裕得福(ゆう とくふく)の賭場でのトラブルをきっかけに、隠された国宝を巡る争いは最終局面を迎えます。家族の仇を討つため、武天(ぶてん)は裕得福との直接対決に臨みますが、そこには巧妙な罠が仕掛けられていました。一方、宝の国外流出を企む海地も動き出し、事態は燕翅楼、そして港を巻き込む大事件へと発展。栄児(えいじ)や李琪(り・き)、そして国を愛する学生たちは、果たして悪党たちの手から国宝を守り抜くことができるのか。それぞれの想いが交錯する、緊迫の最終回です。
「溥儀の料理番」あらすじネタバレ最終回・40話
ついに迎えた最終回。物語は、裕得福(ゆう とくふく)の賭場がトラブルに見舞われたところから、最後の激流へと突入します。
宝の買い手である海地(ハイディー)は、取引が危うくなったことに焦り、裕得福を問い詰めます。裕得福は「宝は李泰丰(りたいほう)が安全な場所へ移した」と嘯きますが、その李泰丰から「宝が奪われた」との知らせが入り、事態は一変。今回の買い手は裏社会の大物。もし宝を渡せなければ、裕得福と海地の命はありません。
その混乱の裏で糸を引いていたのは、復讐の鬼と化した武天(ぶてん)でした。彼は裕得福を呼び出し、「宝が欲しければ取りに来い」と告げます。対峙した二人。武天(ぶてん)は家族を殺したのが裕得福かと問い詰めますが、裕得福は「宝のありかを知った今、お前はもう用済みだ」と挑発し、自分が武天(ぶてん)の家族を手にかけたと認めます。これを合図に、両者の間で激しい銃撃戦が勃発。裕得福は混乱に乗じて逃走します。
武天は、裕得福が本当に宝のありかを知ったと思い込み、急いで燕翅楼へ。しかし、そこには仲間たちが無事でいる姿が。すべては裕得福の罠でした。裕得福と海地は燕翅楼の全員を人質に取り、宝を運び出してしまいます。始末を任された李泰丰が武天に銃を向けますが、武天は一瞬の隙をついて抵抗。その銃声を聞きつけたのが、街をパトロールしていた李琪(り・き)でした。
燕翅楼の前では、栄児(えいじ)が炊き出しを行っていました。銃声に驚き人々が逃げ惑う中、飛び出してきた武天。そして、裕得福は栄児を人質に取ります。李琪(り・き)が銃を捨てるよう要求されたその時、武天が裕得福に飛びかかり、銃を弾き飛ばしました。
李琪(り・き)が裕得福を取り押さえますが、悪党はまだ隠し持っていた銃で栄児を撃とうとします。その瞬間、武天が栄児をかばい、凶弾に倒れました。
息を引き取る前、武天は栄児に「あんただけだった、俺に良くしてくれたのは。なのに、あんたを傷つけた。来世があるなら、もっと早くあんたに会いたい」と告げます。栄児が「来世でも、あなたの栄児姉さんでいてあげる」と答えると、武天は「来世は、善人になりたい」と言い残し、静かに息を引き取りました。
武天は最期の力で、海地が宝を港から船で運び出すこと、そして一部の宝が琉璃廠に隠されていることを李琪に伝えます。李琪は部隊を率いて港へ急行。
その頃、大学では奚(シー)教授が授業をしていましたが、国宝流出の危機を知り、授業を中断して港へ向かうことを決意。事情を知った学生たちも「国宝を守る!」と立ち上がり、教授と共に港へ向かいます。
港では、学生たちが「国宝を海外へ出すな!」と叫びながら、海地の乗ったトラックの前に立ちはだかります。海地は銃で学生の一人を撃ち、さらに止めに入った奚教授の腕も撃ち抜く非道ぶり。しかし、学生たちは怯みません。「我々の命も国宝と同じくらい尊い」という教授の言葉を胸に、線路の上に座り込み、「我々を轢き殺してから行け!」と体を張って抵抗します。
海地が運転手に発車を命じたその時、李琪率いる警察が到着。トラックを包囲し、海地を制圧しました。港には、国宝を守り抜いた人々の歓声が響き渡ります。
三ヶ月後。
裕得福と海地は捕らえられ、宝は無事に取り戻されました。そして、多くの困難を乗り越えた栄児と李琪は、ついに結婚の日を迎えます。二人は太妃たちに報告に行き、心からの祝福を受けました。これまでの苦難の日々を思い返し、感慨にふける栄児。これからは、誠実に、穏やかな日々を二人で歩んでいくことを誓うのでした。
『溥儀(ふぎ)の料理番』最終回 第40話の感想
悪役であった裕得福が捕まり、国宝も守られるという結末には、心から安堵しました。特に、最後まで栄児を想い続けた武天の最期は胸に迫るものがありました。彼の行いは許されるものではありませんが、その根底にあった家族への愛と、栄児への純粋な気持ちが悲しくも美しく描かれていたと思います。多くの困難を乗り越えた栄児と李琪がようやく結ばれ、穏やかな未来を歩み始めるラストシーンは、これまでの苦労が報われたようで、見ているこちらも幸せな気持ちになりました。それぞれのキャラクターが迎えた結末に、物語の深さと、作り手の丁寧な仕事を感じさせられる、見事な最終回でした。