第2話で、親友であり義兄弟でもある陳恭(ちんきょう)と荀ク(じゅんく)が緊迫の再会を果たしましたが、第3話は息つく暇もなく、さらに過酷な展開が待ち受けていました。早速、あらすじとネタバレを見ていきましょう!

部屋で密かに軍の記録を調べていた陳恭。そこへ、上司である郭剛(かくごう)が突然入ってきます。ヒヤリとしましたが、陳恭は「部下の糜冲(びちゅう)に疑われているのが腹立たしくて、自分で火事の件を調べているんです」と、しれっと嘘をついてその場を切り抜けました。郭剛(かくごう)はそれを信じ、さらに「蜀漢から新しいスパイが天水に来た。名前は荀ク(じゅんく)だ」という、とんでもない情報を陳恭に漏らしてしまいます。

司聞曹(しぶんそう)の内部情報が、いとも簡単に魏に筒抜けになっている…。この事実に愕然とした陳恭は、すぐさま荀ク(じゅんく)に隠れるよう指示。そして、裏切り者「燭龍(しょくりゅう)」は、魏の通信網ではなく、あえて蜀漢のルートを使って情報を流しているのではないかと推理します。その結果、疑いの目は情報伝達役の谷正(こくせい)に向けられました。

しかし、その谷正はすでに糜冲(びちゅう)からもマークされていました。糜冲(びちゅう)は、荀ク(じゅんく)が谷正と接触すると読み、彼を監視することで大物である白帝(はくてい)、つまり陳恭を捕らえようと画策します。

一方、蜀漢の都では、新たな権力者・李厳(りげん)が司聞曹(しぶんそう)に乗り込んできます。彼は陳恭の裏切りの件を口実に、馮膺(ふうよう)にプレッシャーをかけ、司聞曹の組織改革を宣言。馮膺(ふうよう)は、友人の楊儀(ようぎ)に対し、「多くの犠牲が出ると分かっていても、功績ある陳恭を汚名を着せたまま死なせたくない」という苦しい胸の内を明かすのでした。

その頃、天水では谷正が動きます。彼は糜冲の監視を巧みにかわし、次の伝達役「赤帝(せきてい)」に情報を渡すと、妻に別れを告げ、漢中へ重要情報を届けるという危険な任務に向かう覚悟を決めます。

荀ク(じゅんく)もまた、陳恭の指示で谷正の真偽を確かめるべく動き出していました。しかし、荀ク(じゅんく)を護衛するために潜入していた部隊が、糜冲の仕掛けた大規模な山狩りに遭遇。彼らは荀ク(じゅんく)を逃がすため、自らおとりとなり、魏軍の鎧を脱ぎ捨てて壮絶な死を遂げます。

なんとか街にたどり着いた谷正は、荀ク(じゅんく)と秘密の場所で接触します。しかし、荀ク(じゅんく)が身に着けていた漢中の香袋の香りから、彼が偽の人物だと見抜きます。荀ク(じゅんく)は正直に身分を明かし、護衛部隊が来られなくなった状況を説明。谷正は荀ク(じゅんく)を信じますが、自分が裏切り者として疑われていることに激しく憤慨します。「国のために命を懸けてきた自分が、このような屈辱は受けられない!」と、潔白を証明するためにその場で自ら命を絶ってしまいました。

部下の死、そして目の前で起きた協力者の自決。荀ク(じゅんく)は完全に孤立無援の状態に。一方、陳恭は遊郭での遊びを装って時間稼ぎをし、糜冲のアリバイ追及をなんとかかわしますが、その心は仲間を失った怒りと悲しみで張り裂けそうなのでした。味方を疑い、味方が死んでいく…スパイたちの非情な世界が、より一層暗い影を落とした回でした。

『風起隴西(ふうきろうせい)-SPY of Three Kingdoms-』第3話の感想

今回のエピソードは、登場人物たちの「覚悟」が胸に突き刺さる回でした。特に、自らの命を懸けて情報を運び、最後は潔白を証明するために自決を選んだ谷正の姿には、言葉を失います。国への忠義と、裏切り者として疑われる無念さが入り混じった彼の悲痛な叫びは、この物語の非情さを象徴しているようでした。また、荀ク(じゅんく)を逃がすために散っていった護衛部隊の最期も、彼らの強い意志を感じさせ、非常に印象的です。一方で、親友を救うために私情を挟む馮膺(ふうよう)や、遊び人を装いながら内心では怒りと悲しみに暮れる陳恭など、それぞれの立場で抱える苦悩が丁寧に描かれており、物語に一層の深みを与えています。誰が敵で誰が味方なのか、疑心暗鬼が渦巻く中で、登場人物たちの人間性が浮き彫りになる、見ごたえのある内容でした。

つづく