建福宮放火事件の犯人がついに特定され、その衝撃的な事実に皇帝・溥儀(ふぎ)は宮中の抜本的な改革を決意します。それは、長年続いてきた宦官制度そのものにメスを入れるという大きな決断でした。しかし、その決断が思わぬ波紋を広げ、宮中に新たな混乱と権力構造の変化をもたらします。宮殿を追われる者、残る者、それぞれの思惑が交錯する中、女官・栄児(えいじ)は持ち前の聡明さで宮中の問題解決に奔走します。一方、一連の事件の裏で糸を引く真の黒幕は、この混乱に乗じてさらなる陰謀を企てていました。
「溥儀の料理番」あらすじネタバレ25話
さて、今回の『溥儀(ふぎ)の料理番』第25話、いやはや、とんでもない展開が待っていましたね。悪の親玉だと思っていたあの男が、実は…?それでは早速、波乱のあらすじを見ていきましょう!
物語は、悪徳太監・劉義仁(りゅうぎじん)の最期から幕を開けます。これまで洋人と組んで宮中の宝を盗み出してきた帳簿を盾に、裕得福(ゆう とくふく)に助けを求める劉義仁(りゅうぎじん)。しかし、時すでに遅し。裕得福(ゆう とくふく)はとっくにその帳簿を手に入れており、彼の目的はただ一つ、完全なる「口封じ」でした。あっけなく劉義仁を始末し、その場にいた衛兵・陳川にも金塊を握らせて姿を消させる…その手際の良さと非情さには、思わず背筋が凍ります。
翌日、朝廷では李琪(り・き)が、劉義仁こそが建福宮放火事件の真犯人であるという決定的な証拠を溥儀(ふぎ)に突きつけます。信頼していた側近の裏切りに、溥儀の怒りは頂点に。「これ以上、太監が問題を起こすなら全員追放する」という以前からの宣言を、ついに実行に移すことを決意します。裕得福をはじめ、太監たちはひれ伏して命乞いをしますが、溥儀の決意は揺るぎません。
しかし、ここで終わらないのが老獪な裕得福。彼はすかさず三人の太妃と摂政王を呼び寄せ、溥儀に「祖宗の制に背くもの」「皇室の面目が立たない」と圧力をかけさせます。周囲からの猛反対に、さすがの溥儀も折れ、一部の必要な者だけを残して残りを追放するという形で決着。そして、なんとその人員整理という重要な役目を、こともあろうに裕得福に任せてしまうのです!これぞまさしく、狐に鶏小屋の番をさせるようなもの。溥儀の決断が、かえって黒幕に塩を送る結果となってしまいました。
宮中から追放されることになった多くの太監たちは、明日からの生活に不安を募らせます。長年、主に仕えることしかしてこなかった彼らにとって、外の世界はあまりにも過酷。そんな歴史的瞬間を記事にすべく、宮門前では陸秋桐(りく しゅうどう)、劉爾(りゅう じ)、玉枚が取材に駆けつけていました。
一方、栄児(えいじ)も寿喜(じゅき)叔母に会うため宮殿を出ますが、彼女を心配した李琪(り・き)が同行を申し出ます。道中、二人は劉義仁もまた駒の一つに過ぎず、真の黒幕がまだ宮中に潜んでいること、そしてその権力が想像以上に大きいことを確信するのです。
シリアスな展開が続く中、劉爾(りゅう じ)と玉枚の間にはちょっとした恋のハプニングも。原稿の取り合いで玉枚が劉爾の上に倒れ込み、彼の腕を脱臼させてしまいます(すぐに玉枚が治しますが!)。この一件で、玉枚の陸秋桐(りく しゅうどう)への想いが「恋」ではなく「崇拝」だと知った劉爾は、思わず頬が緩むのでした。この二人の関係も気になりますね。
その裏で、裕得福は洋商の海地と新たな闇取引を進めていました。建福宮の宝を50万で売り渡し、見返りに牢にいる甥の李泰豊(り たいほう)を助け出させるという約束を取り付けます。「太監が減ってどうやって宝を運び出すのか?」という海地の問いに、裕得福は不敵に笑うのでした。
太監の激減で、宮中では力仕事の押し付け合いが勃発。特に、生ゴミの処理を巡って宮女と太監が激しく対立します。この問題に、栄児(えいじ)が溥儀への食事を運ぶ際に「生ゴミの収集は各宮の宮女、運び出しは従来通り太監」という見事な解決策を提案。溥儀もこれを採用しますが、最後に裕得福に対し、「以前、生ゴミ運搬を利用して盗宝があった。二度と起こすな」と鋭く釘を刺すのでした。溥儀も、裕得福の動きを完全に信用しているわけではないようです。裕得福の次なる一手は一体何なのか、目が離せません!
『溥儀の料理番』第25話の感想
今回は、悪役である裕得福の狡猾さと底知れぬ恐ろしさが際立つ回でした。邪魔者を消し、皇帝の決断すらも利用して自分の権力基盤を固めていく様は、見ていて鳥肌が立つほどです。溥儀が宮中の浄化のために下した「宦官追放」という大きな決断が、結果的に最大の黒幕である裕得福に人事権を与えてしまうという皮肉な展開には、脚本の巧みさを感じずにはいられません。重苦しい空気が漂う中、栄児の変わらぬ聡明さと機転が唯一の光のように感じられます。また、劉爾と玉枚の微笑ましいやり取りは、緊迫した物語の中での貴重な息抜きとなっており、このバランス感覚が本作の魅力なのだと改めて思いました。
つづく