煜王・許澤羽(きょ・たくう)のもとを去ろうとする白柚可(はく・ゆうか)だったが、彼の必死の説得により、一度は留まることを決める。しかし、彼女は自身の正体と、この世界に来た目的である残酷な宿命を、ある人物に打ち明けるのだった。一方、父・白丞相(はくじょうしょう)の死の真相を追う中で、事件の裏に潜む大きな謎に直面する。愛する人を守るため、柚可は澤羽と最後の思い出を作ろうと祭りに誘うが、その決断が彼女を新たな危険へと導いていく。
「君夢~殿下と私の幸せな結末~」あらすじネタバレ20話
今回は、物語が大きく動いた第20話について、あらすじと感想をお届けします。柚可(ゆうか)の悲しい秘密と、それをめぐる事件の真相が少しずつ明らかになり、息をのむ展開でしたね!
決別の朝、引き裂かれる想い
物語は、白(はく)家も煜王府(いくおうふ)も差し押さえられ、行くあてのない柚可が澤羽(たくう)のもとを去ろうとするシーンから始まります。
「もう行かなくちゃ」「あなたなんて嫌いよ」
そう言って必死に突き放そうとする柚可。でも、澤羽は彼女の心の奥底にある想いを見抜いていました。
そう言って力強く引き留める澤羽。ついには「このまま君を行かせるくらいなら、死んだ方がましだ」とまで言い放ちます。彼のまっすぐな愛に、柚可の決意も揺らぎそう…。結局、彼女は王府に留まることを承諾しますが、その表情は晴れません。
柚可の告白と「真心之吻」の残酷な宿命
一方、澤霖(たくりん)は、焼死体で見つかった白丞相(はくじょうしょう)の事件を追っていました。関係者が次々と不審な死を遂げることに、事件の裏に何か大きな力が働いていることを感じ取ります。
そんな中、柚可は澤霖に、これまで誰にも言えなかった衝撃の真実を打ち明けます。
彼女がこの世界、つまり漫画の世界に来たのは、「真心之吻(しんしんのきす)」の任務を果たすためだということ。二十歳の誕生日までに、澤羽が心から彼女を愛した証である「血のゲージ」が満タンになった状態でキスをすれば、彼女は元の世界に帰れる。しかし、その代償として…澤羽は死んでしまうのです。
もし任務に失敗すれば、今度は柚可自身がこの世から消滅してしまう。あまりにも残酷な二者択一。このとんでもない宿命を背負っていたなんて…彼女がずっと苦しんでいた理由が、ここでようやく明らかになりました。
偽りの死と新たな謎「易容術」
澤羽のもとにもたらされた検死の結果は、さらに物語を混乱させます。なんと、あの焼死体は白庭業(はく・ていぎょう)本人ではなかったのです!
何者かに絞殺された後、錫戎国(しゃくじゅうこく)の拓跋(たくばつ)一族に伝わるという、極めて精巧な「易容術」で白庭業の顔に変えられていたことが判明します。銀の針で刺さなければ、親しい者ですら見分けがつかないほどの恐ろしい技術。
つまり、これまで皆の前にいた白丞相は、まったくの別人だったということ。この事実に、柚可は「もう少しで彼(澤羽)を殺してしまうところだった」と、自分が偽の父親に操られていたことに気づき、震えます。澤羽のそばにいれば、また彼を危険に晒してしまう。そう確信した柚可は、今度こそ本当に彼の元を去る決意を固めるのでした。
最後の思い出と忍び寄る魔の手
澤羽に別れを告げず、最後の思い出を作るため、柚可は彼を乞巧節(きっこうせつ)の灯会に誘います。
「どうせ最後だから、お互いに美しい思い出を残しましょう」
切ない決意を秘めた柚可と、そんな彼女の心をまだ知らない澤羽。二人が見上げる夜空に、美しい花火が咲いては消えていきます。
この会話が、二人の運命を暗示しているようで、胸が締め付けられますね…。
そして翌朝、柚可は緑蘿(りょくら)と共に王府を抜け出します。「許澤羽(きょ・たくう)、さようなら。あの夜の花火がどれほど美しかったか、永遠に忘れない」。
しかし、彼女たちの後を追う怪しい影が…。振り返った先に立っていたのは、死んだはずの偽の父親でした。
その頃、澤羽は柚可が置き手紙もなしにいなくなったことに気づき、城門を封鎖して必死の捜索を開始。そこに澤霖が駆けつけ、柚可と城門で会う約束をしていたのに来なかったと告げます。柚可の身に危険が迫っていることは間違いありません!
『君夢~殿下と私の幸せな結末~』第20話の感想
今回は、柚可が背負う宿命の残酷さが明らかになり、物語の核心に一気に迫った回でした。彼女がただのドジなヒロインではなく、愛する人の命と自分の存在を天秤にかけなければならないという、あまりに重い秘密を抱えていたことに胸が痛みます。澤羽への想いが深まるほど、彼を死に近づけてしまうというジレンマは、これまでのコミカルなやり取りがあったからこそ、より一層切なく感じられました。
また、白丞相の死が偽装であり、背後に異国の「易容術」という未知の技術が関わっていたことで、単なる宮廷の政争から、国家を揺るがす大きな陰謀へと物語のスケールが広がりました。甘いラブストーリーと、先の読めないサスペンスが見事に融合し、物語の深みを増しています。柚可は無事に逃げ切れるのか、そして偽の父親の目的とは何なのか。謎が謎を呼ぶ展開から目が離せません。
つづく