白柚可(はく・ゆうか)が別の世界の人間であるという秘密を知った許澤羽(きょ・たくう)。彼女を深く愛するがゆえに、彼は一つの重大な決断を下します。それは、柚可の運命を大きく左右すると同時に、彼自身にも大きな代償を強いるものでした。一方、ついに任務完了の時を迎えた柚可。しかし、彼女が現実世界に戻るための条件として突きつけられたのは、想像を絶するほど過酷な真実でした。二人の愛の物語は、最も切ない局面を迎えます。
「君夢~殿下と私の幸せな結末~」あらすじネタバレ23話
ついに、この時が来てしまいましたね…。『君夢』第23話は、これまで積み重ねてきた二人の想いが、最も切なく、そして最も残酷な形で結実する回となりました。愛すればこそ、手放さなければならない。そんな許澤羽(きょ・たくう)の悲痛な決断に、胸が張り裂けそうでした。
物語は、愛する白柚可(はく・ゆうか)を前にした許澤羽のモノローグから始まります。彼はもう知っていたのですね。柚可が別の世界から来た存在であり、自分を愛させるという「宿命」を背負っていたことを。
「なぜ、こんなにも残酷な方法で私のもとを去るのだ」
彼の言葉一つ一つが、深く深く突き刺さります。彼にとって柚可は、無味乾燥だった自分の世界に現れた唯一の光。目を開けても閉じても、そこにいるのは彼女だけ。自分の全てを捧げたいと願うほどに、愛してしまったのです。
しかし、彼は知っていました。彼女には彼女自身の世界があることを。自分の我儘で、彼女をこの世界に縛り付けてはいけない。その葛藤の末、許澤羽はあまりにも辛い決断を下します。
「君自身の世界へ帰るんだ。私の世界へ来てくれて、ありがとう」
それは、柚可を生かすための、そして彼女を解放するための、自己犠牲の愛でした。
二人が過ごした幸せな日々が、走馬灯のように蘇ります。「私たちはただの二人、ささやかな毎日を共に過ごしたい」と願った柚可。「喜んで」と答えた許澤羽。二人で見た美しい花火は、儚く消えていきました。まるで、二人の運命を暗示するかのように…。
そして、許澤羽は柚可に「真心之吻」を捧げます。
次の瞬間、柚可は見知らぬ空間で目を覚まします。「任務完了おめでとうございます」という無機質な声。状況が飲み込めない柚可は、必死に許澤羽の安否を問います。
「許澤羽はどうなったの!?彼は死んだの!?」
システムの答えは、あまりにも無慈悲でした。
「漫画の設定通り、真心之吻を捧げた許澤羽は、死にます」
自分が元の世界に戻るための条件が、最愛の人の死だったなんて…。絶望の淵で「彼を助けに戻して!」と叫ぶ柚可に、システムは告げます。「設定は変更できません。…新しい設定で上書きしない限りは」。その言葉が、唯一の希望の光となるのでしょうか。
『君夢~殿下と私の幸せな結末~』第23話の感想
今回のエピソードは、許澤羽の深い愛情と、それによって引き起こされた悲劇的な結末に、ただただ言葉を失いました。彼が柚可をどれほど大切に想っていたかは、彼女を元の世界へ返すという苦渋の決断からも痛いほど伝わってきます。自分の命と引き換えにしてでも、愛する人を守り、解放しようとする姿は、英雄的でありながらも、あまりに切ないものでした。
一方で、幸せな結末を目指して奮闘してきた柚可にとって、そのゴールが最愛の人の死であったという事実は、この上なく残酷な皮肉です。任務完了を告げるシステムの冷たい声と、許澤羽の運命を知った時の彼女の絶叫が、今も耳に残っています。物語の構造そのものが、二人にとって最大の障壁として立ちはだかる展開には、脚本の見事さを感じずにはいられません。最後に示された「新しい設定で上書きする」という可能性が、暗闇の中に灯った一条の光なのか、それとも更なる試練の始まりなのか。物語の終盤に向けて、目が離せない展開となりました。
つづく