皇后となった鄭児(ていじ)は、蘭陵王(らんりょうおう)と雪舞(せつぶ)への復讐を開始する。彼女は蘭陵王に、良い皇后になる条件として雪舞の命を要求し、二人を恐怖に陥れた。一方、皇帝の命令で蘭陵王は辺境への遠征に出発。その不在を狙い、鄭児は都に大干ばつを引き起こすという恐ろしい陰謀を実行に移す。未曾有の国難に人々が苦しむ中、その原因を鎮めるために天女である雪舞に白羽の矢が立つ。愛する人と引き離された雪舞は、絶体絶命の窮地に立たされる。

「蘭陵王」あらすじネタバレ34話

いやあ、ついにこの時が来てしまいましたね…。かつて蘭陵王(らんりょうおう)を慕い、雪舞を妬むあまりに道を誤ったあの鄭児(ていじ)が、なんと皇后・小憐(しょうれん)として蘭陵王(らんりょうおう)と雪舞の前に姿を現しました。彼女の瞳の奥に宿る憎しみの炎が、これから始まる悲劇のすべてを物語っているかのようです。

さて、皇后となった小憐はさっそく蘭陵王と雪舞を呼び出し、囚人を使った残忍な遊びを見せつけます。その常軌を逸した振る舞いを諌め、「よき皇后になってほしい」と諭す蘭陵王。しかし、彼女から返ってきたのは、あまりにも残酷な条件でした。

「私が良い皇后になることをお望みなら、代わりに楊雪舞(せつぶ) の命を差し出しなさい」

その言葉に、蘭陵王は激怒。相手が皇后であろうと、愛する雪舞を命がけで守ると誓います。しかし、小憐の復讐計画は、そんな蘭陵王の決意さえも嘲笑うかのように、静かに、そして着実に進行していくのでした。

皇帝・高緯(こうい)は、仙都苑の建設にうつつを抜かし、国境を守る兵士たちの食糧さえ事欠く始末。蘭陵王は兵糧の支給を求めますが、高緯(こうい)は半分しか認めず、さらに蘭陵王に辺境への遠征を命じます。これは明らかに、蘭陵王を都から引き離すための策略でしょう。

出発の朝、雪舞は自分の分身として作った泥人形を蘭陵王に手渡します。しかし、その大切な人形が手から滑り落ち、真っ二つに…! 不吉な予感に、二人の胸は締め付けられます。

そして、蘭陵王が都を離れた、まさにその時を狙って、小憐が動きます。彼女は皇后の権限を使い、都水使(とすいし)に命じて水門をすべて開放させたのです。川の水はたちまち干上がり、都は深刻な大干ばつに見舞われます。すべては、天女である雪舞を社会的に抹殺するための、小憐の恐ろしい陰謀でした。

蘭陵王は辺境へ向かう道中で、不自然な放水が行われていることに気づき、都水使(とすいし)を捕らえます。そして、すべてが皇后の差し金だと知ると、急いで都へと馬を走らせます。

しかし、その頃、都では「干ばつを鎮めるには、天子が天女を娶らねばならない」という噂が、小憐によって広められていました。民衆の不安と不満は、いつしか天女である雪舞に向けられます。弟の安徳王(あんとくおう)が必死に雪舞を守ろうとしますが、民衆の声という大きな波には抗えません。

ついに、愚かな皇帝・高緯は、この噂を真に受け、干ばつを終わらせるために天女・雪舞を娶るという聖旨を下してしまいます。

もはや、逃れる術はありません。蘭陵王の帰りを待つことも叶わず、雪舞は悲痛な決意を固めます。蘭陵王との永遠の別れを覚悟し、婚礼衣装の懐に、あの思い出の品であり、自決のための最後の切り札「火樹銀花」を忍ばせ、一人、皇宮へ向かう輿に乗るのでした…。

『蘭陵王』第34話の感想

今回は、鄭児(ていじ)の復讐心がもたらす悲劇の規模の大きさに、ただただ言葉を失いました。個人の憎しみが、天災という形で国全体を巻き込み、多くの民を苦しめる。その策略の冷酷さと執念深さには、底知れぬ恐ろしさを感じずにはいられません。純粋に愛を育んできた蘭陵王と雪舞が、権力と嫉妬という濁流によって無残に引き裂かれていく様は、見ていて本当に胸が痛みます。特に、民のために自らを犠牲にすることを決意した雪舞の姿は、あまりに気高く、そして悲壮でした。高緯の愚かさもここに極まれり、という印象です。蘭陵王が必死に都へ戻ろうとしているだけに、間に合ってほしいと願う気持ちと、間に合わないかもしれないという絶望感が交錯し、物語に重苦しい深みを与えていました。

つづく