あらすじ
科挙の不正問題をめぐり、任安楽(じんあんらく)は大胆かつ巧妙な策を巡らせ、ついに黒幕を法廷の場へと引きずり出します。彼女の巧みな弁舌と用意周到な証拠によって、事件は解決へと向かうかのように見えました。しかし、その痛快な裁きは、朝廷に大きな力を持つ権力者の恨みを買う結果となります。一方、皇太子の韓燁(かんよう)は、一連の出来事を通して、ただの女海賊ではない任安楽の底知れない才能と謎めいた素顔に気づき始め、彼女への疑念と興味を深めていきます。事件の解決が、新たな復讐と陰謀の始まりを告げる、波乱に満ちた回です。
ネタバレ
いやあ、今回の第5話はスカッとしましたね! 科挙の不正事件でふてぶてしい態度を取り続けていた古斉善(こせいぜん)が、ついに任安楽(じんあんらく)の見事な策略によって追い詰められていく様は、まさに痛快の一言でした。
物語は、安楽が仕掛けた罠にまんまとハマった古斉善が、韓燁(かんよう)の登場に慌てふためくところからスタートします。安楽がわざとこぼしたお酒で足を滑らせ転んだところを、溜まりに溜まった鬱憤を晴らすかのように受験生たちに袋叩きにされる古斉善…ちょっと笑ってしまいました。
そして舞台は、三司会審という厳粛な法廷へ。安楽はここでも主役級の活躍を見せます。まるで手玉に取るように古斉善を誘導し、彼のボロを次々と引き出していくんです。侯爵家の息子という身分を笠に着て強気だった古斉善ですが、安楽が用意した「死んだはずの証人」が登場した瞬間、彼の顔から血の気が引いていくのが目に浮かぶようでした。
結局、安楽の描いた筋書き通りに罪を認めた古斉善。韓燁(かんよう)は法に基づき、「秋後の斬首」という厳しい判決を下します。この裁きには、民衆も学生たちも大歓声! まるで祭りのような騒ぎで、見ているこちらも胸がすく思いでしたね。
しかし、話はこれだけでは終わりません。息子の死刑判決に納得のいかない父の古雲年(こうんねん)は、皇帝・韓仲遠(かんちゅうえん)に泣きつきます。皇帝は、江南で絶大な力を持つ古雲年を刺激したくないという政治的判断から、斬首を流罪へと減刑してしまうのです。この決定に、古雲年は満足するどころか、任安楽(じんあんらく)への復讐を固く誓うのでした。
一方、韓燁(かんよう)は一連の事件を通して、任安楽(じんあんらく)が決して噂通りの「おバカな女海賊」ではないことを見抜きます。彼女の底知れない胆力と、わざと愚かなふりをしているその裏にある真の目的を探るため、腹心の洛銘西(らくめいせい)に調査を依頼するのでした。
そんな中、さっそく古雲年の報復が始まります。夜、安楽の屋敷に刺客が送り込まれるのですが…ここからの安楽がまたカッコいい! なんと数枚の碁石だけで刺客を撃退してしまうんです。護衛の苑書(えんしょ)も剣で応戦し、刺客をあっさりと追い払いました。
心配して駆けつけた溫朔(おんさく)が、つい口を滑らせて「韓燁様が心配して護衛をつけている」とバラしてしまうシーンは、この緊張感の中での癒しでしたね。韓燁の不器用な優しさが垣間見えた瞬間でした。
ラストは、安楽が韓燁を呼び出し、「面白い芝居を用意した」と不敵に笑うシーンで幕を閉じます。彼女の次なる一手とは一体何なのか? 物語が大きく動き出した第5話でした。
『安楽伝』第5話の感想
今回のエピソードは、前半の痛快な逆転劇と、後半に描かれる宮廷の複雑な権力闘争の対比が非常に巧みでした。任安楽が見せた「能ある鷹は爪を隠す」戦術は、見ていて実に見事。彼女がおちゃらけて見せる姿の裏に、いかに深い知略と覚悟が隠されているのかがよく分かりました。特に、法廷で古斉善を追い詰めていく場面は、彼女の頭の回転の速さと度胸の良さが際立っていました。
また、韓燁が任安楽に対する認識を改めていく過程も興味深かったです。単なるお騒がせな求婚者から、底知れない何かを秘めた重要人物へと、彼の中での彼女の存在が変化していく様子が丁寧に描かれていました。彼が彼女に惹かれ始めているのは明らかですが、同時にその正体への疑念も深めており、この二人の関係が今後の物語の大きな軸になっていくことを予感させます。古雲年の復讐という新たな脅威も生まれ、物語に一層の深みと緊張感が加わりました。
つづく