殿下・許澤羽(きょ・たくう)が国の未来を左右する「国防図」を巡る秘密を、妃候補の白柚可(はく・ゆうか)たちの前で明かした夜、予期せぬ事件が発生します。意識を取り戻した柚可は、自分が思いもよらない罪を着せられていることに気づき、絶体絶命の窮地に。信じていたはずの殿下から向けられるのは、氷のように冷たい疑惑の眼差しでした。張り巡らされた巧妙な罠の中で、柚可は自らの潔白を証明することができるのでしょうか。信頼と裏切りが交錯する、緊迫の展開が待ち受けます。

「君夢~殿下と私の幸せな結末~」あらすじネタバレ9話

物語は、許澤羽(きょ・たくう)殿下が、白柚可(はく・ゆうか)と、もう一人の妃候補である喬双双(きょう・そうそう)を前に、国の最重要機密「国防図」を見せるところから始まります。なぜ自分が狙われるのか、その全ての元凶がこの国防図にあると語る殿下。しかし、柚可は漫画家としての知識から、その地図に描かれた陣形がデタラメであることに気づきます。そう、これは国防図を狙う真犯人を炙り出すための、殿下が仕掛けた壮大な「引蛇出洞(蛇を穴から誘い出す)」作戦だったのです!

ところが、作戦に気づいたのも束の間、突然部屋の灯りが消え、あたりは真っ暗に。殿下が火種を取りに行った、まさにその時、事件は起きました。

次に柚可が目を覚ました時、彼女は悪夢の真っただ中にいました。侍女の緑蘿(りょくら)に揺り起こされると、そこは惨状と化した書斎。皆が倒れる中、なぜか自分の手にはあの国防図が握られ、そばでは喬双双が血を流して倒れているではありませんか!

そこへ現れた許澤羽は、柚可に冷たい視線を向けます。「機密を盗もうとした挙句、喬双双を傷つけたな。お前たちは敵国のスパイだ!」と、問答無用で断罪。信じていた殿下からの、あまりにも非情な言葉。柚可と緑蘿は、為す術もなくスパイの濡れ衣を着せられ、暗く冷たい牢屋へと投獄されてしまいます。

「私に本気だと思ってたのに…全部、私の独りよがりだったんだ…」

牢の中で、柚可の心は絶望に打ち砕かれます。

一方で、怪我をした喬双双は殿下の前ではか弱い被害者を熱演。「暗くて怖くて…誰かに気絶させられたみたい…」と涙ながらに訴え、暗に柚可が犯人だと示唆します。そして、殿下が去った後、一人になった彼女が「白柚可、余計なことをしたのが悪いのよ」とほくそ笑む姿は、まさに悪女そのもの!そう、すべては彼女が仕組んだ罠だったのです。

殿下は部下の阿肆(あし)の前では「国防図を狙う者は、容赦なく殺す」と冷徹に言い放ちますが、その瞳の奥に宿る本当の気持ちは誰にも分かりません。柚可を信じたい気持ちと、非情に徹しなければならない立場との間で、彼の心もまた、引き裂かれているのでしょうか…。

『君夢~殿下と私の幸せな結末~』第9話の感想

今回のエピソードは、あまりにも柚可が不憫で、見ていて胸が締め付けられました。信じていた殿下に「スパイ」と決めつけられ、牢屋に突き落とされるシーンは、本当に辛かったですね。彼女の絶望を思うと、こちらまで涙が出そうになりました。そして何より、全ての元凶である喬双双の腹黒さには、怒りを通り越して呆れてしまうほどです。殿下の前で見せるか弱い姿と、一人になった時の邪悪な笑みのギャップが恐ろしく、見事な悪女っぷりでした。

しかし、ただ悲しいだけではありません。殿下の冷たい態度は、もしかしたら柚可を、そして国を揺るがす真の敵から守るための芝居なのではないか、という希望も捨てきれません。部下の前で見せた非情な表情の裏に、どんな真意が隠されているのか。今後の彼の行動から目が離せません。柚可と緑蘿の主従の絆も、この試練をどう乗り越えていくのか、固唾をのんで見守りたいと思います。物語が大きく動き出し、登場人物たちの感情が激しくぶつかり合う、非常に見ごたえのある回でした。

つづく