ついに迎えた最終回!謎に満ちた烏暮(うぼ)島の奇病、そして行方不明の弟の影を追い続けた褚思鏡(ちょ・しきょう)の旅路も、いよいよクライマックスです。全ての元凶が潜む決戦の地で、彼らを待ち受けていた衝撃の真実とは?そして、褚思鏡(ちょ・しきょう)が下した決断とは?手に汗握る第12話の全貌を、あらすじとネタバレで徹底解説していきます!

決戦の地へ!海底に潜む最後の謎

褚思鏡(ちょ・しきょう)、伯顔(バヤン)、アンジェリカ、唐安(とう・あん)の一行は、ついに諸悪の根源が潜む東の海域へとたどり着きます。しかし、船の羅針盤は狂い、進むべき道を見失ってしまいました。その時、賀六宏(が・ろくこう)が不気味な笛を吹きながら海に飛び込み、一行を挑発します。

冷静な伯顔(バヤン)は、この海域が「珊瑚島」であり、探していた海祭りの場所だと見抜きました。弟の生存を信じる褚思鏡は、自らの腰に縄を結びつけ、仲間たちの想いを背負ってひとり、深く暗い海底へと潜っていきます。そこで彼が発見したのは、水が一切存在しない奇妙な洞窟と、弟の形見である「刺繍春刀」でした。弟は生きている!希望を胸に、褚思鏡は洞窟の奥へと進んでいきます。

偽りの再会と「隕石」の正体

仲間たちも合流し、洞窟の奥で褚思鏡が見たのは、探し求めていた弟とそっくりの人影でした。しかし、その人物は紫色の瞳を持つ沈淙(しん・そう)だったのです。彼が腕を振るうと、黒い奔流が褚思鏡を襲い、意識を別の空間へと飛ばしてしまいます。

その空間で、褚思鏡はついに弟・褚思鈺(ちょ・しぎょく)との再会を果たします。涙ながらに、出世欲から弟に危険な任務を押し付けてしまった過去を懺悔する褚思鏡。しかし、その感動の再会こそが、すべての元凶である「怪物」が見せた幻影だったのです。

怪物は混沌とした白い霧の姿を現し、自らを「隕星」であると名乗ります。海底に落ち、自らの民を増やし領土を広げることは、人間が殺戮を繰り返して支配地を広げるのと同じ「弱肉強食」だと嘯くのでした。

自己犠牲――仲間と未来のために

力では到底敵わないと悟った褚思鏡は、あまりにも過酷な取引を持ちかけます。それは、自分の体を「隕星」の傀儡として差し出す代わりに、仲間たちを解放してほしいというものでした。隕星がその取引を受け入れたことで、伯顔(バヤン)やアンジェリカを蝕んでいた毒は消え、沈淙(しん・そう)も意識を取り戻します。

褚思鏡は、安堵の表情を浮かべながら、沈淙(しん・そう)の未来をアンジェリカに託し、最後まで忠実に寄り添ってくれた伯顔の肩を叩き、感謝を告げます。そして、仲間たちの背中を押し、たった一人、島とみんなの未来のために犠牲となる道を選んだのでした。

エピローグ~それぞれの道へ

7日後、島には平和が戻りました。感染した島民たちは薬膳で回復し、悪事を働いた賀子礁(が・ししょう)と徐宗器(じょ・そうき)は処刑されます。アンジェリカは沈淙を連れて故郷へと帰る船の上で、褚思鏡の形見である「無常薄」を伯顔から受け取ります。沈淙は「まだ褚思鏡の存在を感じる」と呟き、アンジェリカは「彼は弟に会え、島民を救うという願いを叶えたのよ」と静かに微笑むのでした。

そして数年後。伯顔は唐安(とう・あん)と共に、褚思鏡の勇敢な遺志を継ぐように、国を守るため戦いの日々を送ります。アンジェリカは2年後に沈淙と共に寧安の地へ戻り、穏やかな余生を過ごしたということです。

『天啓(てんけい)異聞録』最終回 第12話の感想

主人公の自己犠牲という結末は、非常に重く、しかし美しいものでした。弟への贖罪の念に駆られていた褚思鏡が、最終的に仲間と島民という、より大きなものを守るために自らを捧げる姿には胸を打たれます。怪物(隕星)が語る「弱肉強食」の論理も、人間の業を映す鏡のようで深く考えさせられました。派手な逆転劇ではなく、静かな覚悟と仲間たちのその後の人生を描くことで、物語に深い余韻が生まれています。それぞれのキャラクターが褚思鏡の想いを胸に未来を歩んでいくラストは、切なくも希望を感じさせる見事な締めくくりだったと思います。

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