蘭陵王(らんりょうおう)と雪舞(せつぶ)の間に生まれた誤解が、深刻な夫婦の亀裂を生んでしまいます。二人の仲を深く憂いた皇太后は、雪舞に仲直りのための策を授けますが、その一計が、かえって事態を悪化させる引き金となるのでした。一方、二人の不和を好機と見る鄭児(ていじ)は、蘭陵王府での自分の立場を確固たるものにすべく、虎視眈々と次の一手を狙っています。純粋な想いと邪な思惑が交錯し、蘭陵王府に静かな嵐が吹き荒れるエピソードです。

「蘭陵王」あらすじネタバレ23話

いやあ、今回の23話は本当に心がえぐられる回でしたね…。愛しているからこそすれ違い、良かれと思ったことが最悪の事態を招く…。そんな人間関係の皮肉がこれでもかと描かれていて、見ているこちらも胸が苦しくなりました。

それでは早速、愛と憎しみが渦巻く第23話の世界に飛び込んでいきましょう!

夜遅く、鄭児(ていじ)を伴って帰宅した蘭陵王(らんりょうおう)。その手には、かつて鄭児(ていじ)に贈ったはずの腕輪「玉瑛(ぎょくえい)」が…。その光景を目撃してしまった雪舞(せつぶ)の心は、嫉妬と不安で張り裂けんばかり。ついに二人は、これまでで最も激しい口論を繰り広げ、蘭陵王は「もうお前の顔も見たくない!」とばかりに部屋を飛び出し、夫婦は別々の部屋で夜を明かすことになってしまいます。

この夫婦の危機を侍女から聞きつけたのが、蘭陵王の母である皇太后。彼女は孫のように可愛がる雪舞を不憫に思い、一つの策を授けます。それは、「仮病を使って蘭陵王の気を引く」という、なんとも古典的なものでした。

まんまと策にはまった蘭陵王。雪舞が重い病に倒れたと聞くやいなや、前夜の怒りも忘れ、雪舞の部屋へ駆けつけます。しかし、皇太后は「静養の邪魔です」と彼を部屋に入れようとしません。炎天下の中、何時間も立ち尽くし、ひたすら妻の身を案じる蘭陵王。その誠実な姿に心を打たれた皇太后は、ついに彼を許し、蘭陵王も自らの非を認めます。そして、これ以上雪舞を苦しませないため、鄭児(ていじ)を然るべき家に嫁がせることを固く約束するのでした。

しかし、この一部始終を、鄭児が物陰から聞いていたのです。自分が嫁に出されると知り、衝撃を受ける鄭児。彼女は雪舞の病が嘘ではないかと疑い、こっそり薬湯の残りカスを調べます。すると、それは病を治す薬ではなく、ただの杏仁茶(きょうにんちゃ)であることが判明。皇太后と雪舞の芝居を確信した鄭児の目に、復讐の炎が燃え上がります。

皇太后が寺へ向かい、蘭陵王が見送りに出た、まさにその隙を突いて、鄭児は雪舞の部屋に乗り込み、仮病の嘘を暴きたてます。そこへ、運悪く蘭陵王が戻ってきてしまうのです。

愛する妻と、尊敬する母が結託して自分を騙していた―。

その事実を知った蘭陵王の怒りは頂点に達します。

「私の真心を踏みにじったな!」

そう叫ぶ彼の瞳には、深い絶望と失望の色が浮かんでいました。泣きながら謝る雪舞の声も、もはや彼の心には届きません。蘭陵王は怒りに任せて部屋を去り、二人の間に刻まれた亀裂は、修復不可能なほど深いものとなってしまったのでした。

『蘭陵王』第23話の感想

今回のエピソードは、登場人物それぞれの「想い」が、ことごとく悪い方向へ転がっていく様が実に見事でした。雪舞を思う皇太后の親心、蘭陵王を純粋に愛する雪舞の心、そして蘭陵王の誠実さ。これらすべてが、鄭児という触媒によって化学反応を起こし、最悪の結果を生んでしまったのです。特に印象的だったのは、蘭陵王の怒りの裏にある深い悲しみです。彼が怒ったのは、単に騙されたからだけではないでしょう。最も信頼していた二人に裏切られたという絶望感、そして自分の心配や愛情が偽りの上で弄ばれたという無力感が、彼をあれほどまでに打ちのめしたのだと感じました。誰もが誰かを想っているのに、誰も幸せになれない。このやるせない結末は、物語に一層の深みを与えており、登場人物たちの行く末から目が離せなくなりました。

つづく