いやあ、今回の第22話は、これまでのエピソードとは一味も二味も違う、息もつかせぬ展開でしたね!狄仁傑(てき じんけつ)と曹安(そう あん)の甘い雰囲気に癒されるのも束の間、あの宿敵・黒焔(こくえん)が本格的に動き出し、物語は一気に不穏な空気に包まれていきます。

今回は、仲間の暴走が招いた悲劇と、狄仁傑(てき じんけつ)がたった一人で危険な罠に足を踏み入れていく緊迫の展開を、ネタバレ全開で語っていきたいと思います!

恋模様とすれ違う仲間たち

物語は、馬栄(ば・えい)が曹安(そう あん)の買い物に付き合わされ、ヘトヘトになっているシーンから始まります。たった2時間で財布は空っぽ、足は棒のよう。「なんで私がこんな目に…」と洪亮(こうりょう)(こうりょう)(こうりょう)(こうりょう)に愚痴をこぼす馬栄(ば・えい)、その気持ち、ちょっと分かります(笑)。

しかし洪亮(こうりょう)(こうりょう)(こうりょう)は、「狄仁傑(てき じんけつ)様のお金は曹安(そう あん)様のお金。二人はもうすぐ家族になるんだから」とニヤニヤ。実は最近、狄仁傑が頻繁に雁(がん)を探しに出かけているのは、結婚の儀式に使うためで、いよいよ曹安に正式な名乗りを上げるつもりらしい、と暴露します。

その頃、当の狄仁傑は喬泰(きょうたい)(きょうたい)(きょうたい)と雁探しに悪戦苦闘。生きた雁は見つからないのに、見つかるのは死んだ雁ばかり。しかもその死骸の下には、あの黒焔の不気味な印が…!

喬泰(きょうたい)(きょうたい)は、黒焔がいつも新月の日に集会を開くことを思い出します。そして、まさに明日がその日!馬栄(ば・えい)は「今すぐ乗り込んで一網打尽にしましょう!」と息巻きますが、狄仁傑はこれを制止。「黒焔は甘くない。これは我々をおびき出す罠の可能性がある」と、慎重な姿勢を崩しません。

そんな中、曹安は狄仁傑のために手袋を贈ります。彼の上着についた砂や靴底の雁の羽から、彼が弓を引くために寒い蘭坊(らんぼう)に通っていることを見抜いていたのです。鋭い観察眼と深い愛情に、狄仁傑も驚きを隠せません。

この二人の甘いやり取りを見てしまった馬栄の心は、嫉妬と焦りでぐちゃぐちゃに。「みんな曹安に甘い!狄仁傑様まで、事件そっちのけで色恋にうつつを抜かしている!」と思い込んだ彼女は、とんでもない行動に出てしまうのでした。

馬栄の暴走が招いた悲劇

その夜、馬栄は独断で牢から陳諸良(ちん しょりょう)を出し、黒焔の集会場所だという森へ案内させます。彼女の危険な行動を察知した喬泰が慌てて駆けつけ、文句を言いながらも部隊を率いて同行してくれるあたり、仲間思いで泣かせますね…。

しかし、森の中は深い霧に包まれ、視界は最悪。揺らめく人影を見つけた馬栄が、喬泰の制止を振り切って突っ込んでいくと、そこに広がっていたのは、木々に吊るされた無数の死体という地獄絵図でした。

そして次の瞬間、四方八方から無数の矢が飛来!突然の奇襲に対応できず、仲間たちは次々と倒れていきます。そして、馬栄をかばった喬泰までもが毒矢に射抜かれ、意識不明の重体に陥ってしまうのです。

未知の毒に侵され、昏睡する喬泰を前に、自分の軽率な行動が招いた結果を突きつけられた馬栄は、ただただ後悔の念に苛まれるのでした。このシーンは本当に胸が痛かった…。

黒焔からの挑戦状、狄仁傑の決意

時を同じくして、狄仁傑のもとにも黒焔からの魔の手が。役所の中庭に投げ込まれた死んだ雁には、一枚の文が結びつけられていました。

何とも不気味な漢詩ですが、狄仁傑はこれが自分を「青川(せいせん)」という場所へ誘い出すための罠だと瞬時に見抜きます。

罠だと分かっていても、行かねばならない。仲間を傷つけられ、これ以上好きにはさせられない。狄仁傑の決意は固いものでした。

旅立ちの準備をする狄仁傑に、曹安は静かに寄り添います。「必ず、ご無事で戻ってください」と。そして、彼女はこう付け加えるのです。

「戻られたら、もう私のことを『曹娘子』とは呼ばないでください」

その言葉に込められた意味、言うまでもありませんよね。二人の間に流れる固い絆と愛情が、これから危険な旅に出る狄仁傑にとって、何よりの力になることでしょう。

悪徳がはびこる街・青川へ

馬を駆り、青川へと向かう狄仁傑。道中の森で、「葫芦(ひさご)先生」と名乗るロバに乗った不思議な老人と出会い、しばし旅を共にします。この老人の助けもあって、狄仁傑は医者を装い、無事に青川の町に入ることができました。

しかし、青川はとんでもない場所でした。街の通りには、先日森で出会った盗賊たちが惨殺されて転がっています。それを遠巻きに見る住民たち。そこへ馬に乗って現れたのは、いかにも横暴な態度の蕭(しょう)校尉。

狄仁傑は、馬に踏まれそうになった少女・小薇(しょうび)を間一髪で救います。そして、事件の真相を探るべく、蕭校尉(しょう こうい)に身分を明かし検死を申し出ますが、蕭校尉(しょう こうい)は「死体はもう埋めた」と酒をあおり、まともに取り合おうとしません。

どうやらこの街は、役人からして腐敗しきっているようです。

その後、狄仁傑は宿で先ほど助けた少女・小薇と再会します。彼女は宿の雑用係として健気に働いていました。小薇は命の恩人である狄仁傑に、「この町では、決してお金持ちだという素振りを見せないで」と忠告します。

無法地帯と化した青川。仲間を傷つけた謎の組織・黒焔。そして、腐敗した役人たち。狄仁傑の孤独な戦いが、今、始まろうとしています。

『大唐狄公案 神探、王朝の謎を斬る』第22話の感想

第22話は、物語の雰囲気が大きく転換する回でした。前半で描かれる狄仁傑と曹安の穏やかで心温まるやり取りが、後半の緊迫した展開への布石として効果的に機能しています。特に印象的だったのは、仲間であるはずの馬栄の焦燥と嫉妬が引き起こした悲劇です。彼女の軽率な行動が、忠義に厚い喬泰を危険に晒す場面は非常に心を揺さぶられました。この一件により、チーム内の信頼関係にも変化が生じるかもしれません。また、舞台が無法地帯のような青川に移り、腐敗した役人が登場することで、事件の根深さと狄仁傑が直面する困難の大きさが示唆されます。黒焔という謎の組織の不気味さも増し、物語全体に漂うサスペンスが一段と濃くなったように感じます。個人の感情が大きな事件の引き金となる構成は、人間ドラマとしての深みを与えていました。

つづく