅ぼされた帝家の娘・帝梓元(ていしげん)。彼女は長い苦難の末に一族の汚名をそそぎ、本来の身分を回復します。皇太子の韓燁(かんよう)とは、幾多の波乱を乗り越えた末に結ばれ、太子妃、そして皇后となりました。最終的に、韓燁と共に国を治め、太平の世を築き上げるという、家と国の双方に対する理想を実現させました。

その韓燁は、任安楽を守るため北秦との決戦で重傷を負い、視力を失ってしまいますが、後に救出され、帝盛天の助けにより回復します。任安楽への愛を自覚した彼は、彼女の婚礼の儀に乗り込んで想いを伝え、晴れて妻として迎えます。即位後は名君として国を導き、皇后となった任安楽と手を取り合って理想の治世を創り上げました。

一方で、切ない運命を辿った人物もいます。刑部尚書の洛銘西(らくめいせい)は、常に陰ながら任安楽を支え、彼女の復讐計画に尽力しました。 しかし、彼の想いが報われることはなく、任安楽と韓燁が結ばれた後、翎湘楼で独り静かに生涯を終えるという、悲しい結末を迎えました。彼を一途に慕っていた腹心の琳琅(りんろう)もまた、洛銘西を庇って彼の腕の中で命を落とし、その悲恋は多くの視聴者の涙を誘いました。

他の登場人物では、帝家の血を引く溫朔(おんさく)(正体は帝家の後継者・帝燼言)が、任安楽の侍女であった苑琴(えん きん)と結ばれ、帝家の血脈を未来へと繋ぎました。 帝家への罪悪感を抱いていた安寧(あんねい)公主(あんねいこうしゅ)は、自ら青南城の守りを志願し、最後は戦場で命を散らすという壮絶な最期を遂げました。

『安楽伝』最終回 第39話の感想

壮大な物語の終着点として、非常に見応えのある最終回でした。登場人物一人ひとりの選択が、それぞれの覚悟と愛の形を明確に示しており、胸に迫るものがあります。特に、自分の心を偽り続けてきた韓燁が、安楽の白髪をきっかけに愛のためにすべてを懸ける決断を下す場面は、本作のクライマックスにふさわしい名シーンでした。一方で、最後まで安楽の幸せだけを願い、自らの恋心を隠し通して静かに身を引いた洛銘西の生き様には、深い切なさと気高さを感じずにはいられません。多くの犠牲の上に築かれた平和と、ようやく結ばれた二人の穏やかな未来が、心に温かい余韻を残してくれました。

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