あらすじ

蜀の諜報機関・司聞曹は、五仙道殲滅作戦を開始する。潜入している義弟・陳恭(ちんきょう)と妹・翟悅(たくえつ)の身を案じる荀ク(じゅんく)は、危険を顧みず彼らに警告を送ろうと画策する。一方、五仙道内部では、陳恭が教主の信頼を得て、ある重要な任務を任されていた。作戦決行が迫る中、荀ク(じゅんく)と翟悅は密会し、脱出計画を練るが、その動きは司聞曹の内部の人物に監視されていた。蜀軍の攻撃が開始される裏で、誰も予想しなかった裏切りが牙を剥く。

ネタバレ

荀ク(じゅんく)、焦りからの危険な賭け

蜀の諜報機関・司聞曹(しぶんそう)では、馮膺(ふうよう)が不在の中、李バク(りばく)主導で五仙道(ごせんどう)の掃討作戦会議が開かれます。しかし、荀ク(じゅんく)に知らされたのは作戦の概要のみ。馮膺(ふうよう)が裏で李厳(りげん)と接触していることも、高堂秉(どうへい)が着々と司聞曹内での地位を固めていることも、彼は知りません。

五仙道に潜入している義弟・陳恭(ちんきょう)と妹・翟悅(たくえつ)の身を案じる荀ク(じゅんく)は、いてもたってもいられず、作戦決行を知らせるために危険な行動に出ます。軍の禁煙令を逆手に取り、わざと火を起こして煙を上げることで、五仙道に警告を送ったのです。兄として、仲間として、二人を救いたい一心からの行動でしたが、これが後にとんでもない事態を引き起こすとは…。

陳恭と翟悅(たくえつ)、死と隣り合わせの任務

一方、五仙道では、陳恭が教主・黄預(こうよ)から絶大な信頼を得ていました。「竹雀(ちくじゃく)」と呼ばれる手製の飛行具のテストでは、ライバルだった秦長老の縄に細工をし、自分だけが生き残るという非情な一面を見せつけます。これもすべては、蜀のため、そして妻・翟悅(たくえつ)と共に生き延びるため。

そんな中、荀ク(じゅんく)からの警告が届き、蜀軍の攻撃が近いことを知ります。翟悅は兄・荀ク(じゅんく)と密会し、燭龍(しょくりゅう)が書いた密書を渡すとともに、陳恭の脱出計画を伝えます。「家に帰りたい」と涙ながらに訴える妹に、荀ク(じゅんく)は「大漢光復のためだ」と非情な命令を下すしかありませんでした。兄妹の切ないやり取り…しかし、その様子を物陰から見つめる怪しい影が。そう、高堂秉です。彼はすべてを見ていたのです。

衝撃のラスト!燭龍の正体

蜀軍による五仙道への総攻撃が開始されます。報告を受けた李バク(りばく)は作戦の成功を確信し、祝杯をあげようとします。そこに、高堂秉が祝いのお茶を持って現れました。

馮膺(ふうよう)の動きや、作戦の裏側を意味深に語る高堂秉。李バク(りばく)が違和感を覚えたその時、彼の体は自由を失っていました。茶には毒が盛られていたのです。身動きが取れなくなった李バク(りばく)に対し、高до秉はゆっくりと弓を構え、恐ろしい真実を告げます。

「最終的な勝利は、我ら大魏国のものだ」

そして、彼は自分が魏のスパイ「燭龍」であることを明かしたのでした。まさか、あの実直そうに見えた高堂秉が…!信じていた部下に裏切られ、絶望の表情を浮かべる李バク(りばく)。高堂秉の奸計によって、蜀の諜報機関は内部から崩壊の危機に瀕するのでした。

『風起隴西(ふうきろうせい)-SPY of Three Kingdoms-』第11話の感想

今回のエピソードは、物語の核心に迫る大きな転換点となりました。なんといっても衝撃的だったのは、高堂秉が「燭龍」だったという事実です。これまでの彼の言動を思い返すと、確かに腑に落ちる点が多く、脚本の見事さに唸らされました。荀ク(じゅんく)を利用し、馮膺を追い落とそうとする動きも、すべては魏のためだったのですね。彼の豹変ぶりには、ただただ圧倒されるばかりです。

また、陳恭と翟悅、そして荀ク(じゅんく)と翟悅という二つの関係性が、それぞれ異なる形で描かれていたのも印象的でした。任務と私情の間で揺れ動く彼らの姿は非常に人間味があり、物語に深みを与えています。特に、兄に「家に帰りたい」と本音を漏らす翟悅のシーンは胸が締め付けられました。スパイたちの過酷な運命が、ひしひしと伝わってくる名シーンだったと思います。

つづく