何者かに囚われた白柚可(はく・ゆうか)は、親友の命と引き換えに、ある非情な要求を突きつけられる。一方、忽然と姿を消した柚可を案じ、許澤羽(きょ・たくう)は必死の捜索を続けていた。ようやく果たされた涙の再会。柚可は許澤羽に結婚を申し込むが、その瞳の奥には、愛する人を守るための悲しい覚悟が秘められていた。幸せな結婚式の裏でうごめく巨大な陰謀。二人の運命が大きく動き出す、緊迫と切なさが交錯する回。
「君夢~殿下と私の幸せな結末~」あらすじネタバレ21話
いやあ、今回の第21話は息をのむ展開の連続でしたね! まさか、あの優しかったお父様が…という衝撃の事実から幕を開けるなんて、誰が予想できたでしょうか。
衝撃の告白!父の正体と非情なる脅迫
物語は、白柚可(はく・ゆうか)の親友・緑蘿(りょくら)が意識を失って倒れている、緊迫した場面から始まります。柚可が必死に呼びかけるも、緑蘿は目を覚ましません。そこに現れたのは、父であるはずの白庭業(はく・ていぎょう)。しかし、その口から語られたのは、あまりにも残酷な真実でした。
「彼女は私の蠱毒(こどく)にやられた。お前が私の言うことを聞かなければ、この娘は死ぬ」
そう、目の前にいる男は白庭業ではなかったのです! 彼の正体は、なんと錫戎(しゃくじゅう)の拓跋一族の末裔、拓跋牧(たくばつ・ぼく)。柚可が3歳の頃から、本物の父親に成り代わっていたというのです。長年の父娘の情愛すら、すべては偽りだった…! この事実に、柚可だけでなく、見ているこちらも愕然とさせられます。
そして拓跋牧は、緑蘿の命を盾に、柚可に非情な命令を下します。それは「許澤羽(きょ・たくう)の元へ戻り、盛大な結婚式を挙げさせろ」というものでした。国防図を狙う拓跋牧の、次なる一手だったのです。
涙の再会と、悲しい決意のプロポーズ
一方、忽然と姿を消した柚可を、許澤羽は必死に捜索していました。部下の阿肆(あし)の調査で、偽の白庭業が拓跋牧という人物であること、そして彼が柚可の失踪に関わっている可能性が高いことを突き止めます。
森の中を捜索する許澤羽。そのとき、ついに愛しい人の姿を見つけます。駆け寄り、強く抱きしめる許澤羽に、柚可は涙ながらに謝罪します。「離れて後悔した」「事情があったの」と。彼女の無事を心から喜ぶ許澤羽は、何も問い詰めません。
そんな彼に、柚可は震える声で告げます。
「許澤羽、私と結婚してくれますか?」
それは、親友を救うため、そして愛する人を守るための、悲痛な決意を秘めたプロポーズでした。事情を知らない許澤羽は、彼女の言葉を信じ、喜びと共にそれを受け入れるのでした。
偽りの結婚式、誓いの指輪に込めた想い
そして迎えた結婚式当日。それは偶然にも、柚可の二十歳の誕生日でした。許澤羽から母の形見の腕輪を贈られ、幸せの絶頂にいるかのように見える二人。
しかし、柚可には秘めたる計画がありました。彼女は「私の故郷の習わしなの」と言って、指輪の交換を提案します。「この指輪をはめたら、王様は永遠に私に捕らえられるのよ」と微笑みながら、彼女は許澤羽の指に指輪をはめます。そして、許澤羽もまた「柚可の永遠は、私だけのものだ」と、彼女の指に指輪をはめるのでした。
一見、ロマンチックなこの誓いの儀式。しかし、その指輪には、拓跋牧の陰謀を打ち砕くための柚可の覚悟が込められているに違いありません。幸せなはずの結婚式が、壮絶な戦いの始まりを告げる舞台となってしまったのです。
『君夢~殿下と私の幸せな結末~』第21話の感想
今回は、物語が大きく動いた回でした。前半のサスペンスフルな展開には、思わず固唾を飲んで見入ってしまいました。信頼していた父親が、実は長年の敵だったという事実は、ヒロインの柚可にとってどれほど衝撃的だったことでしょう。その絶望的な状況下で、親友を救うために愛する人を欺く決断を下さなければならない彼女の姿には、胸が締め付けられました。
一方で、何も知らずにただひたすら柚可を信じ、無償の愛を注ぐ許澤羽の優しさが、かえって物語の切なさを際立たせていました。幸せそうに見える結婚式のシーンも、その裏にある陰謀と柚可の悲しい覚悟を思うと、素直に喜ぶことができません。この甘さと苦さが絶妙に混じり合った緊張感が、本作の大きな魅力だと改めて感じます。二人の愛の力が、この巨大な陰謀にどう打ち勝っていくのか、今後の展開から目が離せません。
つづく