多忙な蘭陵王(らんりょうおう)と雪舞(せつぶ)の間には、少しずつ距離が生まれていた。その隙を見逃さず、鄭児(ていじ)は蘭陵王の心を手に入れようと画策を始める。彼女はまず、雪舞に忠実な暁冬(きょうとう)を邪魔者とみなし、巧妙な罠を仕掛ける。
鄭児のある行動がきっかけで、蘭陵王は彼女に大きな恩義を感じることに。二人の距離が縮まる一方で、雪舞は不安を隠せない。やがて、王府内には雪舞と暁冬に関する不穏な噂が流れ始め、穏やかだった日常に暗い影を落としていく。
「蘭陵王」あらすじネタバレ21話
いやあ、今回の『蘭陵王(らんりょうおう)』は、じわじわと心をえぐられるような展開でしたね…。蘭陵王(らんりょうおう)と雪舞、二人の間には穏やかな時間が流れているように見えましたが、その水面下では恐ろしい渦が巻いていました。
財政問題で頭を抱える蘭陵王と、傷兵村で献身的に働く雪舞。お互いを想いながらも、すれ違いの時間が生まれてしまいます。そして、この隙を虎視眈々と狙っていたのが、そう、鄭児(ていじ)です。彼女の蘭陵王への執着心は、ついに雪舞と、彼女に忠実な暁冬へと牙を剥きます。
ある日、鄭児(ていじ)はとんでもない計画を実行に移します。暁冬が馬を扱っている際にわざと馬を驚かせ、パニックを引き起こしたのです。危険に晒された蘭陵王!その瞬間、鄭児は身を挺して蘭陵王をかばい、馬に蹴られて重傷を負うという自作自演をやってのけます。
命の恩人(と、蘭陵王は思い込んでいる)である鄭児に対し、彼は罪悪感と責任感からつきっきりで看病を始めます。そのあまりに親密な様子に、雪舞の心は不安でかき乱されるばかり…。雪舞が鄭児を診察した際には、眠っているはずの鄭児が夢うつつに「長恭様…」と名を呼ぶのを聞いてしまい、衝撃を受けるのでした。
もちろん、鄭児の怪我は仮病。彼女は療養中と偽りながら、暁冬の部屋に忍び込み、彼が大切にしまっていた雪舞のハンカチを見つけ出します。これこそが、彼女が仕掛けた罠の決定的な証拠となりました。
案の定、都では「蘭陵王妃・楊雪舞(せつぶ) が下人の韓暁冬(きょうとう) と密通している」という根も葉もない噂が広まり始めます。これに怒った侍女の小翠(しょうすい)は、病床の鄭児に「あなたの仕業でしょう!」と詰め寄りますが、鄭児は悲劇のヒロインを演じきり、ショックで吐血(もちろんこれも演技でしょうが…)。その場面を目撃した蘭陵王は、鄭児への同情をさらに深めてしまうのでした。
噂の渦中にいる雪舞と暁冬は、蘭陵王と鉢合わせしてしまいます。小翠(しょうすい)が暁冬に潔白を証明するよう促すと、彼は皆の前でハンカチの存在を認めました。しかし、それは決してやましいものではなく、雪舞への感謝の気持ちの証として大切に持っていたのだと、まっすぐに訴えます。
ですが、噂が広まってしまった以上、このままでは雪舞の名に傷がつく。そう考えた暁冬は、自ら蘭陵王府を去るという辛い決断を下すのでした。
無実の罪で去ってしまった暁冬を想い、雪舞は悲しみにくれます。蘭陵王は「誰も疑っていない。彼も考えがまとまれば戻ってくる」と優しく慰めますが、二人の間には見えない溝が生まれつつありました。
そんな中、雪舞を可愛がっている皇姥姥(皇太后)が王府を訪れ、「早く孫の顔が見たい」と二人を励まします。このおかげで蘭陵王と雪舞の絆は少しだけ強さを取り戻しますが、鄭児は自分たちの仲を深めさせた皇姥姥にまで、新たな憎しみの炎を燃やし始めるのでした…。
『蘭陵王』第21話の感想
今回は、鄭児の策略が本格的に牙を剥き、物語が大きく不穏な方向へと舵を切った回でした。彼女の用意周到さと、人の善意や罪悪感を利用する狡猾さには、見ていて本当に腹立たしさを覚えます。特に、蘭陵王を助けるために自ら傷つく場面は、その執念の恐ろしさに鳥肌が立ちました。
一方で、暁冬の誠実さと雪舞への忠誠心には胸を打たれます。彼の純粋な想いが、鄭児の悪意によって汚され、王府を去らなければならなくなった展開は非常に切ないです。蘭陵王もまた、恩義と雪舞への愛との間で板挟みになり、彼の人の好さが裏目に出ているのがもどかしいですね。
つづく