烏暮(うぼ)島を支配する謎の組織「黒環」の罠にかかり、仲間を失った褚思鏡(ちょ・しきょう)。彼自身も捕らわれの身となり、謎の薬によって弟の幻覚を見せられる。黒環のメンバー・賀子礁(が・ししょう)の真の目的とは一体何なのか。一方、同じく捕らえられた少女・沈淙(しん・そう)にも異変が起きる。絶体絶命の状況で、島の秘密がさらにその深淵をのぞかせ、物語は予測不能な領域へと突入していく。

「天啓異聞録」あらすじネタバレ6話

今回は息をのむ展開の連続でしたね…。島の秘密に迫るどころか、さらに巨大な謎の渦に巻き込まれていく褚思鏡(ちょ・しきょう)たち。そして、あの少女がまさかの…!さっそく、衝撃の第6話を振り返っていきましょう!

黒環の罠と非情なる刃

烏暮(うぼ)島で起きている奇病が、人を怪物に変えてしまうという恐ろしい事実。これを知った伯顔(バヤン)は、一刻も早く朝廷に報告すべきだと焦ります。しかし、島の住民である丘芷(きゅうし)は彼を制止しました。朝廷に知られれば、島の人間がどうなるか分からない。それに、そもそも「黒環」と名乗る謎の組織が全ての船を支配しており、島からの脱出は不可能だと。丘芷(きゅうし)は黒環を排除した後、必ず伯顔(バヤン)を送り届けると約束し、二人はひとまず協力関係を結ぶことになります。

その頃、褚思鏡(ちょ・しきょう)、賀六宏(が・ろくこう)、そして雷隧(らい・ずい)の三人は、毒ガスによって意識をもうろうとさせていました。そこへ現れたのは、不気味な仮面をつけた謎の男。男はためらうことなく刃を振るい、雷隧(らい・ずい)の首を掻き切ります。血しぶきが舞い、雷隧は断末魔の叫びとともに、男の仮面に手を伸ばしますが、力尽きてしまいました…。仲間が無残に殺される中、褚思鏡も毒に侵されていきます。しかし、なぜか仮面の男は褚思鏡を殺さず、部下に命じて担架でどこかへ運び去ってしまうのでした。

囚われの褚思鏡と仮面の男の正体

褚思鏡が意識を取り戻した時、彼は手足を枷で拘束されていました。目の前にいたのは、あの仮面の男。男は褚思鏡に無理やり薬を飲ませ、「これを飲めば、尊主のお側に近づける」と不気味に囁きます。

抵抗できないまま薬を飲まされた褚思鏡は、朦朧とする意識の中で、助けを求める弟の幻覚を見ます。しかし、彼は強靭な意志力で、かろうじて正気を保とうとしました。

やがて、男は自ら仮面を外します。その顔を見て、褚思鏡は驚愕。なんと、男の正体は、普段はみすぼらしい格好をしていた賀子礁(が・ししょう)だったのです!彼こそが、島を牛耳る「黒環」の一員だったのでした。

賀子礁(が・ししょう)は、褚思鏡が彼の探している「横公」にそっくりだと語ります。そして、褚思鏡が彼の弟・褚思鈺(ちょ・しぎょく)に瓜二つであることにも言及。賀子礁の狙いは、褚思鏡に薬を飲ませて夢を見させ、その夢の中から2年間行方知れずとなっている弟・褚思鈺(ちょ・しぎょく)の居場所を探し出すことだったのです。

骸骨の谷と覚醒する少女

賀子礁の魔の手は、沈淙(しん・そう)にも伸びていました。同じように薬を飲まされた沈淙(しん・そう)は、亡き母との幸せだった頃の記憶を幻覚として見せられ、涙を流します。意識が混濁したまま、彼女は賀子礁によって、無数の骸骨が転がる不気味な谷へと連れ出されていました。

一方、わずかに意識を取り戻した褚思鏡は、脱出を試みます。しかし、彼の前に立ちはだかったのは、巨大なムカデのような、おぞましい怪物。無数の触手を持つ怪物は、圧倒的な力で褚思鏡に襲いかかります。もはやこれまでかと思われた、その時でした。

「やめて!」

沈淙の叫び声とともに、彼女の瞳が赤く発光!

その光を見た怪物は、ピタリと動きを止めると、まるで恐怖に怯えるかのように後ずさり、やがて沈淙の前に進み出て、前脚を折りひれ伏したのです。まるで、絶対的な主君に服従を示すかのように。

「やはり、お前は…!」

常軌を逸した光景を目の当たりにした賀子礁は、興奮に声を震わせます。一部始終を見ていたアンジェリカも、ただの少女だと思っていた沈淙が持つ、人知を超えた力に言葉を失うのでした…。

『天啓(てんけい)異聞録』第6話の感想

今回は、物語の様相がガラリと変わる転換点だったように感じます。特に、終盤で沈淙が見せた能力の覚醒シーンは圧巻でした。これまでのミステリー要素に、ファンタジーや伝奇の色合いが一気に加わり、物語のスケールが格段に大きくなった印象です。純粋無垢な少女が、おぞましい怪物を従えるという構図は、美しくもどこか恐ろしく、彼女の存在そのものがこの島の最大の謎であることを示唆しています。また、敵役である賀子礁の底知れなさも際立っていました。彼の言う「尊主」とは一体何者なのか、そして褚思鏡の弟の失踪にどう関わっているのか。謎が謎を呼び、物語の深淵に引きずり込まれるような感覚を覚えました。

つづく