援軍を求め島を出た伯顔(バヤン)を、まさかの裏切りが襲う。一方、島に残された褚思鏡(ちょ・しきょう)たちは、ついに姿を現した怪物との決戦に挑む。しかし、その裏では黒幕・賀子礁(が・ししょう)の陰謀がうごめき、沈譲(しん・じょう)・沈淙(しん・そう)親子に逃れられない悲劇が迫っていた。仲間との共闘、そして父の愛が試される極限状況の中、彼らは生き残る術を見つけ出すことができるのか。希望の光が差し込んだかと思えば、さらに深い闇が彼らを飲み込もうとする、息をのむ展開が待ち受ける。

「天啓異聞録」あらすじネタバレ10話

いやあ、今回の『天啓(てんけい)異聞録』第10話は、息つく暇もないとはまさにこのこと!希望の光が見えたかと思えば、次の瞬間には底知れぬ絶望が口を開けて待っている…。登場人物たちの運命が、あまりにも過酷で、見ているこちらの心まで抉られるような回でした。

早速、怒涛の展開を振り返っていきましょう!

裏切りの刃!助けを求め島を出た伯顔(バヤン)を襲う罠

希望を一身に背負い、救援を求めるため島を脱出した伯顔(バヤン)。彼が向かった先は、かつての戦友である徐宗器(じょ・そうき)の軍営でした。しかし、そこで彼を待っていたのは、旧友との再会を喜ぶ温かい歓迎ではなく、兵士たちの奇妙に冷たい視線…。

島の危機的状況、そして怪物の存在を必死に訴える伯顔(バヤン)。しかし、徐宗器(じょ・そうき)はわざとらしく驚いたフリをして、時間を稼ぐばかり。その態度から、伯顔はすべてを察します。「こいつ、裏切ったな…!」と。

徐宗器は、伯顔が公公(おそらく魏忠賢(ぎ・ちゅうけん)のこと)に報告することを恐れ、ついに本性を現します。彼の正体は、なんと怪物を操る勢力「横公」の一員だったのです!かつて戦場で背中を預け合った兄弟が、雪の中で刃を交えるという悲しい展開に。絶体絶命の窮地に陥った伯顔でしたが、まさにその時、楊公公(ようこうこう)が派遣した龍侍衛(りゅうじえい)が駆けつけ、九死に一生を得るのでした。

命からがら逃げ延びた伯顔は、楊公公(ようこうこう)たちに島の惨状を報告しますが、「怪物が出る」という話に彼らは躊躇してしまいます。万策尽きた伯顔が、一人でも島へ戻り仲間と共に死のうと覚悟を決めたその時、地平線の向こうから新たな朝廷の軍隊が現れるのでした…!これは果たして、新たな希望となるのでしょうか?

父の愛と悲しき宿命…沈譲(しん・じょう)と沈淙(しん・そう)、親子の結末

一方、島に残った褚思鏡(ちょ・しきょう)たちも、刻一刻と迫る危機に備えていました。アンジェリカ率いる部隊は、村人からの恨みを買い、撤退寸前でしたが、褚思鏡(ちょ・しきょう)の「明日には伯顔が援軍を連れてくる」という必死の説得で、もう一日だけ島に残ることを決意します。

そして、日も暮れた頃、ついに怪物が姿を現しました。褚思鏡(ちょ・しきょう)は日中のうちに仕掛けておいた罠で応戦しますが、これまでの戦いで怪物の恐ろしさは骨身に染みています。彼は沈譲(しん・じょう)に「怪物が現れる時、娘の沈淙(しん・そう)が必ず近くにいる。彼女を探せ!」と特命を下します。

その言葉通り、沈譲は森の中で娘・沈淙を発見。しかし、彼女の隣には黒幕である賀子礁(が・ししょう)が!沈淙は瞳から青い光を放ち、完全に心を失った操り人形と化していました。賀子礁(が・ししょう)の命令で、沈譲に襲いかかる護衛たち。娘を、仲間を救うため、沈譲は己の身に宿る力を解放し、ついに完全な「異獣」へと姿を変えることを決意します…!

時を同じくして、褚思鏡たちも村人たちを守りながら死闘を繰り広げていました。重傷を負い、もはやこれまでか…と死を覚悟した瞬間、アンジェリカ隊が救援に駆けつけます!彼女たちが持ち込んだ重火器の猛攻で、一体目の怪物をなんとか撃破することに成功!

しかし、安堵したのも束の間、村の入り口に、一体目よりもさらに巨大な二体目の怪物が姿を現します。あまりの絶望に、褚思鏡も「逃げろ!」と叫ぶしかありませんでした。

その頃、異獣となった沈譲も、賀子礁が召喚した怪物と戦い、心身ともに限界を超えていました。しかし、娘を操る元凶を断つため、最後の力を振り絞り、賀子礁を遥か彼方へ投げ飛ばします!

支配から解放され、正気に戻った沈淙。彼女が目にしたのは、異形の姿となり、傷だらけで倒れ、自分を愛おしそうに見つめながら静かに息絶えていく父の姿でした。母に続き、父までも目の前で失った沈淙の悲痛な叫びが、暗い森に響き渡るのでした…。

『天啓(てんけい)異聞録』第10話の感想

今回のエピソードは、希望と絶望が目まぐるしく入れ替わる構成が見事でした。伯顔が味方だと思っていた人物に裏切られるという人間同士のドラマと、沈譲が娘を守るために人ならざるものへと変身し、命を落とすという壮絶な自己犠牲。この二つの軸が同時に進行することで、物語に凄まじい緊迫感と奥行きを与えています。特に、沈譲と沈淙親子の結末は、あまりにも悲しく、胸が締め付けられました。ただのアクション活劇ではなく、極限状態に置かれた人間の愛や憎しみ、そして宿命を深く描いている点が、このドラマの大きな魅力だと再認識させられました。一体の怪物を倒した先に、さらに巨大な絶望が待っているというラストも、この作品らしい容赦のなさで、物語から目が離せません。

つづく