あらすじ

燭龍(しょくりゅう)と目された高堂秉(どうへい)が牢内で謎の死を遂げ、荀詡(荀ク(じゅんく))はその死に強い疑念を抱きます。一方、陳恭(ちんきょう)は、魏から蜀へと戻り、新たな任務に就きます。そんな中、これまで怪しい動きを見せていた馮膺(ふうよう)が、蜀漢の重鎮・李厳(りげん)に対し、国そのものを揺るがしかねない大胆かつ危険な計画を持ちかけます。蜀漢内部の権力闘争、魏の諜報網、そして個々の登場人物が抱える秘密が複雑に絡み合い、誰も予測できない謀略の幕が静かに上がります。

ネタバレ

さあ、物語の歯車がまた一つ、大きく、そして誰もが予想しなかった方向へと軋みを上げて回り始めました!第18話は、張り巡らされた謀略の糸が複雑に絡み合い、敵と味方の顔がめまぐるしく入れ替わる、まさに息をのむ展開の連続です。

色香の罠と疑惑の死

まず、老獪な馮膺(ふうよう)が、美しい楽士・柳瑩(りゅうえい)を手引きして、蜀漢の重鎮・李厳(りげん)の元へ送り込みます。柳瑩(りゅうえい)はその美貌と巧みな話術で、いとも簡単に李厳(りげん)を骨抜きにしてしまうのです。李厳(りげん)は彼女に詩を贈り、すっかり夢中。この柳瑩(りゅうえい)、ただの美しい女性ではありません。彼女は陳恭(ちんきょう)と通じており、李厳から贈られた詩を、未来の脅迫材料として陳恭に渡すという用意周到さ。女スパイの恐ろしさを見せつけます。

一方、司聞曹(しぶんそう)では激震が走ります。燭龍(しょくりゅう)の容疑者であった高堂秉(どうへい)が、牢の中で自害したというのです。駆けつけた荀ク(じゅんく)は、現場の状況からこれが単なる自殺ではないと直感します。爪がきれいすぎること、毒を盛られた可能性…彼の鋭い洞察力が、事件の裏に潜むさらなる闇を予感させます。しかし、陳恭は「これは好都合だ」と、荀ク(じゅんく)に事を荒立てず、自殺として処理するよう諭すのでした。

盤上の駒が動き出す時

その頃、曹魏では五仙道を失った黄預(こうよ)が郭淮(かくわい)の元に身を寄せ、陳恭への不信感を募らせています。郭淮は彼をなだめ、大局のために陳恭と協力するよう命じます。敵国でもまた、新たな火種が生まれようとしていました。

そして、このエピソードの核心へ。馮膺(ふうよう)は荀ク(じゅんく)に対し、表向きは高堂秉の件を自殺として終わらせるよう説得しつつも、裏での調査を許可します。一見、事態の収拾を図る上司の姿ですが、彼の真の狙いは別にありました。

驚愕のどんでん返し!敵は味方、味方は…

夜、馮膺(ふうよう)の屋敷を訪れたのは、なんと諸葛亮(しょかつりょう)の腹心である楊儀(ようぎ)でした。ここで、視聴者が度肝を抜かれる事実が明かされます。馮膺は蜀漢を裏切ってなどいなかったのです!これまでの一連の行動はすべて、楊儀と共に、野心を抱く李厳を失脚させるために仕組んだ壮大な反間計(はんかんけい)だったのです。諸葛亮にすら知らせていない、危険極まりないこの計画。馮膺が李厳に取り入っていたのも、すべてはこのための芝居だったというわけです。

物語はクライマックスに向け、一気に加速します。馮膺は李厳と陳恭を食事に招き、そこで李厳を破滅へと導く「連環の計」を提案します。その恐るべき内容とは…

  1. 蜀軍の作戦計画を意図的に曹魏へ漏洩させ、諸葛亮の北伐を失敗させる。
  2. 李厳の兵に東呉兵のふりをさせて関所を襲撃させ、「東呉が攻めてくる」という偽情報を流す。

これにより、皇帝は二正面作戦を恐れ、諸葛亮に代わって李厳に全権を委ねるだろう、という筋書きです。あまりに危険な計画に、李厳の顔色が変わります。「これはもはや謀略ではない、謀反そのものではないか!」と。

馮膺の真の忠誠心、父の仇を討つという陳恭の秘めたる目的、そして真実を追い求める荀ク(じゅんく)の執念。それぞれの思惑が交錯する中、馮膺の仕掛けた罠は、果たして李厳を飲み込むことができるのでしょうか。

『風起隴西(ふうきろうせい)-SPY of Three Kingdoms-』第18話の感想

信じていたものが覆り、敵だと思っていた人物の真意が明らかになる、まさに重厚なスパイものの醍醐味が凝縮された回でした。特に、馮膺が裏切者ではなく、国を思うがゆえに汚名を被る覚悟で巨大な罠を仕掛けていたという展開には、思わず唸らされました。彼の抱える孤独や葛藤を思うと、胸が締め付けられます。一方で、純粋な正義感から真相を追う荀ク(じゅんく)の存在が、この謀略劇に一層の緊張感を与えています。誰が本当の敵で、誰が味方なのか。単純な善悪では割り切れない人間たちの信念と野望がぶつかり合う様は、物語に深い奥行きを与えており、知的な興奮を覚えました。

つづく