幸せな新婚生活を送る蘭陵王(らんりょうおう)と雪舞(せつぶ)。しかし、周の策略によって斉の民は次々と国を離れ、国内は深刻な財政危機に陥っていた。夫である蘭陵王の力になりたいと願う雪舞は、忠実な従者・暁冬(きょうとう)と共に、傷を負った兵士たちが自立するための村作りへと乗り出す。その優しさと知識で傷兵たちの希望となっていく雪舞。しかし、彼女が王府を留守にしている間に、ある人物が静かにその地位を狙い、不穏な策略を巡らせ始めていたのだった。

「蘭陵王」あらすじネタバレ20話

ついに結ばれ、幸せな結婚生活を送る蘭陵王(らんりょうおう)と雪舞(せつぶ)。見ているこっちが照れてしまうくらいラブラブな二人ですが、その幸せは長くは続きません。斉国は、周の策略と長年の戦、さらには蝗害(いなごがい)まで重なって、深刻な財政危機に陥っていました。

民の苦しみを見過ごせない蘭陵王と雪舞は、結婚祝いの品々をすべて売り払い、食料に変えて配給しますが、それは焼け石に水。根本的な解決にはほど遠い状況です。

そんな中、蘭陵王府に一人の道士が現れ、「王が側室を娶らなければ、災いが降りかかる」などと不吉な予言を口にします。もちろんこれは、あの女…鄭児(ていじ)が裏で糸を引いていたこと。彼女は道士に「本当の鄭妃は別にいる」とまで言わせ、雪舞の心を巧みに揺さぶります。蘭陵王は一蹴するものの、その心に小さな疑念の種が植え付けられてしまいました。

一方、周の皇帝・宇文ヨウ(うぶんよう)は、停戦協定の裏で狡猾な策を巡らせていました。周へ移住する斉の民に土地を与え、税を三年間免除するというのです。この政策で、斉の民は次々と国を捨て、斉はますます困窮していきます。雪舞の結婚を知った宇文ヨウの、寂しげな表情がなんとも切なかったですね。

国の危機を救うため、皇帝から資金調達の勅命を受けた蘭陵王。夫の力になりたい一心で、雪舞は暁冬(きょうとう)の助けを借りながら、傷兵たちが自立して暮らせる村を作るために奔走し始めます。彼女の知識と優しさは、絶望していた傷兵たちに希望の光を与え、義足を作ったり、傷を治療したりと大活躍。

しかし、雪舞が傷兵村にかかりきりになっている間、王府では鄭児が静かにその牙を剥き始めていました。雪舞の前では従順なフリをして「王府のことは私にお任せください」と申し出て、まんまと彼女の信頼を勝ち取ります。そして、蘭陵王には手料理を差し入れるなど、かいがいしく世話を焼いて取り入ろうとします。

ある日、鄭児が蘭陵王に昼食を届けに行くと、そこには雪舞からの弁当を届けに来た暁冬の姿が。蘭陵王が迷わず雪舞の弁当を選んだ瞬間、鄭児の顔から笑顔が消え、その瞳には暁冬に対する激しい憎悪の炎が燃え上がったのでした。

雪舞の善意が、結果として最も危険な女に自由を与えてしまうとは…。なんとも皮肉な展開です。

『蘭陵王』第20話の感想

今回は、幸せな新婚生活から一転、静かに、しかし確実に忍び寄る不穏な影が巧みに描かれた回でした。雪舞の持つ天性の優しさと行動力は、傷兵たちにとってはまさに女神のような存在です。しかし、その純粋さが、人の悪意に対してはあまりにも無防備であるという危うさも同時に浮き彫りになりました。彼女が人を信じやすい性格だからこそ、鄭児のような狡猾な人物にとっては、これ以上ないほど御しやすい相手なのでしょう。

鄭児の二面性には、ただただ感服するばかりです。蘭陵王や雪舞の前で見せる殊勝な態度と、一人になった時に見せる嫉妬に満ちた表情の落差が見事でした。特に、蘭陵王が雪舞の弁当を選んだ時の、暁冬に向けられた冷たい視線は、彼女の今後の行動を予感させ、物語に新たな緊張感をもたらしています。善意が裏目に出てしまう展開は、見ていて心が痛みますが、それこそがこのドラマの深みなのでしょう。

つづく