皇太子・高緯(こうい)は、父である皇帝から受けた屈辱により、蘭陵王(らんりょうおう)への憎悪を募らせていく。一方、夜空に不吉な赤い星を見た雪舞(せつぶ)は、祖母の予言を思い出し、夫に生命の危機が迫っていることを直感する。蘭陵王を守るため、彼には内緒で引退させる計画を立て、重臣たちに協力を求める雪舞。しかし、その動きはすでに皇太子の知るところとなっていた。宮廷に渦巻く陰謀が、気づかぬうちに蘭陵王を絶体絶命の窮地へと追い詰めていく。

「蘭陵王」あらすじネタバレ28話

今回の『蘭陵王(らんりょうおう)』第28話は、じわじわと首を絞められるような、静かな恐怖が迫ってくる回でしたね。幸せな時間も束の間、蘭陵王(らんりょうおう)と雪舞(せつぶ)に、いよいよ最大の危機が忍び寄ってきました。さっそく、ハラハラドキドキの展開を振り返っていきましょう!

屈辱の皇太子、殺意の芽生え

物語は、残虐な方法で馬賊を討伐した皇太子・高緯(こうい)が、父である皇帝・高湛(こうたん)から朝廷の面前で厳しく叱責される場面から始まります。これだけでも皇太子の面子は丸つぶれですが、皇帝はさらに追い打ちをかけるんです。

なんと、皇太子の地位の象徴である「大璋玉(だいしょうぎょく)」を高緯(こうい)から取り上げ、「今回の戦の功は大きい」として蘭陵王に与えてしまったのです!

臣下の前でこれ以上ない屈辱を受けた高緯。膝をつき、表向きは恩に感謝しつつも、その瞳の奥では蘭陵王に対するドス黒い憎悪と殺意が燃え盛っていました。小物感あふれる皇太子ですが、権力を持つ者の嫉妬ほど怖いものはありません。この一件が、悲劇の引き金となってしまいます。

雪舞(せつぶ)の決意と、夫を守るための密約

その夜、雪舞は夜空に不気味に輝く赤い星を見つけ、顔を曇らせます。それは、かつて祖母から聞かされた「世に大災をもたらす」という不吉な星。蘭陵王と高緯の対立が激化する今、この凶星は夫に危険が迫っている証だと雪舞は直感します。

「蘭陵王をこのまま朝廷に置いておけば、必ずや殺されてしまう…!」

強い危機感を抱いた雪舞は、蘭陵王に引退を勧め、共に隠居生活を送ることを決意します。しかし、国と民を深く愛する夫が、素直に「はい、そうします」と言うはずもありません。真正面から説得しても、国のために命を懸ける道を選ぶに決まっています。

思い悩んだ雪舞は、夫には内緒で、腹心の安徳王(あんとくおう)と重臣である太師・段韶(だんしょう)に助けを求めます。雪舞の必死の訴えと、皇太子の危険性を理解した段韶(だんしょう)たちは、蘭陵王を守るために協力することを約束。ここに「蘭陵王引退プロジェクト」が極秘裏に結成されたのです。

動き出す陰謀と、気づかぬ蘭陵王

計画は、同じく国の将来を憂う大将軍・斛律光(こくりつこう)も加わり、具体的に進められます。まず「国境の警備強化」を名目に蘭陵王を都から遠ざけ、その途中で「古傷が悪化した」と偽って療養させ、徐々に兵権を返上させて引退に持ち込む、という見事な筋書きでした。

しかし、彼らの動きはすでに皇太子・高緯に筒抜けでした。蘭陵王府に頻繁に出入りする重臣たちの姿に、高緯は「逃がすものか」とほくそ笑み、着々と蘭陵王を陥れるための罠を張り巡らせていたのです。

何も知らない蘭陵王は、雪舞から遠回しに隠居を提案されても「国を守るため、皆と共に戦う」と笑顔で返すばかり。夫を愛するがゆえに真実を告げられない雪舞と、危険がすぐそこに迫っていることに気づかない蘭陵王。このすれ違いが、なんとももどかしく、そして切ない回でした。

『蘭陵王』第28話の感想

今回は、これまで積み重ねてきた蘭陵王の功績と人望が、皮肉にも彼の首を絞める結果につながっていく、まさに悲劇の序章と呼べる回でした。高緯の器の小ささと、それゆえの底知れぬ残忍さが際立ち、見ているこちらの背筋が凍るようです。皇帝が良かれと思ってしたことが、完全に裏目に出てしまう展開は、権力闘争の非情さを物語っています。

一方で、夫を救うために一人で立ち向かおうとする雪舞の強さと愛情には胸を打たれました。しかし、彼女の必死の策も、すでに敵に察知されているという絶望的な状況。蘭陵王本人が危機に全く気づいていないことが、かえって緊張感を高めており、登場人物たちの思惑が複雑に絡み合う脚本の見事さに引き込まれました。静かに、しかし確実に忍び寄る破滅の足音から、もう目が離せません。

つづく