鄭児(ていじ)の企みがついに蘭陵王(らんりょうおう)に露見し、彼女は蘭陵王から決別を言い渡されます。しかし時を同じくして、雪舞(せつぶ)が何者かに連れ去られてしまうという最悪の事態が発生。蘭陵王は真実を知った後悔と焦りを胸に、急ぎ雪舞の行方を追います。その頃、囚われの身となった雪舞は、思いがけない人物によって救出されていました。一方、すべてを失い絶望の淵に立たされた鄭児は、皇太子の高緯(こうい)と運命的な出会いを果たし、その心に新たな炎を宿すことになります。それぞれの運命が大きく動き出す、激動の回です。

「蘭陵王」あらすじネタバレ26話

さあ、今回もやってまいりました『蘭陵王(らんりょうおう)』の世界へようこそ!第26話は、もう…とんでもない回でしたね。それぞれの登場人物の感情が爆発し、物語が大きく、そして残酷に動き出しました。鄭児(ていじ)の悲劇、宇文ヨウ(うぶんよう)の愛、そして蘭陵王(らんりょうおう)の焦燥。すべてが絡み合い、息つく暇もありません。早速、その激動の展開を振り返っていきましょう!

ついに暴かれた鄭児(ていじ)の嘘と、蘭陵王の決別

物語は、鄭児が蘭陵王に想いを打ち明けるシーンから始まります。しかし、彼女の健気な告白は、蘭陵王の冷たい拒絶に打ち砕かれます。蘭陵王は、馬賊を使って鄭児を呼び出し、彼女が雪舞(せつぶ)を陥れた張本人であるという確証を得ていたのです。

「なぜだ!」と問い詰める蘭陵王に、鄭児は「殿下のため」と訴えますが、もはやその言葉は届きません。まさにその時、暁冬(きょうとう)たちが駆けつけ、「雪舞(せつぶ)様が馬賊にさらわれた」という衝撃の事実を告げます。

この知らせを聞いた蘭陵王の怒りは頂点に。彼はすべての元凶が鄭児にあると断じ、「二度と顔を見せるな」と冷たく言い放ち、彼女を荒野に置き去りにして雪舞の救出へと向かうのでした。愛する人に信じてもらえず、捨てられる…。鄭児の悲痛な叫びが、森に虚しく響き渡りました。

絶望の淵で、悪女が生まれる

たった一人、荒野に取り残された鄭児。そこに現れたのは、救いの手ではなく、卑劣な猟師たちでした。なすすべもなく辱めを受け、心も体も踏みにじられた彼女は、生きる望みを失い自ら命を絶とうとします。

しかし、その刃が首に届く寸前、彼女を救ったのは偶然通りかかった皇太子・高緯(こうい)の軍でした。意識を取り戻した鄭児は、自分をこんな目に遭わせたのは、蘭陵王の非情さと、彼の心を奪った雪舞のせいだと、燃え盛るような憎しみを瞳に宿します。

彼女の悲惨な姿に心を痛めた高緯(こうい)は、「必ず仇を討ってやる」と固く誓うのでした。この出会いが、鄭児をただの嫉妬深い娘から、国を揺るがす復讐の鬼へと変貌させる引き金となってしまったのです。

闇に差した光、宇文ヨウ(うぶんよう)の命がけの救出

一方、馬賊にさらわれた雪舞は、闇市場で商品として売られようとしていました。まさにその絶体絶命の瞬間、彼女を救い出したのは、なんと周の皇帝・宇文ヨウでした。

宇文ヨウは、国境の軍営で偶然にも人身売買の絵姿の中に雪舞の顔を見つけ、軍を置いて単身で救出に乗り出したのです。高値で雪舞を買い取ったものの、金に目がくらんだ馬賊に襲撃される宇文ヨウ。しかし、腹心の尉遅迥(うっちけい)が兵を率いて駆けつけ、賊を一掃します。

なんとか逃げ延びた二人ですが、雪舞は衰弱しきって命の危険にさらされていました。宇文ヨウは彼女を救うため、険しい崖を自らの手で登り、命がけで薬草を採ってきます。彼の昼夜を問わない献身的な看病により、雪舞は奇跡的に一命をとりとめるのでした。深い森の中、意識のない雪舞を静かに見守る宇文ヨウの眼差しには、皇帝としての顔ではなく、一人の男としての深い愛情が満ちていました。

その頃、蘭陵王は捕らえた馬賊から「雪舞が北周の男に買われていった」という情報を掴みます。その男が宇文ヨウであると確信した蘭陵王は、全軍を率いて猛然とその後を追いかけるのでした。

雪舞を巡る二人の英雄、そして復讐に燃える一人の女。三者の運命が、今まさに激突しようとしています。

『蘭陵王』第26話の感想

今回のエピソードは、登場人物それぞれの行動原理がくっきりと浮かび上がった、非常に重厚な回でした。鄭児がたどる転落の道筋は、同情を禁じ得ない一方で、その憎しみの深さには背筋が凍る思いがします。彼女の悲劇は、愛が憎しみへと変わる瞬間の恐ろしさを見事に描き出していました。対照的に、宇文ヨウが見せた行動は、王という立場を超えた純粋な愛の形であり、彼の人間的な魅力に強く心を打たれます。危険を顧みず、ただ一人を救うためにすべてを投げ打つ姿は、本作のもう一人の主人公であることを改めて印象付けました。そして、ようやく真実にたどり着いたものの、最も大切なものを失いかけている蘭陵王のもどかしさ。三者三様の想いが交錯し、物語の深みを一層増した、見応えのある一話でした。

つづく