先帝の崩御により、息子の高緯(こうい)が新皇帝として即位します。皇帝と皇太后の突然の訃報を知った蘭陵王(らんりょうおう)と雪舞(せつぶ)は、悲しみのうちに都へと戻ります。蘭陵王は政の世界から身を引くことを望んでいましたが、新皇帝となった高緯は、兄である蘭陵王の力を必要とし、官職への復帰を強く懇願します。国の将来と兄弟の情を前に、蘭陵王は難しい決断を迫られることになります。一方、皇帝の寵愛を背景に、鄭児(ていじ)という女性が宮廷の裏で静かに、そして恐ろしい計画を進めていました。斉国に新たな嵐が吹き荒れようとしています。

「蘭陵王」あらすじネタバレ31話

いやあ、今回の『蘭陵王(らんりょうおう)』は、物語が大きく動きましたね…。斉の国に、そして蘭陵王(らんりょうおう)と雪舞(せつぶ)に、嵐が吹き荒れる予感しかしません。さっそく第31話の展開を振り返っていきましょう!

物語は、皇帝崩御という衝撃的な場面から始まります。父である皇帝が自分ではなく蘭陵王に譲位しようとしていたと知った高緯(こうい)は、祖テイ(そてい)にそそのかされるまま龍袍(皇帝の衣装)をまとい、新皇帝として即位してしまいます。父を手にかけたかもしれないという重圧と罪悪感に苛まれる高緯(こうい)。そんな彼の心の隙間に、あの鄭児(ていじ)が「明君になればよいのです」と甘い言葉で入り込んでいくんですよね…。この二人の関係が、今後の斉国をさらなる闇に突き落としていくことになります。

さらに鄭児(ていじ)の恐ろしさは止まりません。なんと、口封じのために皇太后まで暗殺してしまうのです。一不做二不休(毒を食らわば皿まで)という言葉がこれほど似合うキャラクターも珍しいでしょう。

そんな宮廷の惨劇を知らない蘭陵王と雪舞(せつぶ)は、穏やかな日々を過ごしていました。しかし、安徳王(あんとくおう)がもたらした皇帝と皇太后の訃報に、二人は悲しみに打ちひしがれます。雪舞は、かつて祖母から受けた「蘭陵王が国を滅ぼす」という不吉な予言が現実になるのではないかと怯えますが、蘭陵王は「隠居の心を伝えれば大丈夫だ」と彼女を安心させ、急ぎ都へ戻ることを決意します。

一方、周の宇文ヨウ(うぶんよう)は、斉の皇帝崩御と、経験の浅い高緯が即位したことを「天が周に味方した」と捉え、停戦協定の破棄を決定。虎視眈眈と斉を狙う構えです。

さて、宮廷に戻った蘭陵王一行ですが、高緯の即位の吉時に間に合わなかったことで、早速「新帝を軽んじている」という噂が立てられてしまいます。朝廷でそのことを問われた蘭陵王ですが、高緯は「四哥(兄上)を信じている」と述べ、場を収めます。しかし、その目は全く笑っていません。

退朝後、高緯は蘭陵王と雪舞を二人きりで引き止め、酒を勧めます。この緊迫した空気の中、雪舞が機転を利かせます!持参した銀の杯を即位の祝いとして高緯に贈り、「この杯でぜひ」と促すのです。これは、酒に毒が盛られていないか確かめるための見事な一手でした。銀は毒に反応して変色しますからね。

結局、毒は盛られていませんでしたが、高緯は兄弟の情に訴えかけ、蘭陵王に官職への復帰を懇願します。国を思う気持ちと、弟である新皇帝からの願いを無下にはできず、蘭陵王は隠居の望みを胸にしまい、その申し出を受け入れてしまうのでした。

そしてラストは、鄭児のさらなる悪意が描かれます。流罪の身であるため表立って行動できない彼女は、自分の身代わりを手に入れるため、かつての同僚・馮小憐(ふうしょうれん)を呼び出し、毒殺しようと企むのでした…。どこまでも恐ろしい女です。

蘭陵王が再び権力争いの渦中に戻ってしまい、鄭児の魔の手がすぐそこに迫る。まさに波乱の幕開けとなった第31話でした。

『蘭陵王』第31話の感想

今回のエピソードは、権力がいかに人を狂わせるか、そして心の弱さがどれほど危険なものかをまざまざと見せつけられた回でした。父殺しの疑念に苛まれ、皇帝という重圧に押しつぶされそうになる高緯の姿は、哀れではありますが、同情の余地はありません。その弱さに鄭児が巧みにつけ込み、彼を操り人形のようにしていく過程は、見ていて背筋が凍る思いがしました。鄭児の行動原理は蘭陵王への執着と復讐心ですが、そのために国さえも食い物にしようとする彼女の邪悪さには底が知れません。

一方で、蘭陵王と雪舞の絆の強さが改めて浮き彫りになりました。宮廷の陰謀渦巻く世界に戻ることに不安を隠せない雪舞と、彼女を全力で守ろうとする蘭陵王。高緯から酒を勧められた際に、雪舞がとっさに銀の杯で毒を検知しようとした場面は、彼女の聡明さが光る名シーンだったと思います。蘭陵王が望まぬまま再び政(まつりごと)の世界に引き戻されてしまう展開は非常に心苦しいですが、雪舞という光がある限り、彼は道を踏み外すことはないと信じたいです。静かな暮らしを願う二人のささやかな幸せが、権力という大きな濁流に飲み込まれていくようで、切なさが募るばかりでした。

つづく