行方不明の弟を探す褚思鏡(ちょ・しきょう)は、島の少年・雷隧(らい・ずい)と行動を共にする中で、島に蔓延する奇妙な病と村人たちの狂気を目の当たりにする。一方、牢から脱出した伯顔(バヤン)は、島の長老・丘芷(きゅうし)と出会い、恐れられていた「怪物」の悲しい正体と、その裏に隠された秘密に触れる。それぞれの場所で起きていた事件は、やがて島に潜む邪教組織「横公」の存在へと繋がっていく。大切な少女が連れ去られたことで、褚思鏡たちは否応なく島の闇の核心へと迫っていくことになる。

「天啓異聞録」あらすじネタバレ5話

いやあ、『天啓(てんけい)異聞録』第5話、すごかったですね…。これまで散りばめられてきた謎が一気に動き出し、島の闇の深さが浮き彫りになってきました。早速、今回のエピソードを振り返っていきましょう!

島の新たな狂気と褚思鏡(ちょ・しきょう)の苦悩

物語は、褚思鏡(ちょ・しきょう)と島の少年・雷隧(らい・ずい)の緊迫した対立から始まります。雷隧は、褚思鏡(ちょ・しきょう)が連れている少女・沈淙(しん・そう)を案じ、彼に刃を向けます。しかし、当の沈淙(しん・そう)が「この人は命の恩人よ」と褚思鏡をかばったことで、ひとまずの和解が成立。褚思鏡はあくまで行方不明の弟を探しに来ただけで、島のいざこざに干渉するつもりはないと告げます。

その矢先、村から凄まじい悲鳴が!駆けつけた彼らが見たのは、理性を失い、衛兵に噛みつく村人の姿でした。その村人の体には紫の斑点が浮かび、首筋は血まみれの引っ掻き傷だらけ…。明らかに正気ではありません。雷隧は苦渋の決断の末、狂ってしまった村人をその手で斬り伏せるのでした。この島に蔓延する“病”の恐ろしさが、まざまざと見せつけられた瞬間でした。

怪物の正体と悲劇の連鎖

一方、牢から脱出した伯顔(バヤン)は、衛兵たちの会話から、島の長老である丘芷(きゅうし)が「黒服の者たち」と通じ、怪物と関係があるという情報を耳にします。好奇心に駆られ、彼女の部屋に忍び込む伯顔(バヤン)。すると突然、部屋の奥からあの怪物が飛び出し、襲いかかってきます!

絶体絶命かと思われたその時、丘芷が怪物を制止。彼女は、この島の民が生き延びてこられたのは、この「怪物」のおかげなのだと語ります。緊張が和らいだ伯顔(バヤン)が改めてその姿を見ると、怪物は人の姿へと戻っていました。その正体は、なんと辺境軍の兵士・沈譲(しん・じょう)。同じ錦衣衛の同胞であったことから、伯顔は丘芷の話を信じます。

しかし、安堵したのも束の間。丘芷と怪物の関係を疑う村人たちが部屋を取り囲み、彼女を問い詰めます。興奮した群衆の殺気は膨れ上がり、混乱の中、何者かが丘芷の腹を深々と刺してしまいます。沈譲(しん・じょう)は彼女を守るために再びその身を挺しますが、村人たちは彼をも「化け物の味方」とみなし、敵意をむき出しにします。沈譲(しん・じょう)は、伯顔に傷ついた丘芷を託し、決死の覚悟で群衆を食い止めるのでした。

明かされる黒幕「横公」と新たな危機

丘芷を連れて逃げ延びた伯顔は、彼女から衝撃の事実を聞かされます。村人たちを扇動し、島を混沌に陥れているのは、「横公(おうこう)」と呼ばれる邪教組織であると。彼らは邪悪な力を崇拝し、無辜の民を手にかけ続けているというのです。

その頃、褚思鏡と雷隧は村で恐ろしい光景を目の当たりにしていました。静まり返った村の家屋で、殺されて間もない数人の遺体を発見します。そこにいた書生風の男は、「怪物が丘芷を連れ去った」と証言しますが、雷隧はこれが罠だと直感。急いで外で待たせていた沈淙(しん・そう)のもとへ戻りますが、時すでに遅く、護衛は殺され、沈淙は姿を消していました。

森の中で発見された護衛の遺体が握りしめていた布の紋様から、雷隧は犯人が「横公」だと断定。沈淙は彼らに誘拐されたのです。

二つの事件は、邪教組織「横公」の存在によって一つに繋がりました。

褚思鏡と雷隧は、賀六宏(が・ろくこう)という男の案内で横公のアジトである不気味な廟へ。雪が積もる中、そこだけ埃も蜘蛛の巣もないことに褚思鏡は気づきます。その瞬間、石像の背後から怪しげな煙が立ち上り、仮面をつけた謎の男が出現。男は「安心して逝くがいい」と不気味に笑い、褚思鏡たちに襲いかかるのでした。

『天啓(てんけい)異聞録』第5話の感想

これまで断片的に描かれてきた島の怪異や村人たちの対立が、「横公」という邪教組織の存在によって、ついに一つの大きな流れとして繋がり始めました。物語の輪郭がはっきりと見えてきたことで、没入感が格段に増したように感じます。特に、島民を守る「怪物」の正体が、元は民を守る立場にあった兵士・沈譲だったという設定には胸を打たれました。彼の悲哀と、それでも守ろうとする意志が、この物語に深い奥行きを与えています。正義と悪、正気と狂気の境界線が曖昧になっていく島の混沌とした状況は、非常に見ごたえがありました。誰を信じ、何を疑うべきなのか。登場人物たちと共に、視聴者もまた試されているような感覚に陥ります。

つづく