周の国で、皇帝の甥・宇文貞(うぶんてい)の治療にあたる楊雪舞(せつぶ) 。その頃、宮廷では権力者・宇文護(うぶんご)が皇帝の座を狙い、非情な陰謀を巡らせていました。皇帝・宇文ヨウ(うぶんよう)/武帝(うぶんよう/ぶてい)は、宇文護の策略によって苦渋の決断を迫られ、深い苦悩に沈みます。そんな彼の心を癒したのは、雪舞の温かい励ましの言葉でした。雪舞の存在は、孤独な宇文ヨウ/武帝(うぶんよう/ぶてい)にとって大きな支えとなっていきます。しかし、宇文護の次なる魔の手が、静かに宇文ヨウ/武帝(うぶんよう/ぶてい)へと伸びていました。

「蘭陵王」あらすじネタバレ16話

周の国にやってきた楊雪舞(せつぶ) は、奇病に苦しむ皇族の宇文貞(うぶんてい)の治療に専念していました。彼女が周の宮廷で奮闘する姿を、衛兵に身をやつした蘭陵王(らんりょうおう)が、ただひたすらに、そして密かに見守っているとは知らずに…。

その頃、周の宮廷では、実権を握る大冢宰・宇文護(うぶんご)が、ついに謀反へと本格的に動き出していました。彼はまず、目の上のたんこぶである皇帝・宇文ヨウ(うぶんよう)/武帝(うぶんよう/ぶてい)の腹心・尉遅迥(うっちけい)を排除しようと企みます。宇文護は、先のボウ山での大敗の責任を尉遅迥に押し付け、彼を罪人に仕立て上げました。

宇文ヨウ(うぶんよう)/武帝(うぶんよう/ぶてい)に忠誠を誓う女官・玉兎(ぎょくと)は、宇文護の信頼を得るために彼の屋敷に潜入していましたが、スパイではないかと疑われてしまいます。宇文護は彼女を試すため、毒酒を飲むよう命令。玉兎は宇文ヨウ/武帝(うぶんよう/ぶてい)への忠義を示すため、そして宇文護の信用を勝ち取るため、ためらうことなく毒酒を飲み干します。その覚悟に宇文護は満足し、ついに家臣たちの前で「大事の時は来た、自分が王になる」と宣言するのでした。

命からがら宮中に戻った玉兎から宇文護の謀反計画を聞いた宇文ヨウ/武帝。彼はすぐに尉遅迥と密会し、君臣の絆を再確認します。

しかし、運命はあまりにも残酷でした。後日開かれた宇文護の誕生祝いの宴席で、悲劇が起こります。宇文ヨウ/武帝も出席するその場で、宇文護は尉遅迥に無実の罪を着せ、なんと宇文ヨウ/武帝自身の手で彼を殺すよう強要したのです。疑われれば自らの命も危うい。絶体絶命の状況で、宇文ヨウ/武帝は血の涙を流す思いで、忠臣である尉遅迥に刃を向けました。

自らの手で腹心を殺めてしまった宇文ヨウ/武帝は、深い絶望と自己嫌悪に苛まれます。「自分は人でなしだ、貞のそばにいる資格すらない」と苦しむ彼を救ったのは、雪舞の温かい言葉でした。雪舞は、かつて賤民村で宇文ヨウ/武帝が見せた優しさを語り、「あなたの心には善良な天性がある」と彼を励まします。その言葉は、暗闇にいた宇文ヨウ/武帝にとって一条の光となり、彼は雪舞を自分のそばに留めておきたいという想いを一層強くするのでした。

雪舞のおかげで心の平穏を取り戻しかけた宇文ヨウ/武帝。しかし、本当の陰謀はまだ始まったばかりでした。宇文護は腹心の李安(りあん)と、宇文ヨウ/武帝の食事に毒を盛る計画を立てます。その恐ろしい密談を、またしても玉兎が聞いてしまうのでした…。

宮廷の不穏な空気も知らず、雪舞は貞と一緒に宇文ヨウ/武帝と遊び、和やかな時間を過ごします。貞が休んだ後、宇文ヨウ/武帝は雪舞に「一緒に来てほしい場所がある」と告げるのでした。

『蘭陵王』第16話の感想

今回は、周の皇帝・宇文ヨウ/武帝の孤独と苦悩が胸に迫る回でした。自らの権力を守るため、そして国を宇文護から守るために、忠実な腹心をその手で殺めなければならないとは、あまりにも過酷な運命です。彼の悲痛な決断と、その後の深い絶望には、見ているこちらも心が痛みました。そんな彼の心を溶かしたのが、雪舞の存在です。彼女の純粋さと優しさが、非情な権力闘争の中で人間性を失いかけていた宇文ヨウ/武帝にとって、どれほどの救いになったことでしょう。二人の心の交流が非常に丁寧に描かれており、物語に奥行きを与えていました。一方で、宇文護の底知れぬ悪意と策略はますますエスカレートし、一瞬たりとも気の抜けない緊張感が続きます。蘭陵王の出番は少なかったものの、彼の雪舞への変わらぬ想いが感じられ、今後の展開が気になるところです。

つづく