あらすじ
複数の捜査線が、ある島の女性と一つの孤児院へと繋がっていく。やがて、捜査の核心にいた人物の衝撃的な過去と裏切りが明らかになり、事態は大きく動揺する。黒幕を追い詰めるため、ある主要人物は自らの危険を顧みない大胆な計画を実行に移す。物語は最終局面に向けて一気に加速していく。
ネタバレ
すべての始まりは「孤児院」…明かされる衝撃の過去
今回の物語は、いくつかの捜査線が、まるで磁石のように一つの場所に引き寄せられていくところから始まります。
まず、肖翰揚(シャオ・ハンヤン)の地道な捜査。彼はある島で、事件の鍵を握る女性・卓迎春(ジュオ・インチュン)について聞き込みをしていました。最初は誰も彼女を知らない様子でしたが、ある老人が口にした「小花袄(シャオホワアオ)」という愛称が突破口に! 彼女が島で二度も夫に先立たれ、不吉な噂を立てられていた過去、そして、彼女が孤児院から送られてきたという事実が判明します。
時を同じくして、嵐喬(ラン・チアオ)も別の角度から真相に迫ります。彼女が手に入れた画集の中に、なんと重要参考人である張昭臨(ジャン・ジャオリン)の肖像画が!これが決定的な証拠の一つとなっていきます。
そして、駱為昭(ルオ・ウェイジャオ)の元にも、衝撃的な情報が。杜佳(ドゥー・ジア)が潜入捜査で手に入れた写真には、張昭臨だけでなく、彼の隣にSIDの現部長である張昭錦(ジャン・ジャオジン)が写っていたのです!
ついに観念した張昭錦は、駱為昭(ルオ・ウェイジャオ)に重い口を開きます。彼と張昭臨は血の繋がらない兄弟で、同じ孤児院で育ったこと。そして、そこには蘇翡(スー・フェイ)もいたこと。美しい蘇翡が孤児院の後援者である周亜厚(ジョウ・ヤホウ)に目をつけられ、辱めを受けそうになったため、3人で脱走を試みたものの失敗に終わったという、辛い過去が語られました。
しかし、駱為昭(ルオ・ウェイジャオ)の怒りは収まりません。「そんな過去があったからって、恩師の霍蕭(フォ・シャオ)や老楊(ラオ・ヤン)を裏切っていい理由になるのか!」と。張昭錦は涙ながらに告白します。悪事に手を染めた弟・張昭臨が霍蕭たちに追いつめられ、彼らを殺害する計画を立て、自分はそれを見て見ぬふりをするしかなかった、と…。長年の同僚であり、兄弟同然だった仲間を裏切った事実に、駱為昭は言葉を失います。
裴溯(ペイ・スー)、命がけの極秘作戦!「黄雀」は誰だ!?
駱為昭と張昭錦の緊迫した対話は、駱為昭の父である駱監察長によって監視されていました。そして、駱為昭が部屋を出た直後、監察長は杜(ドゥー)部長に「行動開始」を指示。しかし、彼らが張昭臨の家に踏み込んだときには、すでにもぬけの殻でした。
この一連の流れに、駱為昭は違和感を覚えます。監察長と杜(ドゥー)部長が何かを隠している。そして、黒幕である范思淵(ファン・スーユエン)を追い詰めるための作戦に、何か決定的な「駒」が足りないことに気づきます。その駒とは…そう、裴溯(ペイ・スー)でした。
ここで物語は24時間前に遡ります。
なんと裴溯(ペイ・スー)は、杜(ドゥー)部長と極秘裏に接触し、協力関係を結んでいたのです! 蘇翡が残した張昭臨の犯罪の証拠を杜(ドゥー)部長に渡し、信頼を得た裴溯。彼は、悪魔のような男・范思淵を決して逃してはならないと、自らをおとりとする危険な作戦を提案します。
その名も「螳螂捕蝉、黄雀在後(カマキリがセミを捕らえ、その後ろから黄雀が狙う)」作戦。
張昭臨の息子・張東瀾(ジャン・ドンラン)を誘拐したと見せかけ、張昭臨本人をおびき出す。そして、その二人を狙って必ず現れるであろう范思淵を、一網打尽にするという壮大な計画でした。
「この作戦で、自分が生きて帰れるとは思っていない」。そう覚悟を決めた裴溯は、この計画を駱為昭には絶対に秘密にするよう、杜(ドゥー)部長に固く口止めしていたのです。
絶望の光景…壊れた眼鏡が意味するもの
そして、物語は現在へ。
計画通り、張昭臨から連絡を受けた裴溯は、指定された場所へ向かいます。
一方、何も知らない駱為昭は、必死で裴溯の行方を追っていました。ようやく彼の居場所を突き止め、現場に駆けつけますが…そこに広がっていたのは、絶望的な光景でした。
運転手は殺され、裴溯の姿はどこにもない。
そして地面には、彼のものと思われる無残に壊れた眼鏡が…。
その30分前、裴溯は張昭臨によって連れ去られ、宿敵・范思淵の元へと引き渡されていたのでした。
いやー、もう、最後のシーンは鳥肌モノでしたね! 駱為昭の焦りと絶望を思うと、胸が張り裂けそうです。自らの命を賭して、たった一人で巨悪に立ち向かおうとする裴溯。彼の運命はどうなってしまうのか!? 駱為昭は、この絶体絶命の親友を救い出すことができるのでしょうか。
次回、ついに最終決戦の火蓋が切られます! 1秒たりとも目が離せません!
『光・淵(こうえん)』第29話の感想
第29話は、これまで散りばめられてきた謎が一気に収束していく、非常に密度の濃い回でした。特に、張昭錦が語る孤児院での過去は、事件の根深さを改めて突きつけ、登場人物たちの人間関係に複雑な影を落とします。そして何より、裴溯が自らを犠牲にする覚悟で仕掛けた壮大な作戦には息をのみました。ラストシーンで壊れた眼鏡が映し出された瞬間、彼の身に迫る危機が痛いほど伝わり、物語の緊迫感は最高潮に達したと感じます。
つづく